【6/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 25963.00(▲1.77%)[25,720~26,072]
TOPIX 1835.90(▲1.71%)[1,819~1,843]
マザーズ 621.10(▲2.39%)[615~629]
値上がりセクターTOP5
1.食料品(+0.87%)
2.電気・ガス(+0.66%)
3.陸運(+0.39%)
4.繊維(+0.29%)
5.小売(+0.20%)
値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲3.42%)
2.輸送用機器(▲3.23%)
3.金属(▲2.98%)
4.鉄鋼(▲2.91%)
5.ガラス・土石(▲2.90%)
17日の日本市場は米株大幅安で年初来安値を更新する動きをうけて日経平均は26,000円を割り込みました。5/12安値に接近、先物市場ではこれを割り込む場面がみられましたが、現物市場ではこれを回避。11時過ぎからは日銀ETF買い観測を支援にやや持ち直し、日銀会合の結果待ちから徐々に為替が円安方向に振れたこともあり、後場は小じっかりの動きとなりました。
米株のハイテク株が極めて軟調だったことから、グロース株が幅広く売られ、一部には年初来安値を更新するものが出始めました。東京エレクトロン(8035)やソフトバンクG(9984)などが厳しい下げとなった一方で、ファナック(6954)やファーストリテイリング(9983)が逆行高、また、鉄道株や電力株、食品株、小売株などディフェンシブ系が選好されているのが特徴的です。
グロース株軟調から精密機器が値下がりセクタートップ、ただしその後に続いたのは自動車や鉄鋼、金属など素材系も売られており、バリュー株にもいよいよ資金流出の動きが鮮明に。新興グロース株も主力どころが大幅安のほか、独歩高だったエニーカラー(5032)もとうとう陥落。資金の退避場所が無くなってきたことで、消去法的にディフェンシブ株買いの構図だったとみられます。
【米国株概況】
コロナバブル前の株価水準に逆戻りした米国株、景気後退の市場懸念強まる中でいよいよ実体経済にも悪化影響が波及
NYダウ 29888.78(▲0.13%)[29,653~30,167]【安値更新】
S&P500 3674.84(+0.22%)[3,636~3,707]【安値更新】
NASDAQ 10798.35(+1.43%)[10,638~10,884]
ダウ輸送株 12868.6(▲0.43%)[12,777~12,992]【安値更新】
半導体SOX 2578.5(+0.46%)[2,523~2,598]【安値更新】
日経平均先物(CME) 25,930(+0.58%)[25,600~26,095]
ドル/円 132.16~135.34
米10年債利回り 3.231%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 110.48(高値122.75:6/10、安値88.53:3/15)
金先物 1841.90(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 4.0110(高値5.0395:3/7、安値3.9900:6/17)【安値更新】
恐怖指数(VIX)31.13(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 14(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.05(安値72.92:6/13)
17日の米国市場は引き続きFOMC材料と経済指標悪化による景気後退懸念が重しとなる中、クアドルプル・ウィッチング(米国版メジャーSQ)に伴って売買が膨らみ、年初来安値圏でのもみ合いとなりました。
NYダウは高安まちまちでエネルギー株のシェブロンが▲4.5%大幅安の一方、アメリカン・エキスプレスが+4.8%でこれを相殺、他はセールスフォースやマイクロソフトなどがしっかりで、ハイテク株主体のナスダックは反発しました。主要株式指数はNYダウ、S&P500が年初来安値を更新しましたが、ナスダックは前日大幅安から辛うじて底割れは回避できました。
債券市場は依然として短期~長期債すべて3%超えの水準に留まっており、株安による一時的な退避資金で債券需要を押し上げたとみられますが、米FRBのQT開始影響で一段の金利低下は期待しづらくなったと考えられます。
そんな中、米国の住宅市場ではローン金利高の影響がより強まっており、住宅関連指標の悪化が懸念され始めているほか、小売業界では大手が過剰在庫を大幅ディスカウントで売り捌く動きが急速に強まっています。これは米国経済の根本構造である住宅と個人消費に先行き懸念が強まっていることを示すものです。
バイデン政権は中ロ敵視政策で米国経済悪化の要因をなんとか国外に向けようと必死ですが、ウクライナ支援にご執心で内政をおろそかにしている姿勢が米国民の不満を招き、支持率低下がより深刻さを増しています。米中間選挙が近づく中、米国内では銃乱射事件などが相次ぎ、きな臭さが強まっていると言えます。
◆銃規制30年ぶり実現めざす 米与野党、中間選挙にらみ(2022/6/18)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16DG30W2A610C2000000/
米国の株価は最高値をつけた今年1月から釣瓶落とし状態となっており、金融政策の支援が期待できない以上、財政政策で下支えするしかない状況ですが、国外の地政学リスクにばかり資金を投じていると抜本的な経済対策などは期待しづらくなってしまいます。ここにきてようやく新しい経済対策を求める声が出始めたようですが、市場の懸念を払しょくできる内容かどうか、また新法成立までには時間がかかる見込みで、今夏の米国経済は高インフレと経済指標悪化で厳しいものとなるでしょう。
◆バイデン政権の新経済対策、数週間以内の議会可決を望む-ディース氏(2022/6/20)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-19/RDQIK9T1UM1601?srnd=cojp-v2
【日本株投資戦略】
国内は週後半から徐々に選挙相場入り、市場底入れにつながる出来高急増の場面を要監視
米国株が2021年の安値を割り込み始めた中、日本株も5月安値に接近して2021年安値をいち早く割り込んだ3月安値が視界に入ってきています。日経平均が安値をつけた3/9時点の為替レートはドル円が115円付近でしたから、輸出関連株などはこの為替要因で株価も押し上げられている側面が強いと言えます。そんな中、前週末に自動車株・エレクトロニクス株が大きく売られたということは、全体を下支えしてきた役割が低下したともとれる動きです。
また、米国市場が調整色を強める中で逆行高を見せてきたエネルギー株が値崩れし始めた動きをみますと、もう一方の全体下支えの役割を演じてきた資源株も値保ちが悪くなってくる可能性があります。これらの中には石油関連株や商社株などバリュー系で時価総額も大きい関連株が多くありますので、TOPIXにも上値の重さが意識されやすくなると言えるでしょう。
国内では今週から参院選スケジュールに突入し、6/22公示で7/10投開票の日程となっています。日本株は3月の安値が示現した以降、自律反発のタイミングとともに政策期待を醸成して株価を引っ張り上げる動きがみられてきましたので、相場が選挙モード入りすれば底入れ期待が高まりやすいと言えます。
ここから約20日間の選挙スケジュールの中で、どこに安値をつけて反発に転じてくるかを見極めていかなくてはなりませんが、おそらく前半戦は全体に下値警戒感から売り込まれる銘柄が多くみられることでしょう。とくに22日、23日はパウエル米FRB議長の議会証言が予定されており、来週には米国債の入札が多く組まれていることから米金利の動向をめぐる懸念が燻り続ける可能性が高いと考えられます。
一方、それらを通過して来週の米経済指標発表をこなせば、悪材料の織り込み済みで自律反発への期待が高まっていくことになります。よって、しばらくは下値波乱の乱高下といった感じかもしれませんが、その渦中で逆行高を見せるような銘柄は政策絡みである可能性が高いと言えます。おそらく国策関連などと言って、期待以上にもてはやされるものも出てくるかもしれません。
したがって、月内はしばらく様子見姿勢が賢明かと思われますが、もしどこかで追証売りや全体の投げ売りで市場出来高が大きく膨らむような場面に出くわしたら、短期リバウンド狙いで多少買い向かうという戦略は有効になってくるかと思います。
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