【4/11日本市場の確認ポイント】
日経平均 27923.37(+1.05%)[27,854~28,068]
TOPIX 1991.85(+0.78%)[1,985~1,999]
マザーズ 744.42(+0.70%)[743~750]
値上がりセクターTOP5
1.卸売(+2.30%)
2.精密機器(+1.75%)
3.非鉄金属(+1.69%)
4.不動産(+1.41%)
5.石油・石炭(+1.38%)
値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲0.56%)
2.空運(▲0.44%)
3.水産・農林(▲0.16%)
4.なし
5.なし
日本市場は3連休明けの米国株が底堅く推移したことが買い安心感につながり、日経平均はじめ主要3指数がそろって上昇。半導体関連株を中心に大幅高する銘柄も輩出されたほか、著名投資家のウォーレン・バフェット氏来日でインタビューに応じながら日本株の追加投資を検討といったヘッドラインが流れて既に投資先である5大商社株が思惑を呼んで急伸するといった一幕もありました。
もっとも植田日銀新体制の始動によって現行の金融政策を維持するとの方針が示されたことから地合いは好転しており、そこに調整色を強めていた景気敏感株の出直り機運が高まったことが大きいと言えます。主力ハイテク株や上述した商社株、さらに金利安心感で不動産株、リスクオンを背景にエネルギー株などが堅調に推移し、一方で医薬品などディフェンシブ株が物色の蚊帳の外に置かれた形となっています。
日経平均が28,000円を突破したと同時に上値抵抗の25日移動平均線をあっさりと上抜けてきたことから上値期待が高まりやすくなったと言えます。また、主体性が無いと言われがちな日本株が海外要因ではなく国内固有の材料で買われた意味合いは大きく、象徴的なバリュー株が本領発揮してくる展開も期待できるでしょう。新興市場のマザーズはまだ上値抵抗ラインを突破できていませんが、主力株の動きが良くなってくれば当然資金はそちらに向かいやすくなるためアンダーパフォームは仕方ない面があります。
【米国株概況】
米国株に待ち受ける次のハードルは今晩のCPIとFOMC議事録、週末からは金融株を皮切りに決算シーズンへ突入
NYダウ 33684.79(+0.29%)[33,586~33,781]
S&P500 4108.94(▲0.00%)[4,102~4,124]
NASDAQ 12031.88(▲0.43%)[12,011~12,091]
ダウ輸送株 14360.8(+1.15%)[14,208~14,411]
半導体SOX 3109.4(▲0.56%)[3,104~3,146]
日経平均先物(CME) 28,025(+0.30%)[27,850~28,085]
ドル/円 132.97~133.81(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.451%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.432%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 81.40(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 2019.00(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.030(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.10(高値37.79:2/24)
SKEW指数 127.42(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 60(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.93(安値70.30:10/13)
米国市場は米雇用統計を織り込み、今晩は次なる関門の3月米CPI(消費者物価指数)と前回FOMCの議事録公表が控えています。次回5月の米FOMCにおける追加利上げ観測がある中で指標にらみの神経質な展開が続きますが、昨晩は様子見ムードの中でも景気敏感株などが買い戻され、NYダウはなんだかんだ4日続伸となりました。
米金利上昇で利益確定売りが出やすいハイテク株は上値の重さが目立ちますが、それでも高値圏を維持しているのは主力どころの頑張りによるところが大きいとみられます。米CPIが雇用指標と同様に強い結果が出てくれば米FRBの追加利上げを正当化するため米金利が一段と上昇してハイテク株売りに圧力が加わることも想定されますが、それがNYダウとナスダックとが対照的な動きを示している要因と言えるでしょう。
米国株はここから決算シーズンに突入していく中で、市場の景気後退懸念と実態の突き合わせ作業が始まりますが、米FRBが次回会合で利上げする意志を持っているのは、裏を返せば株価もある程度高い水準を維持していることが条件になります。金融当局者はこれを否定しますが、インフレ警戒が緩和している状況で株価も低迷していた場合、正直利上げを断行しづらい事情があります。
市場は当局から利上げ停止を引き出すために催促相場で売り仕掛けを行うことも想定されますが、企業決算に絡めて個別株が狙い撃ちされたとしても全体で値崩れするシナリオは薄いと言えます。今の米国株はほぼ主力ハイテク株の動向に左右されているのが実状ですから、GAFAMが全滅しない限りは自律的な調整の範囲内で決算通過できれば評価できるかと思います。
基本路線は何度も繰り返しになりますが、5月FOMCを通過して業績材料の消化が一巡してくれば再評価機運も高まりやすいとみており、GW明けがセル・イン・メイの相場格言と照らし合わせて買い場を探るところになるかと思われます。
【日本株投資戦略】
日本株見直し機運の高まりで日経平均は28,000円を回復、決算シーズン突入前にSQ前後のもう一段高を期待
日本市場は上述のバフェット思惑なども加わり日経平均が難なく28,000円を突破するなど、国内固有の事情で強い動きを見せたことが評価すべきポイントです。おそらくは28,000円手前で上値で押さえていた売り方が慌ててオプション取引をヘッジするために先物買いを手当したというのが実体かと思いますが、米国株との相対パフォーマンスで出遅れた部分を修正する動きと言えます。
昨日の日本株の動きからも景気後退懸念で売り圧力が強まっていた景気敏感株が買い戻されており、この辺りは米国市場の動きとも一致しているところです。今週末はオプションSQが控えていますので、昨日の28,000円超えの動きはオプションのヘッジ取引がよけいに強まりやすかったとみられますが、本日・明日と28,000円の値固めができればSQ通過後に一旦上値を試す動きが強まり、4月高値を更新して29,000円トライの期待感が高まるものと考えられます。
やや懸念点としては明日にファーストリテイリング(9983)の決算発表があり、すでに月次動向から業績が評価される部分は織り込んでいるはずですので、これが材料出尽くしの市場反応になるかどうかが日経平均に大きく作用してきます。ただし、その場合は日経平均を無視して個別株それぞれの動きに集中すればよく、日本企業もまもなく決算シーズンに突入していくわけですから、あまり全体感は意識し過ぎない方がかえってよいかと思われます。
まずは今週末から来週前半までがヤマ場を作って盛り上がれるかが焦点で、そこから若干の反動安や利益確定売りが出てくることなども想定されますが、個別企業の業績が案外底堅いと評価されれば景気敏感株を中心に見直し買いを呼び込みやすくなるはずです。目先はGW前の2週間が勝負どころですから、企業の決算発表日をそれぞれ確認して買うタイミングは選んでいきましょう。
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