【1/24日本市場の確認ポイント】
日経平均 27299.19(+1.46%)[27,150~27,381]
TOPIX   1972.92(+1.42%)[1,958~1,974]
マザーズ 772.55(+0.13%)[770~776]

値上がりセクターTOP5
1.機械(+2.22%)
2.精密機器(+2.10%)
3.金属製品(+2.07%)
4.銀行(+2.05%)
5.保険(+1.85%)

値下がりセクターTOP5
1.鉄鋼(▲1.59%)
2.海運(▲0.77%)
3.なし
4.なし
5.なし

 日本株は大幅高で日経平均は27,000円台を回復、昨年12月の日銀ショック前の水準を回復して200日移動平均線を上回りました。米国の半導体SOX指数大幅高とともに半導体関連が軒並み反発し、主力株はアドバンテスト(6857)が+3%超、東京エレクトロン(8035)も+2%超の上昇となり、HOYA(7741)、SUMCO(3436)、SCREEN(7735)なども呼応しています。

 その他、ソフトバンクG(9984)を筆頭に、ダイキン(6367)、ファナック(6954)など値がさ株グロース株が確りで日経平均を押し上げました。一方で、日本製鉄(5401)が一時▲3%超と急失速して堅調だった鉄鋼株に警戒感が高まったほか、海運株なども一緒に上値が重くなりました。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1468/値下がり312と全体に値上がり優勢であったことは間違いない反面、上記の鉄鋼株や人気化した半導体株でもレーザーテック(6920)が寄付天井で終日売りに押されるなど牽引役だった銘柄の息切れも目立っています。これらの売られた資金が他に回って循環物色の形になれば問題ないですが、同じようにマザーズ指数も上値が重くなっている点が少し気がかりなところです。

【米国株概況】
米企業の決算本格化で個別株は高安まちまち、米FRBメンバーがブラックアウト期間入りし米経済指標が手がかりに

NYダウ 33733.96(+0.31%)[33,310~33,782]
S&P500 4016.95(▲0.07%)[3,989~4,023]
NASDAQ 11334.27(▲0.27%)[11,282~11,378]
ダウ輸送株 14451.0(▲0.82%)[14,371~14,544]
半導体SOX 2913.7(▲0.72%)[2,897~2,936]
日経平均先物(CME) 27,190(▲0.29%)[27,075~27,360]
ドル/円 129.73~131.12(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.410%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.455%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 80.25(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1938.60(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.2568(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.20(高値37.79:2/24)
SKEW指数 121.34(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 65(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.21(安値70.30:10/13)

 米国株は前日のグロース株大幅高でナスダックの動向およびハイテク株を中心に企業決算が注目されます。マイクロソフトは小幅安で取引され、引け後の時間外では4%超上昇となっています。その他、米製造業では3MとGEがインフレを理由にさえない業績見通しを発表し、3Mは▲6%超の急落となりました。

 米国市場では取引開始直後に技術的な不具合が発生し多数の銘柄の取引が一時停止され、混乱が生じる事態となったようですが、市場値動きには別段支障をきたすことなく、材料によってまちまちの動き。半導体のTIは決算の実績、見通し共に冴えませんでしたが取引時間中も時間外でも小動きとなっています。

 アルファベットは米司法省が傘下のグーグルに対しデジタル広告市場での支配力を乱用して反トラスト法に抵触した疑いがあるとして提訴したことが報じられ、▲2%超の下落。これは2度目なのでニュースバリューとして新鮮味は無い話かもしれませんが、米国IT大手にとっては気になる動向でしょう。

 米経済指標では朝方に1月総合PMI速報値が発表されており、数値は46.6と景気好不況の分かれ目となる50を7カ月連続で割り込む結果となりましたが、昨年12月からはやや改善しており特段材料視されることはありませんでした。ただ米FOMCがいよいよ来週に迫っており、利上げ幅をめぐって市場は神経質になりやすいため、むしろ悪化してくれている方が相場の腰折れ回避になるでしょう。

 米企業決算が本格化する中で今週はテスラやボーイング、シェブロンなど、来週はキャタピラーや米IT大手のGAFAほか、小売企業なども米個人消費の動向が試される注目材料になります。引き続き米経済指標では、26日の米10-12月期GDP速報値や27日のPCE、米FOMCをはさんで米ISM製造業景気指数や米雇用統計などが予定されており、短期的な戻り基調がどこまで続くのか、あるいは昨年10月以来の中期的な上昇トレンド含めてこれら材料を順番に消化していかなくてはなりません。

【日本株投資戦略】
日本電産の決算ミスは買い場か?市場の景気回復が期待先行だったか?を判別するモノサシに

 日本株は海外株との比較で出遅れを取り戻す水準訂正がようやく見えてきたところですが、上述のとおり昨日の鉄鋼株、海運株の急失速と半導体レーザーテック(6920)の息切れ感が気になるところです。前回注目すべき点として日本電産(6594)の決算を挙げておりましたが、業績の下方修正を発表して大幅安を余儀なくされているところを見ますと日本株の戻り基調に水を差す形になりそうです。

 海外投資家からみればドル建て日経平均は12月初旬の高値まで達してきましたので、ここで戻り一服となってもさほど気にならないかもしれませんが、日本人投資家にとってはもう人伸びが欲しいところかと思います。

 企業決算が本格化してくるのは来週からですので個別株の決算プレイなどが盛り上がる反面、全体としては大手企業に決算ミスが目立つと2月中旬の小型株が決算発表する時期には地合いが変わってくる警戒感が出てきやすいため注意が必要です。

 足元の戻り相場は12月日銀ショックからの揺り戻しに見えるかもしれませんが、株式市場を広く見渡せば10月起点の上昇相場の天井を探る動きです。世界景気の悪化が懸念していた程には悪くならないという見方から現在の反発につながったと考えられ、世界同時株高の様相を呈しています。

 したがって景気敏感株が大きく見直されるのは当然と言えますが、それを代表する鉄鋼・海運株が変調をきたしたという点は市場が前のめりし過ぎていることを示すシグナルかもしれません。実際には企業決算を確認するまで相場が続く可能性も考えられますが、問題はその後と言えるでしょう。

 前回11月の決算シーズンでは4-9月期の為替が猛烈な円安環境であったために輸出企業がこぞって業績を上方修正し、その後の為替反転によって自動車株の推移が示すように株価は大きく崩れることとなりました。足元でも日銀の政策修正観測が燻る中で、為替水準は多くの企業が想定している130円台で推移していますが、決算シーズン真っ只中で米FOMCが2/1に予定されており市場観測の0.25%利上げで決まった場合にはドル安円高を後押しする可能性が高まります。

 よって、足元の決算を確認した上で内容が良いからという理由だけで上昇飛び乗りや急落した銘柄の押し目買いは裏目に出てしまう危険があります。日本株としては仮に一旦調整することになっても決算シーズンを通過して材料を株価が織り込むのが2月下旬、その後には3月の配当狙いで買いが入るようになってくるでしょう。

 したがって、市場の景気回復を先取りした動きは間違いではありませんが、いささか先走り過ぎてしまっている可能性が考えられます。よほどの短期トレードに徹する場合は別として目先は決算発表を一つの区切りとして、昨年10月来の仕込んできた銘柄や足元で調整したところを拾った銘柄などの利益を確定させるタイミングとみておくのがよいでしょう。

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