【6/16日本市場の確認ポイント】
日経平均 26431.20(+0.40%)[26,431~26,947]
TOPIX 1867.81(+0.64%)[1,866~1,893]
マザーズ 636.32(▲1.32%)[636~660]
値上がりセクターTOP5
1.農林・水産(+3.08%)
2.繊維(+2.18%)
3.輸送用機器(+2.05%)
4.ゴム(+1.99%)
5.不動産(+1.56%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.13%)
2.サービス(▲0.49%)
3.化学(▲0.31%)
4.倉庫・運輸(▲0.28%)
5.なし
16日の日本市場は米FOMCの0.75%利上げ決定をうけた米国市場が材料出尽くしの米株高・米債高の反応を見せたことから大幅高スタート、日経平均は一時600円超の上げ幅で27,000円に急接近する場面がありました。ただし、反発は長続きせず、後場には上げ幅を急速に縮めて結局105円高、この日の安値をつけて引けました。
朝方の上昇をけん引したのはトヨタ(7203)など自動車株で、その他にファーストリテイリング(9983)やファナック(6954)など値がさ株が買われて日経平均を押し上げましたが、米金利低下でもなお東京エレクトロン(8035)など半導体株の戻りが鈍く、米国のハイテクグロース株のような強反発はみられませんでした。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1216/値下がり561で、値上がり銘柄は多かったものの、自動車を除く景気敏感株は物色が弱く、海運株は序盤から冴えない動きでした。相場のけん引役不在での戻りは当然限られ、新興市場のマザーズにいたってはマイナスで5月以来の新安値を更新しました。ただ、以前取り上げた直近IPOのエニーカラー(5032)は異彩を放ち、この日も一時ストップ高まで買われるなど、公開価格1530円からは6倍超になりました。
【米国株概況】
FOMC通過の上昇分を倍返しで急落、NYダウは30,000ドル割れ、スイス中銀ショックで金融市場は歴史的な転換点に
NYダウ 29927.07(▲2.42%)[29,740~30,305]【安値更新】
S&P500 3666.77(▲3.25%)[3,639~3,728]【安値更新】
NASDAQ 10646.10(▲4.08%)[10,565~10,831]【安値更新】
ダウ輸送株 12924.5(▲3.40%)[12,840~13,268]【安値更新】
半導体SOX 2566.9(▲6.24%)[2,537~2,652]【安値更新】
日経平均先物(CME) 25,600(▲3.14%)[25,550~26,900]
ドル/円 131.48~134.67
米10年債利回り 3.195%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 116.77(高値122.75:6/10、安値88.53:3/15)
金先物 1858.65(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 4.0960(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)32.95(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 14(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.82(安値72.92:6/13)
16日の米国市場は15日の米FOMCおよびパウエル米FRB議長の会見をうけて、大きく買い戻された米株市場が再び急反落。NYダウは一時▲1,000ドル近い大幅安となったほか、S&P500も▲3%超、ハイテク株中心のナスダックは▲4%超の大幅安になりました。半導体SOX指数は一時▲200ポイント急落して▲7%に達する暴落商状となりました。
米FOMCをめぐっては事前の0.5%利上げ観測から直前の米経済指標およびインフレ環境を考慮しながら0.75%の大幅利上げが実施されたほか、次回7月会合においても同様の0.75%利上げが示唆されました。足元のインフレが想定超のほかさらに驚く事態が出来する可能性、機敏な対応が必要と言及。また、米経済は堅調、引き締めに対応する態勢が整っているとの認識を示しました。
米FRBがようやく高インフレ退治に積極的な姿勢を示したことで、株式市場はこれを好感する動きを見せましたが、昨晩は一転して前日の上昇分を倍返しで下落する大惨事となっています。債券市場ではFOMC通過材料と株式市場のリスクオフから米国債に退避する動きが勢いづいて各年限の金利が急低下、米10年債利回りは3.2%付近まで低下してきました。
また、昨晩の欧米市場が大荒れとなった要因は米FOMCだけでなく、スイス中銀がサプライズの利上げ発表。これまで日銀と同様に『動かざること山の如し』で、マイナス金利を保ってきたスイス中銀が突如0.5%幅の利上げに踏み切ったことは、株式市場だけでなく為替市場にも大きな衝撃をもたらしました。
◆スイス中銀が07年来の利上げ、政策金利マイナス0.25%に-予想外(2022/6/16)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-16/RDK7M8T1UM0W01
仮にもう一回同じく利上げした場合、マイナス金利を脱却して金融正常化へと向かうことになりますが、市場へのインパクトは避けられないほか、またしても日銀だけが世界の利上げ競争から取り残されることになります。
金融の歴史上でこれは大変意義深いもので、まさに「歴史は繰り返される」という話ですが、株式市場への一時的影響で考えれば今よりさらに厳しい展開を余儀なくされることでしょう。とくに現代の金融資本主義においては極めて重要な話になりますので、本日の【先読みの近未来】(スタンダード会員以上の方対象)で詳述します。
【日本株投資戦略】
日経先物は5月安値割れで下値警戒、リスクオフの円高復活!?日銀会合に注目
15日の米FOMCを通過して、日米の株式市場ではひとまずリスクイベントの不透明感解消から大幅反発の動きがみられました。とくに米株市場では週末のクアドルプル・ウィッチングを控えたタイミングでオプション市場におけるボラティリティ拡大から取引が活発化し、売り込まれていたハイテクグロース株の買戻しを誘発しました。
日本株も米株上昇に引っ張られて戻りを試しましたが、日経平均は節目の27,000円には届かずして失速し、相場のけん引役である半導体株、海運株はともにマイナス圏に沈んでしまいました。セクターローテーションで買われてきた景気敏感株の戻りが限られたことで、FOMC通過材料での反発期待は早々に削がれる結果となっています。これは前回のマーケット解説でもある程度想定できていたことかと思いますが、それにしても賞味期限が早過ぎるというのが大半の市場参加者の本音ではないでしょうか。
昨晩の米国市場では上記解説のとおり株式市場のリスクオフから債券市場での金利低下が目立っています。足元の環境で米金利低下は望ましいことですが、リスク回避の資金が一時的に米国債に向かったという側面は否めません。米10年債利回りが依然として3%を上回っている状態では、グロース株の本格的な底入れは程遠いため、株式市場には下落圧力が残ったままになるのは致し方ないと言えるでしょう。
しかし、激震が走っている今の株式市場にとって酷な言い方をするようですが、本当の試練はこの米FRBによる積極利上げが行われた後にやってきます。この点に関しては前回の【6/15先読みの近未来】(スタンダード会員以上の方対象)で詳しく解説したとおりですが、今は中央銀行の当局者にとって金融正常化をすることによって株式市場がどこまで耐えられるかが試されているところです。
昔からの相場格言で【連銀(米FRB)には逆らうな】と言われてきましたが、中央銀行は金融緩和している時は投資家にとって頼り甲斐のある味方になりますが、これが一転して金融引き締めに回った時は投資家にとって何よりも恐るべき敵に変貌します。とくに現状ではその道程が始まったばかりのところであることを考えますと、今回の重大な決定がマーケットに反映してくる今夏が最も厳しいヤマ場になってくると思われます。
これも紙幅が限られている以上、詳しい話は【先読みの近未来】(スタンダード会員以上の方対象)に場を移して解説することにしますが、米FOMC通過で一息つけるかといったところで上記のスイス中銀ショックが資本市場全体を揺るがしています。昨晩の英BOEもしれっと利上げしましたが、中央銀行スケジュールのトリを務めるのは本日の日銀金融政策決定会合です。おそらく日銀の出方が市場で注目を集めるのは、政治的な兼ね合いもあって来月になるとみています。繰り返し指摘していますように、押し目買い好機と言って安易にリバウンドを狙うようなことは避けておいた方がよいでしょう。
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