【3/20日本市場の確認ポイント】
日経平均 26945.67(▲1.42%)[26,945~27,367]
TOPIX 1929.30(▲1.54%)[1,929~1,956]
マザーズ 731.98(▲4.01%)[731~763]
値上がりセクターTOP5
1.なし
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲3.78%)
2.倉庫・運輸(▲3.19%)
3.不動産(▲2.76%)
4.陸運(▲2.32%)
5.空運(▲2.21%)
日本株は欧米金融不安から波及した景気後退懸念への警戒から景気敏感株を中心に全面安の展開、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり93/値下がり1723となりました。ゆうちょ銀行の大規模売出しを消化する中、米国株下落を受けた投資家心理が悪化し日経VIは22.8ptまで高騰。前日に大幅高したマザーズ指数は▲4.0%と上昇分以上に下落となりました。
全面安商状の中でも日経平均の下落を牽引したのはファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)といった値がさ株ですが、TOPIXも海運大手3社や銀行株の大幅安を受けて下落しており、円高が重しとなる外需株だけでなく内需株も百貨店や鉄道、空運など旅行・インバウンド関連も大幅安する展開。経済再開による回復期待が剥落したような動きとなりました。
また、欧米の金融不安を横目に新興市場での物色は賑わっていたところに大きな売り圧力がかかったため、内需でかつ日本の金利低下にしたがった小型グロース株物色も撃沈。ただ、中小型株市場では22日からIPOラッシュとなってくるために資金捻出のための売り需要が嵩んだような一時要因も含まれていると思われます。
【米国株概況】
金融当局の異例対応で金融不安を払拭、債券・金が売られて安全資産の需要後退が鮮明
NYダウ 32560.60(+0.98%)[32,346~32,593]
S&P500 4002.87(+1.30%)[3,97~4,009]
NASDAQ 11860.11(+1.58%)[11,724~11,879]
ダウ輸送株 13994.0(+1.67%)[13,852~14,092]
半導体SOX 3116.9(+0.07%)[3,071~3,169]
日経平均先物(CME) 27,110(+1.65%)[26,815~27,145]
ドル/円 131.03~132.62(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.218%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.608%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 69.42(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1946.40(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.0035(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)21.38(高値37.79:2/24)
SKEW指数 127.46(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 38(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.97(安値70.30:10/13)
米国市場は20日から21日にかけて金融不安再燃により急落する場面が生じるも、イエレン米財務長官が全面的に預金を保護する考えを示唆したことで急反発。NYダウ先物は取引時間外での一時31,500ドル割れをつけた後から1,000ドル超の回復をみせています。市場の話題となっている米地銀株もファースト・リパブリック株などが20日に上場来安値更新した後に一時60%近い急騰をみせるなど、金融システム不安は大きく後退しました。
また、米銀発の金融不安で貸し渋り懸念も浮上して売られた景気敏感株なども買い戻されたほか、米金利も上昇して安全資産需要が後退。同時に、一時2,000ドル台を回復していた金(ゴールド)価格も反落していることから一連の金融不安騒動はひとまず収束に向かったとみてよいかと思います。これを背景にリスク指標は大きく改善し、先週30pt近くまで上昇していたVIX指数は21pt台まで低下、Fear&Greed指数もEXTREME FEAR:極端な恐怖の20ptからFEAR:恐怖レベルの38ptまで戻しています。
足元で開かれている米FOMC前に金融当局が市場混乱の事態収拾を急いだことで、米利上げ政策も予定通り行われる公算が高いとみられます。欧州ECB、スイス中銀と同様に金融システム不安の払拭に尽力する一方で、長期化するインフレとの闘いも重要な米FRBの使命であることから、QT(量的引き締め)中にもかかわらず一時的なバランスシート拡大に踏み切った金融当局には何が何でも予定どおりの利上げ方針を維持するとの強い意志が感じられるかと思います。
米金融機関は当局の後押しもあって債券ポートフォリオのリスク整理する機会を与えられたとみられ、低金利環境で固定された債券を損切りする好機になったのではないでしょうか。金融機関にかかったストレスは金融システム不安が後退したことにより銀行のALM運営には金利リスクを許容できるだけの体力が回復したとみることができるかと思います。
米国株はすでに前回解説しましたように、金融不安から景気後退懸念の方がより関心が強まってくるとみられ、米FOMCで利上げ決定された後の動きがむしろ重要となってくるでしょう。足元の市場混乱が落ち着きを取り戻していくにしたがい、金融不安で積み上がったショートポジションが解消に向かうため、株式市場ではこの2日間にみられたようなショートカバー(売り方の買戻し)が一定期間に亘り続くとみられます。問題はその買戻し一巡後で、4月に入る頃には再び米経済指標にらみで特に米労働市場に今回の金融不安が及ぼす影響をどういう形で反映されてくることになるのかを注視していく必要があるものと思われます。
◆投資家の関心は金融不安ではなく好調な米経済-MLIVパルス調査(2023/3/20)
【日本株投資戦略】
休場明けは海外の金融不安後退から大幅反発、金融不安で沈んだ金融株やソフトバンクG買戻しが象徴的な動き
日本市場は祝日をはさんだことで海外市場の2営業日分を織り込む動きとなりますが、この間に欧米市場では金融不安後退から大きく反発したことを受けて、本日は震源地でもあった金融株の買戻しを中心に全面高商状となっています。一連の騒動にちなんでとくに下落の大きかったセクターは、米国同様に売り方の買戻しも加わって寄付から大幅反発をみせております。
やはり銀行や保険、証券といった金融株の上昇が目立ちますが、象徴的な動きはソフトバンクG(9984)の大幅反発などでしょう。それ以外にもエネルギー株や海運株なども買い戻されており、また、これらには足元で急落した高配当利回り株などが含まれている分、期末配当狙いの投資家が押し目買いに動いている側面もあるものと推察されます。
日本株も20日大引け後の日経先物時間外では26,500円割れとなる場面がありましたが、休場中の海外市場で大きく戻してきたこともあり、多くの投資家が難を逃れることができたと言えるでしょう。押し目待ちで待機していた投資家などは下値を叩かれる場面で動けなかったことを残念がる気持ちがあるかもしれませんが、金融不安前の水準に戻してきている銘柄は限られています。
ちょうど今回は彼岸底を形成、中には1月が年初来安値の銘柄も多くありますが、3月の四季報新刊が発売されたこの時期にバリュー株・グロース株問わず調整をはさんだことは投資家にとって多大な恩恵があることと思われます。最近の日経平均レンジは以前お伝えしたとおり概ね26,600円~27,300円で、本日は休場明けという特殊事情もありますが、この上値抵抗ラインを突破してきたことになります。
市場を混乱に陥れた金融不安騒動が収束に向かったことに伴い、期末特有のファンドリバランスなどはまだ続く可能性があるものの、下値不安はだいぶ解消されたとみておいてよいでしょう。仮に欧米で景気後退懸念が強まっていくとしても、3月の配当落ち分を加味しても先物の下値が26,500円程度であったことを勘案すれば、日本株の底値は3月中に固まってくるものと考えられます。
ここから月末にかけて市場物色の傾向が定まりづらいため銘柄選びは難しいかもしれませんが、グロース株は業績面、バリュー株は指標面に的を絞って、それぞれ前者は順張り、後者は逆張りと投資スタンスを明確にしながら行っていくとよいでしょう。上述しましたように3月の四季報新刊や株式情報サイトなどでも投資妙味のある銘柄が色々見つけられるかと思います。期末にかけて落ちる場面などあれば丹念に下値を拾っていくと、あの時押し目買いしておいてよかったなと思える日が来るかと思います。
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