【4/6日本市場の確認ポイント】
日経平均 27472.63(▲1.22%)[27,427~27,609]
TOPIX 1961.28(▲1.14%)[1,958~1,968]
マザーズ 733.83(▲0.65%)[730~736]
値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+1.04%)
2.医薬品(+1.04%)
3.食料品(+1.04%)
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.機械(▲3.11%)
2.海運(▲2.69%)
3.電気機器(▲2.38%)
4.鉄鋼(▲2.14%)
5.ゴム(▲2.09%)
日本市場は続落で日経平均は27,500円割れ、半導体・ハイテクセクターへの売り圧力が強まり指数寄与度の大きい銘柄を中心に大幅安となったことで日経平均を押し下げました。景気後退懸念を背景に景気敏感株が売られる一方でディフェンシブ株が買われ、指数の下値を支えていますが、値下がり銘柄が圧倒的に優勢で節目を割り込みました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり303/値下がり1476で、電力や医薬品、食料品などが逆行高、通信のソフトバンクG(9984)なども意外な底堅さを見せました。一方で、東京エレクトロン(8035)が▲4.5%、レーザーテック(6920)が▲4.9%と大幅安となったほか、コマツ(6301)やファナック(6954)など建機・産機ともに景気敏感株がまとめて売られ、海運株や鉄鋼株にも同様に大幅安となる銘柄が散見されています。
米経済指標の悪化により為替が円高へ一段と進む場面がみられたことで外需・景気敏感株には強烈な売り浴びせがみられているものの、1月の年初来安値もしくは3月下旬の底打ちからの反発も大きかったことから、そのほとんどは利益確定売りが出たという形で、いわば利食いのための景気後退材料という側面も否めません。資金逃避の先行性から新興市場の資金流出は加速してマザーズは3月安値まで往って来いの動き、直近IPO株もセカンダリーの盛り上がりが一巡した後は出来高減少とともに値を崩している銘柄が多く、地合い回復待ちの状況となっています。
【米国株概況】
米経済指標の悪化よりも米FRBのバランスシート縮小が下落要因、4月中は米企業の業績悪化織り込みで調整ムード続く
NYダウ 33485.29(+0.01%)[33,325~33,525]
S&P500 4105.02(+0.36%)[4,069~4,107]
NASDAQ 12087.96(+0.76%)[11,898~12,098]
ダウ輸送株 13966.3(+0.37%)[13,863~14,034]
半導体SOX 3071.8(▲0.46%)[3,034~3,093]
日経平均先物(CME) 27,630(+0.36%)[27,430~27,705]
ドル/円 130.77~131.86(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.458%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.303%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 80.46(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 2023.70(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.012(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)18.40(高値37.79:2/24)
SKEW指数 124.42(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 57(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.84(安値70.30:10/13)
米国市場は企業の景気指標や労働指標の悪化を受けて景気悪化懸念が引き続き株式市場の重しとなり、金融不安の緩和から生じた売り方の踏み上げも一巡したことも相まって調整ムードが強まりました。しかし昨晩は大型ハイテクのアルファベットやマイクロソフトが値上がりして指数を支え、週末のイースター休暇で休場および米雇用統計待ちという日柄もあって様子見相場という色合いが強かったとみられます。
景気後退懸念としては米企業がこれから決算発表シーズンに突入していく中で、1Q(1~3月)の業績悪化も織り込んでいく必要がある一方、株価が大きめの調整を強いられたのは米FRBのバランスシートが金融不安で拡大していたところから、不安後退で今度は大幅縮小に転じた需給要因が大きいとみられます。米銀の預金フライト対策として講じられた緊急貸し出しは、米FRBが新たに創設したBTFP(バンク・ターム・ファンディング・プログラム)への移行が進むのと並行して利用額が減少しており、これが米FRBのバランスシートが2020年7月以来の大きな縮小につながっています。
金融不安騒動で亀裂が入った米経済の景気回復期待は、実際の企業業績を確認することで現実を突きつけられることとなり、市場はこの期待感で上昇してきた部分を吐き出す必要に迫られるかもしれません。しかし、金融不安で迅速な対応を見せた米FRBはいざとなればすかさず流動性供給を行うことを改めて示したことで、つまり株価を人為的に下支えしたことが浮き彫りになりました。足元の景気後退懸念はこの支えている部分が少し緩んだことで株価が下落したことと合わせて金融市場と実体経済をある程度切り離して考える必要があるでしょう。現実問題として米企業の決算は金融不安があっても無くても悪化は避けられなかったとみられるもので、そのために米企業は昨年末の段階から大量に従業員解雇の発表が相次ぐなどしてコスト削減に取り組んできたわけです。
◆ゴールドマン、米決算シーズンはパンデミック並みひどさ-利益率低下(2023/4/6)
米企業決算の悪化を織り込むと同時に、市場では次の5月米FOMCでの利上げ停止を催促しようとする相場となり、しばらくの間は調整色が強まる展開が予想されます。その間に金融不安の後始末などで懸念をぶり返す動きなどの余震も続くかと思われますが、根本的な金融収縮や信用不安といった最悪の状況は今後もギリギリで回避されるものとみています。中期的な観点から米国株は市場と米FRBの駆け引きに右往左往する展開を強いられますが、米FRBの方針が固まる5月中旬ごろには不透明感が解消して持ち直しの動きがみられることになろうかと思われます。
【日本株投資戦略】
景気後退懸念を理由にした利食い圧力は押し目買い好機、市場トレンドはすでに上昇入りで底割れの心配は薄い
日本市場は市場の景気後退懸念で日経平均の下落幅が▲800円超となったことも相まって、投資家のセンチメント悪化が鮮明となっておりますが、この間に為替もドル円の133円台から130円台へと円高が進んだことで大型外需・景気敏感株の利益確定売りを誘発しました。
また、日本の10年国債利回りは金融不安のあった3月の0.25%割れから足元では日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)上限の0.5%近辺まで舞い戻ってきており、安全資産需要の後退から改めて日銀の金融政策動向に注目が集まる形となっています。黒田日銀総裁が今週末に退任し、新たに植田日銀総裁の体制へと転換を迎える中で日銀の政策修正が、この4月末の日銀金融政策決定会合でも行われるのではとの市場憶測が日本国債売りに拍車をかけており、足元の金利上昇は急ピッチで進みました。
どの資産市場でも不確実性の中から手がかりを探ろうとするあまりにオプション取引が活発化しており、これが市場を攪乱する元凶となっているのですが、見方を変えればそのおかげで市場ボラティリティが拡大して押し目買いの好機を演出してくれるとも言えます。3月下旬の金融不安緩和で動けなかった投資家もこれまで買いづらかった主力株が値下がりしてきたことにより、改めて冷静に買い場を探ることができ、市場の重しとなっている金融不安や景気後退への懸念、地政学リスクに対する警戒感などが解消へ向かうのをにらみながらじっくりと仕込んでいくことも可能になります。
日本株の場合は、世界の景気全体に対する景気敏感な特性があるため過敏な反応をしやすいといった側面はありますが、この為替圧力を日本企業は乗り越える必要があり、実際に収益構造の転換を図っている企業も多いとみられます。国内需要が盛り上がらないのは日本政府の政策的な失敗が国内企業の海外進出を促すこととなり、国内への投資が縮小の一途をたどってきたのが根因ですが、改めて内需掘り起こしが喚起されて企業の国内回帰が進むことで日本株も為替耐性が強化されていきます。
◆ドルはさらに大幅下落の可能性、年内120円も-為替予想首位のMPS(2023/4/7)
足元では先行きへの不透明感から市場憶測という面が強調されやすく、短期的あるいは一時的な企業業績悪化だけを切り取って株価が動いている面は否めません。日本市場は来週14日がオプション取引を清算するSQを迎える上で、指数の安値を今週のうちにつけた可能性があり、今晩の米雇用統計を月曜日に織り込むことを多少警戒しても底割れの心配は薄いとみてよいでしょう。
大局的には日本もコロナ制限の解放や規制緩和といった政策的な期待感が株価上昇につながりやすくなっていきます。とくに今春の統一地方選挙を経て、5月のG7サミット、そしてサミット後の解散総選挙などが政策の転換期待や相場そのものに政策的な吊り上げ策が講じられることにより、景気後退懸念はむしろ単なる市場ノイズとして押し目買い好機を演出するだけのものとなるでしょう。
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