【4/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 27518.31(+0.17%)[27,456~27,591]
TOPIX 1965.44(+0.21%)[1,963~1,970]
マザーズ 730.43(▲0.46%)[727~739]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.55%)
2.銀行(+1.22%)
3.精密機器(+1.00%)
4.保険(+0.95%)
5.空運(+0.91%)
値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.61%)
2.小売(▲0.90%)
3.鉱業(▲0.76%)
4.食料品(▲0.64%)
5.医薬品(▲0.57%)
日本市場は為替の円高一服と米雇用統計発表および米国休場という中で様子見ムード、商いは膨らまず小幅な値動きに終始しました。最近の米経済指標が市場予想を下回ってバッドニュースでそのまま市場反応も売られるといった状況が続いたことから米労働指標に対する警戒感が強かったことの表れと言えます。
ただ、景気後退懸念で売られた景気敏感の大型株はやや買い直され、反対にディフェンシブ株が売られており、この辺はセクターローテーションというより前日の反動と言えますが、市場はまだ気迷い中で物色の方向性が見定まっていないようです。3月の金融不安のトラウマを引きずってか月初の過熱感が立ち消えて上値を買うには慎重にならざるを得ないムードが支配的となっています。
主力株は為替の円高一服とともに下げ渋る動きもみられていますが、新興市場がやはり弱含みが鮮明になってきましたので、よけいに下値不安を拭いきれないのだと思われます。週明け以降も米経済指標の発表が相次ぐことから投資家の手控えムードが続きそうな一方、引け後には安川電機(6506)が決算発表して過去最高益を記録しました。外部要因を取り除けば3月決算決算銘柄の先回り買いもそろそろ始まってくる頃合いでしょう。
【米国株概況】
米経済指標の悪化よりも米FRBのバランスシート縮小が下落要因、4月中は米企業の業績悪化織り込みで調整ムード続く
NYダウ 33485.29(+0.01%)[33,325~33,525]
S&P500 4105.02(+0.36%)[4,069~4,107]
NASDAQ 12087.96(+0.76%)[11,898~12,098]
ダウ輸送株 13966.3(+0.37%)[13,863~14,034]
半導体SOX 3071.8(▲0.46%)[3,034~3,093]
日経平均先物(CME) 27,630(+0.36%)[27,430~27,705]
ドル/円 131.52~132.36(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.458%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.413%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 80.47(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 2023.90(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.012(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)18.40(高値37.79:2/24)
SKEW指数 124.42(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 57(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.84(安値70.30:10/13)
米国市場はイースター休暇前の聖金曜日(グッドフライデー)で株式市場は休場、債券市場は短縮取引という中で3月米雇用統計が発表され、概ね市場予想通りの雇用者数増加となり失業率は3.5%に低下しました。その前のADP民間雇用統計が市場予想を大幅に下回る結果となって市場の景気懸念売りを誘ったトラウマから労働市場の依然堅調であることを確認して一安心といった感じです。
実際、株式市場は休場ですのでこれを織り込むのは今晩になってみないとわかりませんが、債券市場では短期債から長期債まで大幅に金利上昇しており、米金利高を受けて為替も米ドルが買い戻されています。一昔前までは労働市場が堅調であった場合に米FRBの追加利上げを後押しする材料となるために市場は警戒感を強めましたが、今回は景気後退懸念が市場を覆っているために市場予想よりも良い結果が出れば安心材料になるといった具合に反応が180°転換しています。
市場からすれば米経済指標の結果が良くて、多少の追加利上げで金融引き締めが行われようとも、最悪のリセッションシナリオさえ回避できるのであれば御の字と謙虚さを取り戻すきっかけになったとみられます。今週は米CPI(消費者物価指数)や米小売売上高など直近のインフレや米個人消費の動向を知る上で重要な指標発表が控えていますので、かえって慎重な見方から入った方がよけいなサプライズ売りなどを警戒する必要が無くなり、緩やかに景気悪化を織り込んでいくことにつながります。
3月の金融不安と相まって景気後退への警戒感はいつぞやの金融危機が再来するのではという疑心暗鬼をもたらす一方で、市場の待機資金は記録的な水準にまで積み上がっています。市場の過剰流動性が担保されている間は金融危機にまで発展する心配はなく、バリュエーションの調整が生じればすかさず押し目買い資金が動いてきます。
目先の調整が必要になるのは、3月の金融不安騒動で劇的に金利が低下したことの副産物として大手ハイテク株が急上昇し、ナスダックが年初来高値を更新してしまうまで一気に買い上げられたことへの反動と言えます。米FRBの利上げ早期停止期待と相まって不況時の株高を想起させるまでに上昇したがゆえに、今度は米企業決算で現実を突きつけられることとなり、調整を余儀なくされても致し方ないと言えます。
また、前回の解説でもふれましたように直近で米FRBのバランスシートが大きく縮小したことに伴う調整売りの側面もあり、米国株は企業決算を織り込む上でとくに今期見通しの悪化を市場は冷静に受け止めなくてはなりません。大手ハイテク中心に企業業績を順当に織り込んでいって、5月の米FOMCを小幅利上げ程度でやり過ごすことができれば、またお灸を据えられたことも忘れて熱狂に走り出すのが米国市場です。現状で変に調子づいてしまうと米FRBはバランスシートを一段と縮小させるためにQT(量的引き締め)を再加速してしまいますから、むしろ5月の利上げ決定まで大人しくしておいた方が米国株にとって無難な道と言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
植田日銀新体制が始動、早くも緩和策修正の観測浮上する中で日本株は飛躍の時を迎える
欧米金融不安の余震とともに米景気後退懸念を消化しながら日本市場では、この週末に最長任期を終えた黒田日銀体制から植田日銀新体制へと移り、今後は異次元金融緩和策の出口戦略と向き合っていかなくてはなりません。2月の所信表明では当面の金融政策変更は無いと述べられたものの、その後の欧米金融不安が生じたことによって日銀の金融正常化への道のりはそれほど悠長に構えていられるものではなくなりつつあります。
植田日銀新体制の下で、まず真っ先に議論されるのはYCC(イールドカーブ・コントロール)政策の見直しであるとみられ、これは債券市場だけの問題ではなく株式市場にとっても新しい市場環境に適応していくことが求められるようになります。とりわけ長期金利の上昇から生じる為替の円高は企業の業績にも大きく反映されやすいことから、株式市場ではこの円高と向き合った上でそれでもなお日本企業の将来性に期待を持てるかが問われることになってきます。
◆植田日銀、最初の一手は? 6月にも金融緩和修正の観測(2023/4/9)
これまで金利がつかない時代が長く続けられたことによって、資金はいつでも調達ができて返済負担も軽いために日本企業は収益性をそれほど求めずとも利益を出すことができましたが、ここからはいよいよ資本効率を考えた上で収益性の高いビジネスを展開していかなくてはなりません。
デフレ経済からの脱却、東証の市場改革と相まって日本企業への注目は一昔前と比べ物にならないほど高まっており、海外勢は日本株の再評価に向けて着々と準備を進めています。彼らの背中を後押しするのは、世界が混迷する中においても揺らぐことのない日本企業の財務基盤の強固さであると同時に、その内部留保を積み上げて蓄えた資本をどう上手く活用して収益性を高めていくのか、その一点に尽きると言っても過言ではありません。
いわば世界全体でインフレ、金利上昇が進んできた金融環境下で、唯一、日本企業だけが特権的な低金利環境の恩恵を受けることができているわけで、その優位性を活かして先端技術開発やすでに実用段階にある技術の社会実装、そして内需掘り起こしとともに収益力向上を実現できるかが海外の投資マネーを引き付ける最大の焦点となります。
米国はじめ海外企業は景気悪化懸念から業績ピークアウトの現実に直面する一方で、日本企業にはまだやれることが沢山あるのではないかという期待感が醸成されてくることが何よりもの日本株の起爆剤となるのです。そんな中で日銀政策の修正観測が出てくるのは、ある意味、日本企業が金融緩和なしでも十分に闘える土台が出来上がっていると判断されるがゆえです。世界と比べて周回遅れになったコロナ解放で、これまで抑圧され続けた需要爆発は日本企業にとって凄まじい追い風となり、世界が大変な時期だからこそ課題先進国である日本の企業に目を向けてみようじゃないかという機運の高まりにつながってくることが期待されます。
◆内需株「コロナ後」に期待 インバウンド・消費回復にらむ-日本株ラウンドアップ-(2023/4/8)
※スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。