【2/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 27513.13(▲0.66%)[27,466~27,608]
TOPIX 1991.93(▲0.46%)[1,987~1,997]
マザーズ 766.05(▲1.79%)[764~776]
値上がりセクターTOP5
1.ゴム(+3.60%)
2.鉄鋼(+2.36%)
3.繊維(+0.69%)
4.水産・農林(+0.63%)
5.紙・パルプ(+0.50%)
値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲1.59%)
2.サービス(▲1.53%)
3.電気機器(▲1.41%)
4.鉱業(▲1.29%)
5.石油・石炭(▲0.96%)
日本株は米金利上昇により為替の円安進行が下支えしたものの、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり617/値下がり1134と値下がりが優勢でした。半導体株のレーザーテック(6920)ほか、ソフトバンクG(9984)やソニー(6758)などグロース株が下落を主導し、リクルート(6098)は決算通過後の強烈な売り浴びせにより底割れの動きとなりました。
期末の配当取りを意識した買いで高配当利回り株などは逆行高し、銀行株や鉄鋼株、商社株などは堅調な動きを継続、象徴的なJT(2914)なども直近の連騰こそストップも押し目買い意欲が高いことを窺わせます。決算好感のブリヂストン(5108)が大幅高したのに刺激され、同業の横浜ゴム(5101)なども強烈な買いを集めました。
一方で、主力グロース株の軟調や値下がりセクターの顔ぶれからも、年初から堅調な動きが目立ったグロース株、そして新興株には利益確定で巻き戻しの動きが強まっています。とくに物色が盛り上がった銘柄こそ下押しが深くなり、バイオ株の急落などが目立ちました。
【米国株概況】
金融当局者の発言に一喜一憂、債券市場では一足先に利上げ警戒で米金利が上昇
NYダウ 33826.69(+0.39%)[33,517~33,846]
S&P500 4079.09(▲0.28%)[4,047~4,081]
NASDAQ 11787.27(▲0.58%)[11,673~11,803]
ダウ輸送株 15135.9(▲0.48%)[15,046~15,187]
半導体SOX 3005.9(▲1.62%)[2,980~3,042]
日経平均先物(CME) 27,505(+0.16%)[27,380~27,590]
ドル/円 133.94~135.13(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.500%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.817%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 76.33(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1851.45(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.1275(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)20.17(高値37.79:2/24)
SKEW指数 122.89(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 69(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.56(安値70.30:10/13)
米国株はNYダウが反発したもののS&P500やナスダックなどは続落、債券市場が徐々に米金融当局の引き締め強化メッセージを真剣に受け止め始め、米金利上昇がグロース株の逆風として再び意識されるようになっています。ただし、株式市場では債券市場ほどまともに受け止める向きは少なく、グロース株がダメならバリュー株やディフェンシブ株に資金シフトで対応すればよいといった印象です。
米FRBメンバーからは前回2月の米FOMCで0.25%ではなく0.50%利上げを支持したとの後出し発言が相次ぎ、足元の米経済指標が立て続けに強いデータが出てきていることと相まって、次回3月の米FOMCでは0.50%に利上げ幅が拡大するとの見方が出始めました。債券市場ではそれを織り込む動きで、とくにオプション市場などでボラティリティが高まっています。
ただ、米FRBメンバーもタカ派・ハト派がそれぞれ思い思いの発言をするため、利上げ継続の必要性については一致してるも、次回0.25%か0.50%かでは0.25%を支持するとの声が出ると株式市場は再び楽観に戻るといった形で、なんとも要人発言に振り回される頼りない動きとなっています。
年初からの急上昇に対して、このまま米経済の堅調さを背景に楽観姿勢が正当化されるか、債券市場のようにポジション巻き戻しで警戒感が強まるかのまさに綱引きで、もみ合いがどちらかに放れれば一気に動きそうな緊張が張り詰める状況になってきました。
この緊張の糸が切れた時にVIX指数などのリスク指標が敏感に反応してくるような場合は要注意で、そのきっかけが米経済指標などのファンダメンタル要因なのか、外部環境で地政学リスクなどを意識しての突発的な要因なのかで展開が大きく変わってくるかと思います。とくにウクライナ侵攻開始からまもなく1年が経ち、この週末にミュンヘン安全保障会議が開催されたほか、バイデン米政権はじめ西側諸国が国内の政情不安を見て見ぬフリし、国民の不満や意識をできるだけ外に向けようとしますので政治動向にも注意しておくべきでしょう。
【日本株投資戦略】
TOPIXの優位性を際立たせる高配当利回り株の買い時判断は本当に今なのか?
日本株は前週末の米国市場で為替円安からドル円が135円台をつけたことを支えに、しばらくは日銀の政策修正が無いだろうとの前提に立った日米金利差拡大意識の円安期待トレードが継続しています。ただし、米国市場のところでも述べたとおり、株式市場と債券市場では先行きに対する見方は分かれており一部ではポジションの巻き戻しが始まっています。
円安トレードを前提に考える場合、1月の日銀金融政策決定会合があった時のドル円は128円台で日経平均は26,000円近辺から急反発しましたが、足元では2/3の米雇用統計以降で米金利上昇が再開してドル円が円安進行する過程での日経平均は27,500円をはさんだもみ合いを続けています。したがって、円安は下支え要因ではあるものの上値を切り上げる動きと結びつくわけではない模様です。
それがドル建て日経平均では顕著に表れており、2/2の212ドルをピークに軟化傾向が続いていることから海外勢視点では日本株の減速感が意識されます。一方でTOPIXはドルベースでも相対的に底堅いことから、バリュー株や高配当利回り株を選好しやすい動きが鮮明です。
ただし、米国債の金利がこのまま3月の米FOMCに向けて上昇基調を強めていく場合、いかに高配当利回りであってもリスクの大きい株式より、ノーリスクで4~5%受け取れる米国の短期債・長期債の方の魅力が高くなっていきます。
例えば海運株などはセクターでも利回りが10%超ですが、株価調整リスクが同じくらいを見込む場合は米国の短期債を買っておいた方がマシだと考えるのが海外勢です。銀行株なども3%超の利回りがありますが、日銀の政策修正期待がまだ時期尚早だとなれば、銀行利ザヤ拡大の期待が薄れるとともに米金利上昇で米国債含み損が拡大する業績下振れに意識が向き、株価が配当以上に下落すると思えば海外勢は売り転換してくると考えられます。
これはあくまでも3月下旬までの短期的な話ではありますが、現在の配当利回りと株価の調整リスクをざっくりとでも見積もって、今買うべきなのか、3月下旬の権利付最終売買日までの時間なども視野に入れた検討をしていくことが大事です。
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