【2/21日本市場の確認ポイント】
日経平均 27473.10(▲0.21%)[27,359~27,538]
TOPIX 1997.46(▲0.11%)[1,992~2,003]
マザーズ 764.34(▲0.34%)[764~771]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.90%)
2.繊維(+1.96%)
3.石油・石炭(+1.85%)
4.非鉄金属(+1.67%)
5.紙・パルプ(+1.45%)
値下がりセクターTOP5
1.空運(▲1.24%)
2.陸運(▲1.11%)
3.小売(▲0.74%)
4.銀行(▲0.65%)
5.サービス(▲0.51%)
日本株は米国休場で手がかり難の中、引き続き一進一退の小動きを続けました。日経平均は一時3ケタを超えて下落する場面がありましたが、すぐさま押し目買いが入り持ち直しています。指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)、ファナック(6954)がやや大きめの下落で日経平均を押し下げたほか、百貨店や空運、陸運といった経済再開銘柄に売り、金融株もメガバンク、生保が下落でやや上値の重さが意識されるも損保は買われました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり999/値下がり756と上昇した銘柄はそれなりに多く、前回に続いてゴムが大幅な続伸商状だったほか、紙パも上昇を強めてきました。低PBR・高配当株の物色傾向は変わらずバリュー株内での循環物色で、鉄鋼株には上昇にやや陰りが見え始めた一方で非鉄金属が全般に買われたほか、素材系では材料のあった東レ(3402)などに物色の矛先が向かいました。
原油市場が中国の需要期待やロシア・中東の供給懸念を再び意識して持ち直す動きから鉱業セクターが値上がりトップ、石油関連株が軒並み買われ石油元売りもコスモHD(5021)の大幅高などが目立ちました。他方、新興市場ではマザーズが前場堅調だったところから崩れ出し、時価総額上位が売りに押されたほかJTOWER(4485)なども引けにかけて下げ幅を拡大して▲5%弱の下落となりました。
【米国株概況】
米小売り大手の決算に投資家心理が動揺、米長期金利は4%に接近でグロース株売り強まる
NYダウ 33129.59(▲2.06%)[33,115~33,699]
S&P500 3997.34(▲2.00%)[3,995~4,052]
NASDAQ 11492.30(▲2.50%)[11,491~11,684]
ダウ輸送株 14645.3(▲3.24%)[14,643~15,018]
半導体SOX 2906.3(▲3.31%)[2,901~2,992]
日経平均先物(CME) 27,255(▲0.71%)[27,250~27,520]
ドル/円 134.16~135.23(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.503%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.954%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 76.22(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1844.35(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.2157(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.87(高値37.79:2/24)
SKEW指数 124.09(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 63(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)73.41(安値70.30:10/13)
3連休明けの米国市場は2月米総合PMI速報値が強い結果を示し、米長期金利が3.95%まで一段高となるなど米FRBによる利上げ強化姿勢をまともに受け止め始めた債券市場に続き、株式市場でもさすがに米金利が昨年11月以来の水準にまで上昇してくると現実に引き戻されて大幅反落となりました。
NYダウは小売大手のホームデポが決算ミスで▲7%超の急落となったことなども重なり投資家心理が悪化、米金利上昇が逆風として意識されやすいグロース株も半導体大手のインテルやEV大手のテスラが▲5%超の大幅安を演じるなどナスダックも大幅安で、主要株式3指数はいずれも▲2%超の大幅安となりました。
しかし問題は先行指標のダウ輸送株と半導体SOXが一緒に▲3%超の大幅安となったことで、これまで高値圏で波乱含みながらも持ち堪えてきたもみ合いの均衡が崩れるきっかけを作ったことです。ここにきてやはりリスク指標が敏感に反応し始めてVIX指数が23pt台まで急伸したほか、ハイイールド指数も年初の水準にまで押し戻されています。
今晩はFOMC議事録の公表と半導体関連のエヌビディア決算が控えており、市場が気にする米FRBスタンスや半導体市況の回復が期待先行だったことが裏付けられると、これまでの楽観が打ち砕かれることにつながります。とくに米FRBメンバーからは前回2月FOMCで0.25%ではなく0.50%の利上げを支持していたと後出し発言も飛び出していることから、足元の米経済指標が堅調なことを理由に3月FOMCでは0.50%利上げに強化されるとの見方が強まることも懸念されるでしょう。
また、半導体市況につきましても著名投資家がこぞって市況回復の遅れに懸念を示し、年初来の株高を利用しながら売り抜けた動きなどを鑑みましても、米金利水準と相まって割高感が意識されやすくなることは否めません。
この週末に1月米PCE発表が控えていますので、ここでインフレ鈍化と米国の消費動向が市場予想とそれほど乖離しなければ下げのプロセスも短期的に収束し、多少のバリュエーション調整で済んだねという話になる可能性もありますが、仮に米長期金利が4%を上回って昨年の高値を見にいくような展開になると年初来の上昇を打ち消してしまう懸念が深まるでしょう。
【日本株投資戦略】
米国株急落も為替円安で影響緩和、しかし投資家心理の悪化は避けられず「節分天井、彼岸底」実現か
日本株はここまで一進一退の膠着状態を続けながら、うまくセクターローテーションで資金を回してきましたが、さすがに米国株の大幅安をうけて連れ安する展開を余儀なくされるでしょう。しかし、米金利上昇を背景に為替が円安に振れてドル円は135円台をつけていますので、輸出企業がこれを支えに持ち堪えれば影響はそれほど大きくなりません。
ただ、米国株は3連休明けということがあったとはいえ、終日に亘り一貫して下げ続けており指数アルゴリズムが下落転換している場合はダラダラと売りが続く可能性もあります。その場合、日本株は米国株安を為替円安で多少相殺しながら上値が切り下がっていくシケた相場になりやすいと言え、指数が▲2%も▲3%も急落するようなことは免れるかもしれませんが、投資家心理は徐々に悪化していきます。
足元の日本株の特徴は上値が限定的な中であっても下がれば押し目買いが入って下値も固い状況でした。この大部分は日経VIが2020年以来の水準にまで低下した投資家心理の改善に支えられているもので、とにかくグロース株、バリュー株を交互に物色して、TOPIXを最高値圏にまで押し上げてきました。
足元では低PBR株や高配当利回り株などを買い漁って、日本株全体のバリュエーションには割安感が無くなるところまできており、その一方では日本も金利上昇の波が襲ってこようとしています。とくに年初から堅調だったグロース株が崩れ出してしまいますと、投資家心理が大きく削られますので、あとはバリュー株の投資家が本当に高配当狙いで株価下落局面でも手放さずに長期目線を維持できるかどうかが試されます。
マザーズなどの新興株は元々が短期筋中心で、投資家心理が悪化すればすぐに見切り売りが出てくるでしょうけれども、最近では大型株や値がさ株などでも短期トレーダーが暗躍して大きな値幅が出るようになっています。つまり、高配当株でも大型株だから底堅いとの認識は通用しづらく、配当利回りが高くてもそれ以上に株価の下落率が大きくなることも覚悟しておく必要があります。
日本市場は明日が天皇誕生日で休場、休み明けの週末は次期日銀総裁候補である植田氏の所信聴取が控えており、売り物が出てきてもこれまでのように押し目買いが入ることを期待しづらい日程となっています。おそらく植田次期日銀総裁が就任前に現在の金融政策について踏み込んだ発言などはしないと思われ、サプライズ急落などにはつながらないでしょうけれども、外部環境の悪化なども懸念につながる恐れがあります。
くしくも2/24はロシアのウクライナ侵攻からちょうど1年が経つ節目を迎えるところとなり、米ロともに両大統領が演説した中で直ちに和平交渉に動く様子はみられておりません。ロシア対NATOの事実上の代理戦争が激化してくれば、「戦争は買い」の相場格言に照らし合わせて昨年同様に逆張りすることもチャンスになるかと思います。
しかし、その前に直近の相場で押し目買いした投資家が今度は戻り売り側になってくると予想されますので、自然と相場の需給悪化が鮮明になってくると思われます。高値掴みしてしまったポジションは論外ですが、最近買った銘柄などは年初の水準と現在の株価の位置関係をチェックして、3月末の配当権利日まで自分は何%の下落を許容するのか、配当で十分まかなえる範囲なのかをあらかじめ考えておくことも大事でしょう。
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