【2/16日本市場の確認ポイント】
日経平均 27696.44(+0.71%)[27,597~27,727]
TOPIX 2001.09(+0.67%)[1,993~2,002]
マザーズ 780.04(+1.96%)[769~782]
値上がりセクターTOP5
1.保険(+1.90%)
2.鉄鋼(+1.54%)
3.銀行(+0.96%)
4.ガラス・土石(+0.83%)
5.非鉄金属(+0.60%)
値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲1.00%)
2.精密機器(▲0.95%)
3.不動産(▲0.88%)
4.機械(▲0.76%)
5.倉庫・運輸(0.69%)
日本株は米国ハイテク株が米金利高をうけてなお上昇したことを好感し、とくに為替円安を追い風に自動車株が見直されて反発。TOPIXは昨年11月以来となる2000ptの大台を回復し、引き続き堅調さを見せつけた鉄鋼株や金融株がTOPIXを押し上げました。
ただ、相場を牽引してきた銀行株や鉄鋼株には利益確定売りが嵩む動きもみられ始めているほか、TOPIXが高値圏到達でも全体の商いはさほど膨らまず、上値追いを期待するにはエネルギー不足感が否めない状況。しかしこれも見方によっては、それほど達成感も無いことで急な売り転換には至らず、高原状態でのもみ合いを続けやすいポジティブな面もあるでしょう。
堅調な相場を支えているのは直近の決算で増配発表した企業や高配当利回りの株が好パフォーマンスを見せています。また、サウジアラビアのSWFによる買い増しが判明した任天堂(7974)が大幅に続伸するなど材料株の物色が中心となっていることが窺えます。
【米国株概況】
市場予想を上回る米経済指標が連発で米金利上昇、FF金利見通しの市場前提が崩れることに要注意
NYダウ 33696.85(▲1.26%)[33,686~34,041]
S&P500 4090.41(▲1.38%)[4,089~4,136]
NASDAQ 11855.83(▲1.78%)[11,853~12,040]
ダウ輸送株 15209.5(▲1.23%)[15,144~15,356]
半導体SOX 3055.2(▲2.48%)[3,051~3,108]
日経平均先物(CME) 27,515(▲0.56%)[27,480~27,720]
ドル/円 133.61~134.51(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.498%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.863%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 77.83(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1843.55(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.1135(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)20.17(高値37.79:2/24)
SKEW指数 123.09(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 69(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.27(安値70.30:10/13)
米国市場では15日の小売売上高に続いてPPI(卸売物価指数)も市場予想を上回る伸びが確認され、米金利が一段と上昇。インフレ指標では14日のCPI(消費者物価指数)と合わせてインフレ高進が明らかとなったことで、米FRBメンバーがここぞとばかりにタカ派発言を連発し、米国株は主要3指数およびダウ輸送株や半導体SOXまで軒並み反落しました。
2月に入ってからは米雇用統計以後、米経済指標は立て続けに強いデータを示しており、月初の米FOMCで利上げ幅を0.5%→0.25%に縮小したのは政策判断ミスだったのではないかと思われますが、米FRBメンバーからは今になって実は0.5%利上げを支持したとの弁解が相次いでいます。
それでも米国株は投資家が過度な楽観の陶酔から醒めていないため、反落はしたものの依然として底堅い動きを続けているとみられ、ただ同じレンジの往来を繰り返すに留まっています。米FRBメンバーが今更何を言ったとしても次回3月の米FOMCまではあと1か月以上の時間があり、それまでの間に市場は徐々に次回0.5%利上げを織り込みにいくとみられます。
昨年末の年末商戦の不振から一時的に景況感が下振れしたのを、これみよがしにディスインフレや年内の早期利下げ転換などと言って市場の楽観ムードを醸成したのは米FRBに責任があると言えますが、手綱を緩めたせいでインフレ退治に失敗し、実際の利上げ政策はピーク金利と金融引き締め期間の延長を余儀なくされるでしょう。
3月の米FOMCで利上げ強化に動く可能性はもちろんですが、ここで早々にFF金利(米国の政策金利)が5%を超えてくれば2023年末時点の金利見通しが引き上げられるのは確実です。それと同時にピーク金利が一体何%が妥当なのかといった不確実性が増すことにより、株式市場では過度な楽観状態から今度は急に不安に駆られて極端な悲観へと傾く展開もあり得るかもしれません。引き続きリスク指標からは目を離さないようにしておくべきでしょう。
【日本株投資戦略】
TOPIXの大台回復でも勢い不足、日経は円安追い風でも28,000円が遠のく
日本株はTOPIXの2,000ptの大台回復が喜ばしい反面、上述したとおり売買ボリュームが不足気味なのが気がかりです。昨日の東証発表の投資部門別売買状況では海外勢の買い越しが判明し、先物でも大きく買い戻していましたが、それでも売買代金がなかなか3兆円台にまで盛り上がってきません。
チャート上では日経・TOPIXともに徐々に25日移動平均線との乖離幅も縮小してきており、強い相場であればこれに触ることなく上放れしていくところです。米国市場でも度々ショートスクイーズが発生してナスダックが大幅高する場面がみられ、日本でも同様に売り方が降参して買戻しの相場になれば一段高してもおかしくありません。
しかし、全体では直近の決算材料を織り込む必要も相まって物色は二極化するのは仕方のないことですが、実際に指数を押し上げたのは為替円安の自動車と米金利上昇のメガバンクということになりますと、その他がついてきていない、つまり全体の底上げには程遠い状況でTOPIXが高値圏に舞い戻ったということです。
先物主導で指数だけが上昇しても個人投資家には恩恵が薄いというのが難点で、市場の地合いが良いと高値圏でもついつい物色の手を横に広げがちになります。資金の回転を重視させる短期トレーダーならば資金管理にはつねに気を遣っているかと思いますが、25日移動平均線が株価に追いついて万が一これを下抜けた時の需給が崩れるスピードは早いですので、くれぐれも高値掴みして身動きが取れなくなってしまうことだけは避けないといけません。
今はまだ新安値銘柄がちらほら出始めた段階で、決算後に売られた銘柄も買い場と捉えるにはまだまだ時期尚早な感じがします。実際問題として、3月の日銀会合および米FOMCで金融政策の方向性に視界が開けるまでは幕間つなぎの相場が良いところで、過度な楽観も悲観も不要ですがアップサイドは為替の円安次第、むしろ米金融政策が現実に引き戻される以上、ダウンサイドのリスクが意識されやすくなっていきます。
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