【3/31日本市場の確認ポイント】
日経平均 28041.48(+0.93%)[27,986~28,124]
TOPIX 2003.50(+1.02%)[1,998~2,010]
マザーズ 749.45(+0.27%)[745~754]
値上がりセクターTOP5
1.鉄鋼(+3.70%)
2.卸売(+2.63%)
3.精密機器(+2.27%)
4.輸送用機器(+1.70%)
5.金属製品(+1.28%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲4.68%)
2.食料品(▲0.37%)
3.ゴム(▲0.35%)
4.鉱業(▲0.18%)
5.なし
日本株は調整を挟みながらも2週連続で上昇し、日経平均は28,000円台を回復。欧米の金融不安に揺らいだ3月相場でしたが、月間ベースでは3カ月連続での上昇となり、3/9につけた高値も十分視野に入っています。年度末のリバランス需要もこなしながら出来高を増加させての上昇に上値期待も高まります。
3/31の東証プライム騰落銘柄数は値上がり1279/値下がり477と日経平均採用入れ替えなどもあった中で値上がりが優勢となり、中でも鉄鋼、商社、自動車などのバリュー株の優位性が際立ちました。とはいえ半導体株を中心にグロース株も堅調そのもので代表株であるレーザーテック(6920)が3月高値を更新してきたことが象徴的。
一方、海運株が軒並み大幅安となり日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)がそれぞれ▲4.1%、▲4.3%、▲7.9%と厳しい売り浴びせに遭いました。配当落ち後の翌日は切り返したものの、一転して売りに押されておりバリュー株の中でも選別色が強まる可能性を示唆するものと言えるかもしれません。また、新興市場もやや上昇の勢いが鈍ってきており、直近IPO株は初値急騰など盛り上がりを見せているものの、主力株の動きが良くなるにしたがってプライム市場に資金が舞い戻っていく可能性がありそうです。
【米国株概況】
週末株高は目を見張るものがあったものの、OPECプラスのサプライズ減産で市場環境が急変する可能性も
NYダウ 33274.15(+1.26%)[32,901~33,291]
S&P500 4109.31(+1.44%)[4,056~4,110]
NASDAQ 12221.91(+1.74%)[12,030~12,227]
ダウ輸送株 14438.7(+2.19%)[14,172~14,445]
半導体SOX 3230.9(+0.70%)[3,233~3,178]
日経平均先物(CME) 28,205(+0.41%)[27,935~28,235]
ドル/円 132.58~133.59(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.329%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.473%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 75.70(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1986.70(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.0825(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)18.70(高値37.79:2/24)
SKEW指数 125.85(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 49(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)75.55(安値70.30:10/13)
米国市場は寄り前に発表された2月PCE(個人消費支出)価格指数が、変動の大きい食品、エネルギーを除くコア指数で前月比+0.3%と1月分改定値の+0.5%から伸びが鈍化し、市場予想の+0.4%も下回ったことでインフレ懸念が緩和、これが5月FOMCの利上げ見通しを抑圧、あるいは早期打ち止めを期待できる材料として株式市場は軒並み高となりました。
業種別ではS&P500の全11セクターが上昇し、小売や不動産、コミュニケーションなどを中心に大きく反発、そこに素材、IT、資本財などが続き景気敏感株優位がみてとれます。ディフェンシブのヘルスケアや生活必需品、公益なども上昇しましたが、ダウ輸送株平均が+2%超の上昇を見せたことからも米景気後退への懸念が薄らいだ反応と言えます。最下位はエネルギーセクターでしたが、この週末にOPECプラスが急遽サプライズ協調減産に踏み切ると報じられており、今朝のWTI原油先物価格では1バレル80ドル台と急伸しています。
◆OPECプラス、サプライズ協調減産-5月から日量100万バレル超(2023/4/2)
前週末の市場ではインフレ指標の鈍化を受けて米金融政策の早期利上げ停止を期待する向きが強かったとみられますが、OPECプラスのこの発表は原油市場の価格安定を維持するためと謳っていることとは裏腹に、世界中のインフレ圧力を強める方向へと導く可能性があります。つまり、米FRBはインフレ再燃への警戒を緩めることができなくなり、高金利環境の長期化を余儀なくされるということになります。
また、OPECプラスが原油供給を絞る背景には価格を維持して高い利益マージンの恩恵をできるだけ長く受けたいとの思惑があることはもちろんだと思われますが、それ以上に今後想定されるリセッションリスクへの備えという側面も十分考えられます。市場では米景気のソフトランディングやインフレ鈍化、そして米金融緩和環境の継続といったバラ色のご都合主義的な未来を期待する部分が織り込まれていると言え、これが剥落すると米国株、とくに金融不安後の急反騰したハイテク株や懸案の新興ベンチャー株などにはかなりの逆風が予想されます。前週末はかなり強い相場でしたが、週明けになって景色が変わってくるようですとこの2Q(4月~6月)の米国株は2番底を探りにいく展開もあることを想定しておいた方がよいでしょう。
【日本株投資戦略】
欧米金融不安がもたらした後遺症が燻る中で日銀政策修正にからむ思惑、為替と株価の関係変化が4月相場の焦点
日本市場は年度替わりでファンドの新規設定や引き続き配当再投資の期待買い、あるいは強気相場入りへの期待感など投資家のセンチメントも良好で強いモメンタムが続く可能性が高いと言えます。前週末の米国株高を受けて続伸で始まりそうな日本株ですが、注目されるのは株価の上値よりも日本の10年債利回りの推移を見ておくべきかもしれません。
日本株は欧米の金融不安から恩恵を受ける形となることを前回指摘しましたが、この金融不安からもたらされる影響として他にも日銀の政策決定に作用してくる面が大きいことも挙げられます。金融問題の影響から日本の10年債利回りは安全資産需要から一時0.2%台まで急低下しましたが、懸念緩和に伴う世界の金利全体の上昇とともに日本金利も水準を取り戻してきています。問題はその値動きの大きさで債券市場の機能低下が改めて浮き彫りになったとも言え、日銀が政策修正に動くべき蓋然性はなおさら高まったと言えるかと思います。
◆ブルーベイ、日銀のYCC放棄予想-日本国債ショート最大限に増やす(2023/3/31)
どのタイミングでそういった市場観測が持ち上がってくるかにもよるかと思いますが、まず日米金利の動向に注目しつつ真っ先に為替相場に影響を及ぼしてくるとみられ、足元の米金利上昇を背景とした米ドル回復の持続性とも絡み合ってきます。上述しましたように米金融政策の利上げ見通しがこのまま早期利上げ停止を市場が織り込んでいくうちは米金利の上昇は抑制的と言えますが、今回のOPECプラスによるサプライズ減産発表によってインフレ懸念が再燃してくるようなことがあれば米FRBが単純に利上げ加速という選択肢を持てるのかどうか怪しいところです。そうなると、市場の懸念は利上げ長期化とともに景気後退が進むことによってスタグフレーションへの警戒感が高まることにつながってしまう恐れがあるのです。
ただ、こうしたリスクを市場が意識することによって為替市場がどう反応してくるのかが大きな注目点であって、日米はこれまでも金融政策に大きな違いがありましたし、株式市場においてはすでにデカップリング傾向が鮮明になっています。米国市場におけるインフレ対応に伴う金利上昇あるいは景気後退織り込みに伴う金利低下といった相反する動きがランダムに生じる可能性がある中において、日本市場では日銀の政策修正判断は遅かれ早かれ正常化に向かわせるべきとの論調が強まってくるはずです。
その際、為替市場では現在の金融不安反動としてのドル高円安基調が転換し、円高方向へと舵を切ってくる可能性が高まってくるとみられ、これが日本株にとってどういった影響を及ぼすのかを注視していく必要があります。単純に円高=株安という構図で再び売られるのか、あるいは為替の逆風よりも反発力が勝って円高であっても株高を続けることになるのか、これを次回の日銀金融政策決定会合(4/27~28)に向けての大きな焦点になってくるものと思われます。
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