【1/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 26138.68(+1.23%)[25,895~26,198]
TOPIX 1902.89(+0.88%)[1,888~1,904]
マザーズ 721.65(▲0.58%)[721~728]
値上がりセクターTOP5
1.輸送用機器(+2.47%)
2.海運(+2.12%)
3.電気機器(+1.88%)
4.不動産(+1.64%)
5.非鉄金属(+1.51%)
値下がりセクターTOP5
1.銀行(▲0.65%)
2.空運(▲0.56%)
3.陸運(▲0.43%)
4.電気・ガス(▲0.38%)
5.医薬品(▲0.25%)
日本株は米国休場の裏で為替円高が一服したことを手がかりに反発、日経平均はファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)といった値がさ株を中心に上昇。円高が重しとなっていた自動車株や電機株など外需関連が買い戻されTOPIXも堅調でした。
全体に主力どころの銘柄が強含んだ一方で、銀行株や空運・陸運などの内需関連が下げてTOPIXの上値を抑えています。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1366/値下がり391と1/11ぶりに値上がり銘柄が1,000を超えて、日経平均は今年に入ってから一番の値幅を伴った上昇でした。
米国休場の手がかり難といったところで出来高はそれなりでしたが、週初の下落を埋め戻して自律反発したことは一歩前進。中国GDPが大きく減速して香港・上海株が売られる中でも値を保ったのをみますと、どうやら日本株は米国株、中国株から切り離され独自の動きになっていることが分かります。もっとも日本はこれまで独歩安であったために巻き返しがあるか要注目。ただ、マザーズはそーせい(4565)、GNI(2160)などの大幅安に引きずられて逆行安しており、指数はそれぞれ主力どころの銘柄に振り回されやすくなっています。
【米国株概況】
休場明けの米国株は高安まちまち、主力株に振り回されるNYダウ、NASDAQ、S&P
NYダウ 33910.85(▲1.14%)[33,860~34,269]
S&P500 3990.97(▲0.20%)[3,984~4,015]
NASDAQ 11095.11(+0.14%)[11,024~11,145]
ダウ輸送株 14358.0(▲0.04%)[14,327~14,427]
半導体SOX 2807.5(+0.24%)[2,780~2,830]
日経平均先物(CME) 26,250(+0.42%)[25,710~26,375]
ドル/円 128.00~129.15(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.502%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)【高値更新】
米10年債利回り 3.549%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 81.31(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1911.20(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.2330(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.36(高値37.79:2/24)
SKEW指数 120.01(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 65(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.38(安値70.30:10/13)
3連休明けの米国市場は高安まちまちの展開で、NYダウがゴールドマン・サックスの決算ミスで▲6%超の大幅安となり▲400ドル近く下落した一方、ナスダックはテスラが+7%超の大幅高して続伸。また、半導体SOX指数も小幅高しており、エヌビディアが+5%弱で上昇を引っ張った形です。
前週末に相次いで決算発表した銀行株は大きく売られた後に切り返しましたがどれも商業銀行で、昨晩のゴールドマン・サックスは大幅安のまま、一方で同じく決算発表したモルガンスタンレーは+6%の大幅高となっており、投資銀行では明暗がくっきりと分かれた形になっています。
米国では決算発表が本格化している中、ゴールドマン・サックスのような決算ミスがあると地合い関係なく売られることを物語り、投資家は今後出てくる決算には慎重にならざるを得ないと身構えてしまうでしょう。その一方でテスラの大幅高などを見ると、リスクマネーは局所に集中する動きもみられます。
元来、決算シーズンは個別株の選別色が強まりやすいと言えますが、主力どころの銘柄がこれだけ動くと指数も方向感なく振り回されやすくなります。これは全体を一括りにみるのは難しくなり、個別株の選別にしても難易度が急上昇したと言えます。
傾向としてはNYダウ構成銘柄の中でエネルギー株のシェブロンが上昇する一方でキャタピラー、ボーイング、ダウ、3Mといった銘柄は下落で景気敏感株はまちまち。他方で、マクドナルド、コカ・コーラ、ディズニーといったディフェンシブ株は上昇して優位性があるように見えるも、ベライゾンやジョンソン&ジョンソンが売られるなどディフェンシブ株でも動きはまちまちです。
結局のところ市場は米景気全体や米金融政策について最も関心が高く、企業の業績悪化をそこにどれだけ織り込むかという部分的な話としてみているように思われます。米企業の決算は米国景気を占う材料でもありますが、それよりも米国内のマネーが流出している米ドル安や対中半導体規制などで騒がれている国際貿易のゆくえなどが注目されやすいと言えるでしょう。
ただ、それらもニュースとしては大きく取り上げられるものの実態は異なっており、米中関係はむしろ緊密な方向に動いており、中国経済再開は間違いなく米企業にとってもプラス材料となっています。リスクとしては市場が先走って期待している米利上げ鈍化で2月FOMCが本当に0.25%で決定するかどうか、続いて2/7のバイデン米大統領の予算教書演説まで滞りなく済ませられるかどうかといった部分になってくるかと思います。
◆米中貿易額、過去最高を更新する方向-経済切り離しのレトリックでも(2023/1/17)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-17/ROM9OZDWRGG401?srnd=cojp-v2
◆米大統領、オランダとの協調を会談で演出-対中半導体規制で説得でも(2023/1/18)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-17/RONEFEDWLU6A01?srnd=cojp-v2
【日本株投資戦略】
為替円高の一服は本当か、黒田日銀総裁会見に注目する市場とひそかに国内に滞留していくマネー
本日はいつも以上に注目度が高い日銀金融政策決定会合が控え、黒田日銀総裁の発言を市場は気にしています。日銀会合の内容などはお昼ごろにも漏れてくるかと思いますが、それによって日本株が続伸できるか市場が神経質になるのも頷けます。
といっても、おそらく12月のような市場サプライズで日銀ショックというようなことにはつながらないかと思いますし、むしろ市場は警戒し過ぎているように思いますので逆に無難な通過でショートカバーを誘発し、大幅続伸もあり得ると考えています。
これまで日銀が粘り強く金融緩和、金融緩和と言い続けてきて、足元でも海外勢がこれでもかと日本国債売りを仕掛けているとされる中で黙々と日本国債を買入て市場にマネーを供給し続けています。もはや日本国債がマネーの受け皿になり得なくなってきている中で、国債を売ってあり余ったお金はどこに向かうのでしょうか?
日本の国債が運用に使えないとなればその代替先を探さなければならず、それならと配当利回りの高くて安定した日本株にでも資金を振り向けるか・・・といった考えに及んでも不思議ではありません。なにしろ日本の金利高観測とともに日本円が高くなるとすれば、運用担当者は海外に投資しても為替差損のリスクにさらされることになります。
日本株にとって最も重要なのは、それだけ日本の金利高観測が強まっている中で最終的に日銀が利上げ判断を下すとなった場合に日本企業にとって逆風となるかどうかです。もちろん資金繰りにあえぐ中小企業にとっては死活問題になってきますが、上場企業の決算はコロナ禍の逆風があってもEPS(1株当たり利益)は伸びており、過去最高益を叩き出す企業も続出しています。
また、日本企業の配当支払金、法人税も増加といった状況のおいて、利益剰余金を蓄えてキャッシュリッチな企業がどれだけ増えているかといった点からしても、今後の金利上昇で困難になるのは過剰に借金が膨らんでいる財務状態が悪い企業だけです。
つまり、多くの日本企業が平成バブル崩壊後、リーマン・ショック後の過程で財務改善に取り組み、円高耐性をつけながら持続成長できる企業へと体質改善の努力をし続けてきたわけで、その真価が問われるのはまさにこれからと言えるのです。
日本の金利高や為替の円高が逆風になると考えるのは、米国企業のようにレバレッジ経営が資本主義の象徴という風にみなしてきた名残りで、今後必ずしもこれまでの市場ロジックのまま進んでいくわけではありません。政府が「新しい資本主義」を掲げてからなかなか前に進んでいないように見えても、その土壌は少しずつ整えられてきています。
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