【4/4日本市場の確認ポイント】
日経平均 28287.42(+0.35%)[28,139~28,287]
TOPIX   2022.76(+0.25%)[2,014~2,023]
マザーズ 753.91(▲1.16%)[753~761]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+3.12%)
2.その他製品(+2.60%)
3.鉱業(+1.36%)
4.電気・ガス(+1.33%)
5.陸運(+0.93%)

値下がりセクターTOP5
1.鉄鋼(▲1.36%)
2.空運(▲0.75%)
3.サービス(▲0.25%)
4.その他金融(▲0.17%)
5.小売(▲0.17%)

 日本市場は3日続伸で戻り高値を更新、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり889/値下がり853と拮抗し主役不在時の任天堂(7974)買いという特徴もみられましたが、傾向としては明らかに内需・ディフェンシブ株買いで鉄道株や電力・ガス、ファーストリテイリング(9983)などの新高値更新の動きにも特徴がありました。

 値上がりセクタートップは海運株、足元の景気後退懸念を背景とした下落から自律反発をみせた形。しかし、鉄鋼株や半導体株、機械株など景気敏感株が軟調に推移しており、直近の原油高を受けた石油関連株のみが材料後押しで続伸となりました。同じく原油高で思惑が波及しやすい商社株は買い一巡後に利益確定売りに押されています。

 米経済指標悪化から為替が円高に振れてきていますが、自動車や自動車部品株は上値維持。主力株はまちまちの動きと言えますが、セクターローテーションは継続中とみられます。前回お伝えしたように主力株物色が強まると新興市場からの資金流出は否めず、マザーズは軟調。直近IPO株では注目度が比較的高いTMN(5258)が公開価格から1.5倍ほどの初値で寄付きましたが、その後は売りに押される展開となっています。

【米国株概況】
リセッショントレード本格化の前に考えておくべきこと、米国投資中の人は来たる株安と為替円高に要注意

NYダウ 33402.38(▲0.59%)[33,275~33,634]
S&P500 4100.60(▲0.58%)[4,086~4,133]
NASDAQ 12126.33(▲0.52%)[12,081~12,224]
ダウ輸送株 14026.0(▲1.09%)[13,962~14,333]
半導体SOX 3142.5(▲1.81%)[3,126~3,209]
日経平均先物(CME) 28,090(▲0.60%)[28,010~28,330]
ドル/円 131.51~133.15(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.410%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.339%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 80.84(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 2037.15(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.9757(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.00(高値37.79:2/24)
SKEW指数 127.03(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 50(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)74.93(安値70.30:10/13)

 米国市場は堅調な推移から主要株式3指数ともに3月高値を上回ってきましたが、昨晩はそろって下落。OPECプラスのサプライズ減産発表に加えて、3日のISM製造業景気指数が市場予想を下回り、さらに4日のJOLTS求人件数が市場予想を大きく下回って1000万件割れとなったことを受けて景気後退懸念が再び強まってきました。
米求人件数が2月に減少、2021年以来の1000万件割れ(2023/4/4)

 米経済指標悪化に債券市場では米金利が低下、為替市場では米ドル売りが加速してドル円は4日に132円台、本日は131円台と急ピッチでドル安円高が進んできています。これと並行してドル建て資産価格は上昇し金(ゴールド)が2000ドルを突破して一段高、原油も産油国減産の上昇要因にドル安が拍車をかける形で81ドル台まで上昇してきました。

 昨晩は米経済指標悪化の景気後退懸念を反映しての株売り、債券買いという典型パターンですが、象徴的なのはダウ輸送株平均が2日間で▲2%超の下げとなっており、3月末の上昇分を吐き出しました。米国の製造業悪化はバイデン米政権になって以降ずっとなので、もう今更どうしようもないという状況に追い込まれ、これが米ドル高政策を転換することによっての解決策を講じてくるでしょう。

 問題は米景気の根幹となる雇用環境の悪化で、こちらは企業の求人件数悪化や最近の大量レイオフなどによって一段と進む可能性があります。そもそも求人件数などは人材サイトなどでのデータ推移から悪化しても驚きはないものの、経済指標で改めてハッキリとしてきた格好です。その点でも今週末に控える米雇用統計など米労働市場への注目度は今後一段と高まってくるとみられ、米FRBは市場の景気後退懸念と原油高にみる資源インフレの合わせ技による板挟み状態の中、スタグフレーションへの懸念に対応していかなくてはなりません。

 くしくも4月は米FOMCが無く、まだまだ時間がありますがそれがかえって市場のボラティリティを高めてしまうことになるかもしれません。足元でリスク指標は改善傾向にありましたが、VIX指数やFear&Greed指数にやや反転の兆しがみられ、オプション市場におけるプット売りが一巡し、むしろドテン買いに転じた可能性すら感じられます。

 米国株は元々このプット売り、コール買いによってオプション主導で吊り上げられていただけの可能性もあり、これが巻き戻されると好調なハイテク市場が今度は空売り筋に狙われやすいと言えるでしょう。米国市場は今週末が4/9イースターホリデー前のグッドフライデーで休場になりますので、今晩のADP雇用統計やISM非製造業景気指数で今週の取引はほぼ終了となるでしょう。米雇用統計の結果は週明けに織り込むことになるのと、為替では円高に進む中で米貿易収支の発表が今晩予定されていますので、米国株などに投資している方は株価が高水準であることと為替がまだ130円台にあることを考えれば利益確定を検討すべき時機かもしれません。

【日本株投資戦略】
日米市場デカップリングが奏功する展開か?内需・ディフェンシブか外需・景気敏感株か物色傾向を見定める時

 日本市場は米国株安と為替の円高問題に対してどこまで付き合うのかを見極めなければなりませんが、これまで何度も指摘してきましたように日米市場のデカップリングが一段と進んできています。米景気悪化懸念が進展していくと同時に日本では円高圧力が増してくることになると思われますが、それもあっての内需・ディフェンシブ株が堅調に推移していると言えるかもしれません。

 ただ、この景気悪化懸念によって景気敏感株が売られているところもまた押し目買い好機と捉えるのがよく、それほど悲観するような話ではありません。また、幸いにもファーストリテイリング(9983)の月次が好調で日経平均を押し上げる役割を担っていますので、来週13日の決算発表までは上値が継続する可能性があるでしょう。

 とすれば、来週に米雇用統計の結果を織り込んで景気敏感株の半導体株などが買い直されるようであれば、日経平均などは一段高する上値余地を残していることになります。為替の円高逆風があるために自動車やエレクトロニクスの上値が重くなることも懸念されますが、今のところ自動車関連株に上昇一服感などはみられておりません。

 一方で注意しておきたいのは内需・ディフェンシブ株の方で、主力の景気敏感株が持ち直してきた時にはセクターローテーションの関係上で利益確定の動きが出てくるか、あるいはそんなの関係ないとばかりに全体底上げとなるのかが不透明です。為替が円高に進んでくれば当然に内需株を選好するように考えるかもしれませんが、案外、上値を伸ばしきれないということになるかもしれません。

 いずれにしても今週は今日明日を最後に週末は米国休場前ということもあって動きにくいと思われる反面、米雇用統計への警戒感が払拭された来週は短期的な天井を探りにいく可能性があるかと思いますので、日経平均を左右しやすい大型株の動向を注視しておくようにしましょう。すでに上述したように、小型・新興株はしばらく小休止期間に入った可能性がありますので、ここから先は中途半端な水準でのエントリーは差し控えた方が無難かもしれません。

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