【1/19日本市場の確認ポイント】
日経平均 26405.23(▲1.44%)[26,368~26,592]
TOPIX 1915.62(▲1.00%)[1,914~1,927]
マザーズ 744.65(+0.68%)[732~746]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+0.50%)
2.小売(+0.20%)
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲2.42%)
2.保険(▲1.98%)
3.鉱業(▲1.77%)
4.銀行(▲1.64%)
5.ガラス・土石(▲1.49%)
日本株は日銀会合後のショートカバーで急反発をした翌日とあって利益確定の動きが強まりました。日経、TOPIXは18日上げ幅の6割を消失し、為替が再び円高に振れてきたことも重しとなりました。一方でマザーズは続伸し再び年初来高値を窺う動きを見せています。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり505/値下がり1247で、円高が逆風となる自動車株が大きく売られ値下がりセクタートップ。日経平均はソフトバンクG(9984)、ファーストリテイリング(9983)、東京エレクトロン(8035)の寄与度上位3社がそろって値下がりし、TOPIXは自動車のほかに銀行、保険などの時価総額が大きい金融株の下落が重しとなりました。
新興市場はビジョナル(4194)、そーせい(4565)の主力どころが反発、前日に大幅高したM&A総合研究所(9552)も続伸するなど強気の物色がみられています。新規上場からまだ日が浅いELEMENTS(5246)は時価総額も低く、値が軽いのが特徴で信用増し担保解除を手がかりにストップ高まで買われました。
大型株の中にも百貨店や空運株など逆行高したものも散見され、ソニー(6758)や日本郵船(9101)なども反発しました。ただどの指数を見ても寄与度が大きい銘柄の動きに翻弄されやすいことは否めず、為替円高が戻ってきた以上、押し目買いが手控えられると商いが減り、様子見色が強まってしまうようです。
【米国株概況】
米景気悪化でも米利上げ継続の姿勢を崩さない米FRB、市場の楽観ムードを打ち消す牽制発言を連発
NYダウ 33044.56(▲0.76%)[32,982~33,227]
S&P500 3898.85(▲0.76%)[3,885~3,922]
NASDAQ 10852.27(▲0.96%)[10,804~10,932]
ダウ輸送株 14109.9(▲1.30%)[14,021~14,245]
半導体SOX 2710.4(▲2.83%)[2,704~2,763]
日経平均先物(CME) 26,320(▲0.08%)[26,230~26,565]
ドル/円 127.77~128.86(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.402%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.399%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 80.84(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1933.90(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.2462(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)20.52(高値37.79:2/24)
SKEW指数 121.23(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 53(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)76.02(安値70.30:10/13)
米国株は18日の米経済指標悪化と米FRBメンバーがこぞって利上げ継続の姿勢を示して大幅安したことに続き売り優勢の展開、昨日はブレイナードFRB副議長が発言しましたがやはりインフレ抑制のための利上げ長期化を示唆し、景気後退懸念を意識させました。
米企業決算は金融株が一巡して来週からは大手ハイテク株の決算が相次ぎます。米企業の業績悪化懸念はある程度織り込んでいる可能性もありますが、今回のゴールドマン・サックスの決算ミスに象徴されるように注目どころがコケてしまいますと全体の投資家心理に響いて、リスク回避ムードが強まりやすくなります。
NYダウは年初の33,000ドル付近に押し戻されてきましたが、ハイテク株主体のナスダックは発射台が低かったこともあり1割近く上昇した値幅の1/3程度を下押しするに留まっています。これがハイテク決算で往って来いとなる可能性もありますが、底割れを警戒するような状況ではありません。
どちらかと言えば、年初来のやや楽観的過ぎたリスク選好ムードを金融当局者が牽制したことで、市場参加者は頭を冷やされたといった具合で、問題としては連邦債務が19日に上限に達すると言われていた米債務上限問題をめぐる政治・財政リスクが意識されていることです。
これは毎度おなじみの政治ショーとも言え、米議会の押し問答が繰り広げられて最後の最後には合意されるとみられますが、米国債のCDS(クレジットデフォルトスワップ)は急上昇していることが話題となっています。米政府はこれに退職者向けの基金を活用するといった特別措置を取るとしていますが、欧州などではこうした動きに抗議デモが起きるなどの事態に発展する動きもみられており、別の意味でも政治不信が広がりやすい状況となっています。
米債市場では相変わらず逆イールドがもはや常態化といってよい状況にありますが、それでもなお労働市場が逼迫しているデータのおかげ(のせい?)で米FRBは利上げを継続する方針を貫いており、それが市場の重しとして機能しています。米FRBはこれを調整弁として巧みに利用し市場とコミュニケーションを図ろうとしていますが、次回の2月FOMCで梯子を外されるようなことが起こると市場はよけいに米FRBを信用しなくなるでしょう。
【日本株投資戦略】
為替円高は逆風ではなく日本経済の構造転換を図るきっかけ、日本株は割安性でなく環境イノベーションを背景とした収益力向上が問われる
前回の解説どおり日銀は金融政策決定会合で金融緩和策の現状維持を貫き、日本株はショートカバー(売り方の買戻し)中心に急反発がみられました。ただ、ショートカバーだけでは上昇が長続きすることなく、単発上げに終わってしまいましたし、やはり為替市場も即座に円高方向に往って来いの展開となっています。
もちろんこれは日銀政策だけによるものではなく、米経済指標の悪化や日米の貿易収支など米ドル安要因も大きく作用しているわけですが、やはり米国はドル安政策への転換を模索しているとみておくべきで、日本株にしても円高でなお買われる、あるいは円高だからこそ買われる銘柄というのが台頭してくる必要があるでしょう。
◆変わる潮目、ドル安は米株相場を支えるか(NY特急便)(2023/1/19)
今回の日銀会合では黒田日銀総裁がYCC(イールドカーブコントロール)上限変更を否定し、日本金利を抑え込むために資金供給拡充で金融機関に国債を買わせる追加策が講じられました。それでも市場はいずれ日銀が政策変更し、日本金利の上昇は不可逆的に進むものとみており、次の焦点は3月日銀会合の前に2月の黒田総裁後任を決める人事のゆくえに移っていきます。
つまり、日本は今年G7議長国を務めて国際世論をリードする立場に置かれますが、いつまでも外需頼みで経済を回せるかどうかの綱渡りではなく、自国で消費を盛り上げて生産活動も活発に行えるように内需主導型経済へと脱皮していかなくてはなりません。
もちろん国際会議でも議論が戻ってきている気候変動対策やデジタル駆動型社会の国際ルールづくりを主導するべく環境技術のイノベーションやデジタル化普及が求められることは言うまでもなく、投資家として注目しておくべきはこれまでに日本企業が蓄積してきた技術面と言えるでしょう。
日本株は割安だという認識が海外投資家の間でも広まっているのはすでに昨年の相場でも証明されていますが、単にバリュー優位性というだけでは上昇に限界があります。それだとこれまでのグローバリゼーションが後退している世界の動きに引きずられ、日本株はただただ景気回復で日経3万円、景気後退で2万円みたいなことを続けるだけになります。いやむしろ、金融緩和が打ち止めで日銀が保有株を放出すれば株価は暴落して底割れみたいなことになってしまいます。
だからこそ日本企業は外需依存を脱却しなければ生き残ることは難しく、日本株は海外投資家に負けじと国内投資家がこぞって買うようになる必要があります。現在の株価は今年の大発会を起点に日経平均が25,834円から26,405円(1/19終値)で+2.2%上昇、TOPIXは1,879ptから1,915ptで+1.9%上昇といった具合で、年初のご祝儀期待でもパッとしてはいないのですが、2023年の相場はまだ始まったばかりです。
これからの決算シーズンを通過した後が先ほど述べたように、日銀の動向で為替円高が一段と進みやすい環境が待ち受けているため現状のままだとやや懸念が残りますが、日本企業もおそらく為替想定を見直してくるはずです。昨年11月の決算シーズンで為替要因のみを理由に上方修正したところなどはすでに株価も下落しているため、現水準はある程度織り込んできていると言えるでしょう。今回の決算を通して円高に弱い企業が鮮明になるとみられますので、昨年の4-9月期と10-12月期で収益力がどう変わったのかを注目してみていくべきかと思います。
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