【2/3日本市場の確認ポイント】
日経平均 27509.46(+0.39%)[27,445~27,612]
TOPIX 1970.26(+0.26%)[1,960~1,974]
マザーズ 783.75(▲0.19%)[783~787]
値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+1.63%)
2.証券・商品先物(+1.28%)
3.電気機器(+1.22%)
4.サービス(+0.76%)
5.医薬品(+0.60%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲2.56%)
2.紙・パルプ(▲2.53%)
3.電気・ガス(▲1.46%)
4.石油・石炭(▲1.41%)
5.水産・農林(▲1.38%)
日本株は各国中銀の金融政策イベントおよび米ハイテク決算を消化しながら日経平均は27,500円を回復、決算銘柄のソニー(6758)が+6.2%高、川崎汽船(9107)の+4.5%高、丸紅(8002)の+4.4%高など大幅高となるものが目立ちました。
一方、東証1部の騰落銘柄数は値上がり608/値下がり1139で値下がり銘柄も多く、川崎汽船と同業種の日本郵船(9101)、丸紅と同業種の伊藤忠(8001)などは売られるなど決算反応は個別ごとに大きく異なる結果となっています。また、株価反応でみた場合、決算ミスで業績を下方修正したデンソー(6902)などはむしろ買われるなど、決算前の株価位置によって材料出尽くし反応は決算の良し悪し関係なく違った動きとなっていることが注目です。
米国市場ではかなりグロース株が騰勢を強めていますが、その割にマザーズ銘柄が冴えず反落。年初来で+10%の2ケタ上昇となっていることから特段動きが悪いわけではないものの、上昇一服感が漂う展開となっています。足元で主力株の決算が相次ぎ、短期資金はそちらに回りやすい状況にあるだけかもしれませんが、直近IPO株のELEMENTS(5246)やテクノロジーズ(5248)などの動きを見ましても短期資金が抜け出ており、利益確定の動きが強まっている点には注意を要するでしょう。
【米国株概況】
強すぎる米雇用統計が米FRBの利上げ政策を正当化、リスク指標のF&G指数がついにEXTREME GREEDで行き過ぎた楽観を示唆
NYダウ 33926.01(▲0.38%)[33,813~34,179]
S&P500 4136.48(▲1.04%)[4,123~4,182]
NASDAQ 12006.96(▲1.59%)[11,946~12,231]
ダウ輸送株 15518.2(▲0.78%)[15,335~15,651]
半導体SOX 3082.1(▲1.90%)[3,064~3,151]
日経平均先物(CME) 27,620(+0.47%)[27,410~27,725]
ドル/円 128.33~131.22(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.482%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.560%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 73.20(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1862.90(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.0565(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)18.33(高値37.79:2/24)
SKEW指数 123.08(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 76(EXTREME GREED:極端な貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.39(安値70.30:10/13)
米国株は1月の雇用統計における非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想をはるかに上回る強い結果となり米長期金利が3.3%台から3.5%へと急上昇したほか、為替も米ドルが大きく買い戻されてドル円は128円台から131円台に急伸、今朝方には132円台に突入してきました。
米金利は短期・長期問わず軒並み上昇したほか、米国IT産業を代表するメガテック企業で弱気ガイダンスが相次ぎ、アマゾンが▲8.4%安、アルファベットが▲2.8%安、アップルも一時▲2%安となる場面があるなどグロース株ラリーの流れを遮りました。この他、マイクロソフトやセールスフォースが▲2%超、半導体株のエヌビディアやAMDなども冴えず、快進撃を続けてきた半導体SOX指数も高値圏で上ヒゲを引く形になりました。
米雇用統計はNFPの市場予想+18.5万人に対し+51.7万人ですから、予想自体に全く意味を見出せないと言わざるを得ませんが、超高速の売買アルゴリズムを使った取引ではこうしたサプライズがあった方が儲けが大きくなり、投資銀行決算の債券トレーディング好調などにもそれが表れていると言えるでしょう。
ただ、米国株では雇用統計データというよりもこれをふまえた米FRBの政策見通しが焦点であり、実際に寄り前に発表された米雇用統計後の株価はリセッション懸念後退で強く買われ、その後のバイデン米大統領が米経済の強さを称賛するも反応は限定的、さらにその後のサンフランシスコ連銀のデイリー総裁がインフレ見通しで低下予想を示すも政策の方向性は追加引き締めを堅持する姿勢を確認して反落といった流れを辿りました。
米FOMC前後の時点では米FRBメンバーを含め要人発言として利上げ継続や市場の楽観を牽制する発言があっても、市場はそれらを無視して上昇を続けてきました。リスク指標のFear&Greed指数が76を示して「EXTREME GREED:極端な貪欲」に達するほどの超楽観状態にもそれが表れていると言えますが、ここにきて米国の労働市場があまりに強い結果であったために年内の利下げ転換を期待していた向きがやや現実を見るようになったのかもしれません。
米ハイテク企業の決算に頭打ち感が台頭して奮わなくとも、米経済がリセッション回避できるのであれば軟着陸期待は継続するため、もし株価がここから調整するとしても一時的なリスクで済む話です。ただし、経済データでは製造業と非製造業ではかなり状況が異なっており、リセッションを定義するにしても政策の舵取りにしてもどちらに焦点を合わせるかでだいぶ米経済の見え方が変わります。
バイデン米政権がこのまま米経済の堅調さをアピールし続け、米FRBが利上げスタンスを維持するのであれば米国内の製造業がよりいっそう窮地に追い込まれる可能性があります。それらを財政支援しつつ、輸出促進策としての同盟国への軍事兵器売り込み、ドル安政策への本格転回といった外交展開がうまくいくかどうかによって米国株の調整リスクも浅いもので済むか、一時的に深くなるかが変わってくることでしょう。
【日本株投資戦略】
◎米雇用統計で為替が円安に急転回、次期日銀総裁人事をめぐり為替の円安進行が進む
日本株は前週末の米国株が反落で終わったものの、米雇用統計発表後に為替が円安方向に急旋回してきたことにより、これを好感した買いが入り続伸。とくに足元での円高を嫌気して売られた自動車株や海運株などを中心に買戻し圧力がかかりやすくなります。
この為替動向が今の日本株にとって重要な鍵を握っていると言えますが、この点で最も注目すべきは前回詳しく解説したとおり日銀の黒田総裁後任人事になります。この週末にも政府が雨宮正佳副総裁に就任を打診したと報じられており、他候補よりもタカ派色が薄く、これまでの黒田路線に近いとされる人物であるため、市場は一段と為替が円安進行することを期待しやすくなります。
ただし、大きな流れとしての日銀政策変更は変わりませんので、これも一過性要因となるでしょう。このまま雨宮氏が次期日銀総裁に就任となった場合でも、それまでに為替円安がある程度進んでいれば材料出尽くしとなる可能性があり、また、別候補者が就任した場合でも雨宮氏よりタカ派寄りの人物が多いために円高へと反転するリスクは尚更高まることになります。
その分、市場内では次期日銀総裁が決定するまでの間は期待と思惑が燻り、不透明感が手伝って売り方も仕掛けづらい状況が続くことになります。投資家ごとにそのポジションによって見方が異なるものと思われますが、為替が円安に傾くことで外需中心の製造業はリバーサルの動きが強まりやすく、内需株でも雨宮氏が次期日銀総裁になれば日本金利が上昇していくにしても緩慢なペースに抑えられることで、不動産株はじめ財務状態がそれほど健全でない成長株でも一定の猶予が与えられることになり上昇期待が高まりやすくなります。
足元の企業決算と日銀総裁人事で今週から来週にかけての日本株は思惑と期待が交差する中で上値を試すことになりますが、決算発表企業は主力どころから徐々に中小型株がメインとなってきますので、個別の決算反応も当然大きくなります。とくに新興株は決算発表でのギャンブル的要素が高くなりますので、ご自身のリスク許容度に保有する株数が適正かどうかを確認して決算をまたぐ必要があるでしょう。
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