【3/23日本市場の確認ポイント】
日経平均 27419.61(▲0.17%)[27,175~27,461]
TOPIX   1957.32(▲0.29%)[1,938~1,960]
マザーズ 754.49(+1.19%)[735~754]

値上がりセクターTOP5
1.非鉄金属(+1.05%)
2.サービス(+0.90%)
3.ゴム(+0.79%)
4.空運(+0.75%)
5.石油・石炭(+0.70%)

値下がりセクターTOP5
1.保険(▲1.56%)
2.医薬品(▲1.43%)
3.精密機器(▲1.15%)
4.銀行(▲1.04%)
5.情報・通信(▲0.61%)

 日本株は米FOMCが事前予想通りの利上げ決定となった一方、イエレン米財務長官の発言を嫌気した米国株安を受けて、寄付は軟調スタートでした。朝方はほぼ全面的に安かったものの、米国で求人サイト事業を展開するリクルート(6098)は大規模レイオフ発表が好感されて大幅高となったほか、半導体株などを中心に徐々に押し目買いが優勢となり前日比変わらずのところまで値を戻しました。

 最終的に東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1059/値下がり688と堅調でしたが、日経平均はファーストリテイリング(9983)やソニー(6758)などの値がさ株が戻しきれず小反落。TOPIXも銀行や保険などの金融株安が重しとなりました。一方で、直近不安定な動きを見せていたマザーズ指数は逆行高、ビジョナル(4194)がリクルートとともに連れ高して新興市場を引っ張り上げました。

 この日新規上場したのはハルメク(7119)、アイビス(9343)、日本ナレッジ(5252)の3社で、ハルメクは公開価格を15%上回る初値をつけた後も買い進まれてストップ高。以下の2社は元々の公募金額も小規模であったことから人気殺到で上場初日は値がつきませんでした。足元の地合い悪化で既存株式の需給が緩む中、リスクマネーがIPO案件に流入する様子も窺えます。

【米国株概況】
半導体SOXが戻り高値を更新しハイテク株への資金集中、為替はドル安で金価格が再び2000ドル接近

NYダウ 32105.25(+0.23%)[31,864~32,511]
S&P500 3948.72(+0.30%)[3,919~4,007]
NASDAQ 11787.40(+1.01%)[11,684~11,962]
ダウ輸送株 13687.7(▲0.16%)[13,601~13,989]
半導体SOX 3174.4(+2.67%)[3,119~3,216]
日経平均先物(CME) 27,025(▲0.35%)[26,920~27,370]
ドル/円 130.31~131.66(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.295%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.414%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 69.53(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1993.45(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.0975(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.61(高値37.79:2/24)
SKEW指数 125.50(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 37(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.75(安値70.30:10/13)

 米国市場は最近の欧米金融不安をふまえながらも米FOMCで0.25%利上げを決定し、事前予想通りの結果であったものの22日の米国株は急落となりました。欧州ECBに続いて米FRBもインフレ対応を優先せざるを得ないとの見解は変わっておらず、今後の見通しにおいても追加利上げの可能性を残しました。

 米国株急落の要因はむしろイエレン米財務長官の全面的な預金保護検討を否定した発言で、その前に全面保護を匂わせたことで株高となっていた分、単にそれが剥げ落ちた形と言えるでしょう。イエレン米財務長官にとっては思いのほか株安が大きいと見えたのか、昨晩は再び金融混乱が生じるような事態では預金保護で追加措置をとると明言しています。

 実際の市場参加者は金融当局の対応に懐疑的で、パウエル米FRB議長が年内の利下げを否定してもなお利下げ可能性が残ることを意識、今後数か月以内のうちに景気後退局面が訪れることを見越したトレードに傾倒しています。どちらかというと、それが前提でソフトランディングかハードランディングかの違いで見解が割れるといった状況でしょうか。

 その一方、時間軸からみると仮に景気後退懸念が生じるにしてもまだ先の話と割り切る短期筋は、ハイテク株に資金を投じており半導体SOXなどが堅調な動きとなっています。その一方、景気悪化の先行指標とされるダウ輸送株は調整局面入り目前と、同じ株式市場の先行指標でも相反する動きを見せています。

 ただ、全体的にならせばS&P500も底割れせずに値を保っている状況で、これには米FRBのバランシート拡大の恩恵が滲んでいます。率直に申し上げて、米FRBが0.25%利上げをしても短期間にこれだけの資金供給が行われれば市場が底堅く推移するのは当然と言えば当然で、金融引き締めよりも緩和影響の方が大きくなります。しかし、米FRBはこれを一時的対応としていますので、再びQT(量的引き締め)を開始するときに米国株は調整を余儀なくされることになるでしょう。

【日本株投資戦略】
米株安や為替円高の逆風でも底堅さを見せる日本株、来週の配当落ち後の展開に期待感

 日本市場は欧米金融不安が峠を越えて22日の休場明けは大幅高となりました。昨日も米国株急落の逆風がありながらも押し目買いで下げ幅を縮小し、週初の下落を無かったものとしています。日経平均は直近の上値抵抗ライン付近での攻防を繰り広げており、ここは200日移動平均線や75日移動平均線などが意識され、売り買いが交錯しやすいところでもあります。

 戻り売り圧力を解消できるかが今後の焦点となりますが、来週は250円ほどの配当落ちがありますので実質的にはまだ上値抵抗を抜ける段階には至っていないとみられます。出来高水準もやはり迫力不足ですので、配当落ち分を消化してからが本格的に上値を試せるかどうかになるでしょう。

 一方で、上述しましたように市場では金融不安から派生した景気後退懸念が重しとなりやすい状況である中、欧米の金融当局はいずれも利上げを決定した上で、今後もインフレとの闘いを継続する見解を示しました。これはある意味、金融不安の余震が続いて景気悪化をもたらそうとも、短期資金供給で対応可能としながら景気を抑制していかなくてはならないとみているということです。

 これまでの急ピッチ利上げの効果が金融市場に影響を及ぼしていることは重々承知した上で、それでもなお利上げが必要という姿勢を崩していません。おそらく今後も更なる金利上昇によって経営不安や破綻などする銀行が出てくることになるかもしれませんが、金融当局はそれらへの対症療法として事後処理しながら預金保護などを通じて不安解消に努め、業界の再編・淘汰を推し進めていくものと思われます。

◆ECB利上げ効果、表れ始めたばかり 金融混乱で増幅も=総裁(2023/3/22)
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-lagarde-idJPKBN2VO0QT

 そして、景気はまだまだ現行の金利水準でも十分に耐えうる底堅さがあると見越しての利上げ決定であり、むしろ日本、中国に加えて米国も今回一時的であるにせよ金融緩和を行ったがゆえに景気が再加速する可能性があると判断しているのでしょう。だからこその将来の追加利上げ方針をあわせて示しているのであって、歴史的なインフレを根治するにはまだまだ不十分ということです。

 つまり、今後は景気悪化懸念を市場が一定程度織り込みが完了すれば、再びソフトランディング期待などで再浮上してくるシナリオが見えてくることになります。だからこそ押し目買いに動く投資家も多く、期末の配当落ち後はさらに値ごろ感が出てバリュー投資家の触手が伸びてくることでしょう。

 その一方、目先は配当落ち影響の少ないグロース株に短期筋の目線が集中しやすくなるとみられ、景気後退懸念の先に再浮上のシナリオが用意されていることを前提に考えれば、半導体株が上値を試しにいく動きも納得がいくものです。日本株は足元で期末の円高要因も重なってきていますので、この円高影響が日本株の重しとなるのか、あるいはそれを押し退けて底堅い動きを見せるのか注目しておくべきでしょう。

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