【6/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 27943.95(+0.10%)[27,863~28,094]
TOPIX   1947.03(+0.41%)[1,943~1,956]
マザーズ 661.42(▲2.18%)[660~672]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.99%)
2.輸送用機器(+1.55%)
3.石油・石炭(+1.51%)
4.非鉄金属(+1.39%)
5.繊維(+1.37%)

値下がりセクターTOP5
1.空運(▲1.03%)
2.不動産(▲0.78%)
3.陸運(▲0.69%)
4.サービス(▲0.60%)
5.情報・通信(▲0.36%)

 7日の日本市場は続伸の動きから節目の日経28,000円を突破する場面がみられるも、10時過ぎにNYダウ先物の急落に伴い連れ安する一幕もあり、再び切り返す動きをみせて結局小幅高で取引を終えました。

 米長期金利の上昇でグロース株に上値の重さが意識される代わりに、為替円安を追い風に輸出関連が買われ、自動車株がTOPIXの上昇をけん引、金利上昇から銀行株もしっかりでした。個別物色はこれまで同様に資源・エネルギー株が総じて強含み、防衛関連株も小型株へも物色意欲が波及しています。

 一方で、半導体関連株はじめグロース株は軟調、経済再開期待に加えて政府の「Go To」再開検討で思惑の向かった旅行・レジャー関連はそれまでの動きから一転して下落、不動産株も軟化し始めてきました。地合いの改善が一段と顕著になる中で新興市場はマザーズ指数が▲2%超となる大幅安、取引時間中に子会社の不祥事発覚で急落した川崎重工(7012)の動きなどはやや気がかりな点と言えます。

【米国株概況】
長期金利の急低下でハイテク株に買戻しの動き、出来高水準は停滞気味で戻りの力強さに欠ける、一段高にはオールドエコノミー株の復権が必要か

NYダウ 33180.14(+0.80%)[32,641~33,207]
S&P500 4160.68(+0.95%)[4,080~4,164]
NASDAQ 12175.23(+0.94%)[11,888~12,194]
ダウ輸送株 14573.5(+0.13%)[14,183~14,594]
半導体SOX 3093.0(+0.99%)[3,008~3,098]
日経平均先物(CME) 28,210(+0.71%)[27,865~28,220]
ドル/円 131.89~133.00
米10年債利回り 2.979%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 119.77(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1854.70(高値2,078:3/8)
銅先物 4.4493(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)24.02(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 31(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)78.23(安値75.93:5/18)

 7日の米国市場は前日に米長期金利が再び3.0%台乗せで嫌気されたグロース株売りが落ち着き、米金利が急低下したことで再び買い戻される動きとなり、主要株式3指数はそろって1%弱上昇しました。

 米10年債利回りは、日本や欧州の海外時間で3.0%を上回って推移していましたが、米小売大手の過剰在庫に伴う値下げ発表でインフレ懸念が幾分和らぎ、利回りは3.06%→2.97%まで急低下しました。ハイテク株のアップルやエネルギー株のシェブロンなどが強含んだほか、ダウ採用銘柄以外ではエクソン・モービルが+4.5%高と急伸しました。

 米国株は5月下旬から急反発をみせ、6月に入ってからは一進一退のもみ合いとなっていますが、出来高水準はやや停滞気味で上値の重さも意識される動きを見せています。一段高を望むには長期金利水準との兼ね合いもありますが、やはりハイテク株の復活が必要と言えます。

 日本株では一足先にバリュー株の復権がグロース株との主役交代を感じさせる動きがみらています。米国株においても上記エネルギー関連のシェブロンやエクソン・モービル、そしてキャタピラーやボーイングなどに代表されるオールドエコノミーの銘柄であったり、ゴールドマン・サックスなどの金融・金利敏感株に軸足が移っていくかが焦点となりそうです。

【日本株投資戦略】
政府による新資本主義の内容が決定、政策期待で駆け上がってきた日本株、今週末のSQと来週の米FOMCが待ち受ける

 米国株が5月末の急反発以降でなかなか上値を取ってこれない動きを後目に、日経平均は節目の28,000円、さらに200日移動平均線(27,939円)をクリアしてきました。黒田日銀総裁の指値オペ断行を安心材料とした為替の円安進行を手がかりに、米国株と比べて日本株優位の展開が鮮明になっています。昨晩時点で日経先物とNYダウのスプレッドはほぼ5,000まで縮小してきました。

 政府による政策期待が高まれば3月下旬にみられたような日本株ラリーが展開されると述べてきましたが、足元での一段高は岸田首相の「新しい資本主義」が懸念された分配戦略重視の姿勢から成長戦略重視に変わりつつあることを歓迎しているかのようです。

 政府の骨太方針・新資本主義は本日午後に閣議決定される予定で、実行計画には金融所得課税強化と企業の自社株買いルール規制は明記されずに、資産所得倍増プランが強調されたものとなっています。

◆新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画~人・技術・スタートアップへの投資の実現~(内閣府:2022/6/7)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2022.pdf

◆岸田首相「新しい資本主義」実行計画決定 分配戦略後退指摘も(2022/6/7)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220607/k10013662011000.html

◆骨太方針・新資本主義、7日午後に閣議決定 与党は了承(2022/6/7)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0709E0X00C22A6000000/

 インフレ環境が家計を圧迫し始める中、個人投資家を市場に呼び込もうとする政府の「貯蓄から投資へ」を政策的に実現まで持っていけるか注目されるところですが、足元の株式市場ではここで一旦政策期待による上昇を織り込む形となってくるものと思われます。

 あとは直近でドル円、ユーロ円ともに高値更新から急速に進んでいる円安深耕がどこで一服するかが焦点となります。エネルギー価格高騰をはじめとする原材料価格の高騰、それと同時に輸入物価上昇の波が企業の値上げ合戦に結びつき始めている中で、政府・日銀の政策が日本の産業構造を変革する後押しをしなければ、いくら外需企業が潤ってもいっこうに内需が活性化しなければ日本人の経済状況は一段と苦しくなっていってしまいます。

 だからこそ株式投資をというところかもしれませんが、足元の日経平均は今週末のSQに向けた先物・オプション主導での吊り上げが起きている最中ですので、この場面での上昇に浮かれてついていくことはできません。

 昨日はやや軟調だった東京エレクトロン(8035)あたりが相場を引っ張れば本日も一段高が期待できるかと思いますが、次回6/15の米FOMCに向けては潮目がすでに変わってきている可能性が高いですので、ポジションを整理して新規投資はストップし、現金比率を高めておくようにするとよいでしょう。

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