【3/30日本市場の確認ポイント】
日経平均 27782.93(▲0.36%)[27,630~27,876]
TOPIX   1983.32(▲0.61%)[1,974~1,988]
マザーズ 747.46(+0.13%)[745~752]

値上がりセクターTOP5
1.ゴム(+0.90%)
2.精密機器(+0.56%)
3.空運(+0.40%)
4.電気機器(+0.35%)
5.電力・ガス(+0.03%)

値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲2.89%)
2.証券・商品先物(▲2.67%)
3.その他金融(▲2.00%)
4.水産・農林(▲1.90%)
5.海運(▲1.82%)

 日本株は配当落ち影響から反落でしたが、前日の上昇貯金がクッションになったほか配当落ち銘柄の下値に買いが入り、引けにかけて大きく値戻しする動きとなりました。やはり売り物をこなした後は配当落ち影響の少ないグロース株が早々に出直ってファーストリテイリング(9983)やソニー(6758)、第一三共(4568)がしっかりの動きでした。

 一方で配当落ち影響の大きいバリュー株は金融株中心に売りが強まり、保険やノンバンクは二番底を意識する動きがみられました。ただしバリュー株全般にそうではなく、海運株や鉄鋼株などは配当落ちで相応に売られたものの、その後は買い直されるなど底堅い動きを見せました。

 グロース株の代表どころであるレーザーテック(6920)が大幅上昇したのを筆頭に、新興市場も一時マイナス圏に沈む場面はありながらも前日比プラスを確保。直近IPO組は連日のように新台入れ替えがあるため資金の出入りが激しいですが、大型案件の住信SBI(7163)やエニマインド(5027)を除けばどれも高い初値がついており、投資家のセンチメントは期待先行で強気な様子も窺えます。

【米国株概況】
金融不安から米景気に焦点が戻る米国市場、米経済指標にらみでS&P500のカベに挑む

NYダウ 32859.03(+0.43%)[32,682~32,905]
S&P500 4050.83(+0.57%)[4,032~4,057]
NASDAQ 12013.47(+0.73%)[11,953~12,044]
ダウ輸送株 14071.9(+0.99%)[13,984~14,100]
半導体SOX 3157.1(+3.27%)[3,105~3,176]
日経平均先物(CME) 27,940(+0.50%)[27,625~27,975]
ドル/円 132.19~132.95(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.315%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.730%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 74.35(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1997.00(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.1040(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.02(高値37.79:2/24)
SKEW指数 126.31(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 44(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.74(安値70.30:10/13)

 米国市場は10-12月期GDP確報値が発表されて前回や市場予想を下回る結果となりましたが、株式市場の反応は限定的で米FRBメンバーからはいずれも追加利上げを示唆する発言が相次ぎました。金融不安の事後処理はしばらく続くものの、インフレ抑止を優先させたい当局発言からは米景気に対して金融混乱でも一定の耐性があるとみている様子が窺えます。

 ひとまず金融不安騒動が小康状態になった安心感から市場は反発基調にあり、S&P500は4050pt台まで回復しました。市場関係者はS&P500の4065pt付近にコールオプションの大きな壁があることを意識しており、これを上回って反騰態勢入りするかに注目が集まっています。今晩の2月米PCE価格指数の発表を控えて上値の重さも出ていますが、このインフレ指標および来週の3月米ISM製造業・非製造業景気指数、3月米雇用統計など米景気の実態を確認するまでは米利上げ見通しが変わる可能性があるため動きづらいというのが本音かと思われます。

 対して米FRBは今回の金融不安で大量資金供給を行って危機対応に当たったため、将来のインフレが再燃してくることを見越して追加利上げの方針を固めるはずです。懸念されるのはインフレが再燃する一方で金融業界への規制強化などが長期的に米経済を冷え込ませる要因となるために、スタグフレーションに陥る可能性を強めてしまうことです。

 ただし金融市場に限ってみれば、将来の期待インフレ率が上昇することで米FRBの追加利上げを正当化することにつながりますが、実質金利が低く抑えられることで結果的に株価にはプラスになるでしょう。米景気の先行きは悪化懸念があるからこそ金融当局が市場に資金を供給したわけでもあり、悪材料がかえって米国株の下値を支えることになります。いわば暴落クッションを用意しているようなもので、米国株はしばらく反騰と急落を繰り返しながら200日移動平均線をはさんだ攻防が展開されそうです。

【日本株投資戦略】
金融不安が日本株に与えた計り知れない程の恩恵、危機前の3月高値を更新し日経平均は29000円台トライへ

 日本市場は配当落ち分を加味すると昨日は実質的にプラス引けということになり、配当再投資期待の買いはもちろん配当落ち後の下値買いの意欲もかなり高かったとみられます。本日は年度末ということもありファンド勢の期末リバランスなどの影響は出るかもしれませんが、この3月に世界的な金融不安が持ち上がったおかげ(?)で空売りもたんまり入りましたので買戻し需要も相応にあります。
高配当株、権利落ち後も底堅さ 日経平均は実質上昇(2023/3/30)

 日本市場では金融不安が金融機関に与える影響としては、むしろ国債価格が急騰したおかげでメガバンクや地銀などは含み損整理する良い機会になったと言えるくらいです。また、金融不安の余波として日銀の政策修正が早まるとの観測にもつながっており、金融市場の正常化を目指す動きを後押しすることになったとも言えます。

 要するに、危機はチャンスになったという面が株価だけでなく日本の経済環境にも言えることで、それは世界全体で考えましても欧米金融中心の資本主義の在り方を見直すきっかけにもなっています。足元で為替は金融不安の後退で円安方向に振れてきましたが、有事の円買いというかキャリートレードの巻き戻しなのですが、いずれにせよ欧米からの逃避マネーが日本円を選好したと言え、とくに有事のドル買いとならなかったところに大きな潮流の変化があります。

 株式市場においても金融不安が燻るといいますか、後遺症が残るのはある意味当然であり、いつ信用不安に発展するか分からない状況でこれまで通り欧米市場に投資することが最適解なのか?という投資家に疑問を呈すきっかけになっています。つまり、欧米株式からの退避資金がアジアに振り向けられるのは自然の流れであると言え、日本や中国の株式市場が一段と注目されやすくなります。

 実際、欧米マネーは金融不安が起こる前の段階でその大半が現金ポジションあるいは短期証券に集中していましたので、実損の被害としてはかなり限定的で、本来のリスクマネーが委縮するとは到底考えられません。それどころか緊急対応と称して米FRBが事実上の金融緩和を行いましたので、バブルの狂騒劇はより激しさを増して展開されていくことが想定されるでしょう。

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