【2/9日本市場の確認ポイント】
日経平均 27584.35(▲0.08%)[27,424~27,635]
TOPIX   1985.00(+0.05%)[1,975~1,987]
マザーズ 794.36(+0.21%)[785~794]

値上がりセクターTOP5
1.繊維(+1.71%)
2.ガラス・土石(+1.30%)
3.非鉄金属(+1.29%)
4.その他製品(+1.09%)
5.鉄鋼(+0.90%)

値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.00%)
2.ゴム(▲0.65%)
3.陸運(▲0.58%)
4.食料品(▲0.46%)
5.小売(▲0.43%)

 日本株は米国株反落をうけて安く始まりましたが、押し目買いが入り前日比変わらずのところまで戻しました。やはり一進一退で日経平均は27,500円付近の攻防、ここを抜ければ上値がスッと軽くなるところではありますが、決算嫌気で売られる銘柄も多く全体の重しになっています。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり980/値下がり761で、直近では任天堂(7974)やソフトバンクG(9984)などの軟調が目立ちました。ただ、この日ザラ場中決算のトヨタ(7203)は為替円高影響も限定的なものにとどまり、弱気に傾くこともありませんでした。一方で住友金属鉱山(5713)などは決算好感で大幅高し、そのほか太平洋金属(5541)やUACJ(5741)などの非鉄金属、東レ(3402)や帝人(3401)などの繊維といった素材系の銘柄に強い買いがみられました。

 主力株の決算発表もピークを迎えてきたところで、徐々に中小型株の決算発表も多くなり、スタンダード市場やグロース市場でも決算高する銘柄を多数輩出。また決算材料だけでなく米国株がAIを駆使したチャットボットを巡り話題を呼ぶ中、人工知能関連などのテーマ株をはやす動きも物色対象が入れ替わるなどしながらマザーズ指数もプラス転換した後にほぼ高値引けとなりました。

【米国株概況】
◎米金利上昇で再び逆イールド拡大に注目集まる、グーグル暴落で投資家心理がやや悪化

 米国市場では一様に米金利が上昇した中でも、とくに2年債利回りが4.5%を超え、10年債との逆イールドが深化して利回り格差は一時88bpまで拡大。ただその前は労働関連指標で超長期債を中心に大きく低下する場面があり、米国債の利回り低下とともに為替の米ドルが全面安になるなどドル円も一時130円台前半まで振れています。

 株式市場では金利上昇が重荷となるグロース株もさすがに軟化したとみられ、全般に売られた中でも直近話題のAIチャットボットを巡り悪材料が嫌気されているアルファベット(Google親会社)が▲4.4%と大幅続落、前日も▲7.7%の急落でしたから、2日間で▲12%超も暴落したことになります。その一方で、競争優位になるはずのマイクロソフトはそこまで上昇せず、成長期待もさほど高まるようなものではないとの見方でしょうか。足元では金利上昇でも意を介さずハイテクグロース株が買われる場面もありましたが、ショートカバー圧力もやはり燃料切れが顕著になってきています。

 他方、一部の銘柄においてはテスラやセールスフォースなどが逆行高しており、マイクロソフト買収案件で揺れているアクティビジョン・ブリザードも+3%超、また、指数採用から外されてはいますが中国株のアリババなども相場下支えとしては一役買っています。

 ただ主力どころが冴えず、リスク指標は相場過熱の一服感を示すかのような動き。VIX指数は20pt台乗せ、さらに直近でEXTREME GREED(極端な貪欲)を示していたF&G指数もやや落ち着いて72ptと、全体に少し前のめり感が解消したとみられます。

 パウエル米FRB議長が講演でディスインフレ(インフレではない)が開始したと強調し、バイデン米政権も米経済の軟着陸をアピールして市場は楽観度合いを加速させましたが、まだまだ期待先行の段階。ある意味、希望的観測の色合いも強くインフレ動向を巡ってはやはりデータ裏付けを欲しがるというのが現実かとみられます。来週には14日に1月CPI(消費者物価指数)、15日に1月小売売上高が控えているとあって市場の楽観が継続するか、一旦、現実に引き戻されるかはこの辺りでの反応で大きく変わってくることでしょう。

【日本株投資戦略】
日本株の上値トライは来週が焦点、好決算銘柄と決算ミス銘柄の立ち回り判断の目安時期は?

 日本株は前回同様に高値もみ合い継続、昨日、一昨日と日経平均が27,500円を割り込む場面がみられましたが下値も頑強で再び27,750円付近に舞い戻っています。本日はオプションSQ算出で朝方の速報値は27,779.75と夜間の日経先物や寄付の値よりも高く決定しました。

 同時に足元では東証が投資部門別売買動向を発表し、1月第5週(1/30~2/3)で海外勢は現物・先物合計で4週連続の買い越し。ただ、現物の買いが減速していることとSQ算出値の上振れも先物売りの買戻しが含まれているとみられ、上昇が嵩上げされていることにも留意しておく必要があります。
日本株、海外勢が4週連続買い越し 買い戻し一服感も(2023/2/9)

 また、日本株を牽引しているTOPIXは2,000ptの大台回復に迫り、中でも主力大型株のコア30が昨年1月以来の最高値に接近しています。【2/9日本市場の確認ポイント】で上述したとおり、これらを突破してくると上値が軽くなって勢いづく局面ですが、上値を伸ばしきれないと反対に調整リスクで下値をもう一回確認しにいこうという展開になります。
TOPIXコア30、10カ月ぶり高値 大型株に資金集中(2023/2/7)

 足元では決算材料で個別株の強弱感が分かれていますが、昨日の決算銘柄でまず東京エレクトロン(8035)が業績上方修正、増配、さらに1:3の株式分割を発表で文句なしの花丸決算、と思いきや3Qは大きく減速と本日の株価上昇を素直に喜べるかどうかは今後の業績織り込みにやや注意を要するもの。また、同じく半導体関連ではルネサスエレクトロニクス(6723)が2期連続での最高益達成で本日は商いを伴って2008年以来となる最高値更新の動き。かつての日の丸半導体の代名詞であった銘柄の復活は称賛すべきところです。

 さらに、日本製鉄(5401)も3Q減益ながら増配および通期見通しは過去最高収益とハードル高でも変更の必要なしとの判断から一段高し、2018年以来となる高値を再び更新。これと合わせて同業の神戸製鋼所が同じく3Q減益ながら業績上方修正を発表、出遅れ修正も手伝って本日はストップ高まで買われています。

 これらのように目覚ましい決算で買われる銘柄もあれば、反対に失望決算で新安値を叩いた任天堂(7974)をはじめ三菱重工(7011)やシャープ(6753)などのようにマイナスインパクトが大きく出たものもあります。ただ、これらも下値不安が強まっているかと言われればそうではなく、押し目買い好機とみる動きもあり、全体として底堅い地合いを継続しています。

 前回述べたとおり、大きな動きが出るとすれば来週で、上記TOPIXやコア30の大きな節目トライ、そして日経平均が28,000円を突破できるか次第でだいぶ展開が左右されることとなります。好決算で買われた銘柄、決算嫌気で売られた銘柄の業績を織り込むのは早くて2月下旬、調整が長引くものであれば3月下旬辺りが目安となるでしょう。

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