【6/3日本市場の確認ポイント】
日経平均 27761.57(+1.27%)[27,614~27,776]
TOPIX   1933.14(+0.35%)[1,924~1,941]
マザーズ 670.37(+1.49%)[666~674]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.34%)
2.精密機器(+1.52%)
3.非鉄金属(+1.36%)
4.石油・石炭(+1.25%)
5.サービス(+1.18%)

値下がりセクターTOP5
1.保険(▲1.84%)
2.空運(▲1.29%)
3.その他金融(▲1.10%)
4.輸送用機器(▲1.08%)
5.証券・商品先物(▲0.93%)

 3日の日本市場は海外時間での日経先物27,500円突破をうけて大幅高で寄付いた後、その後は一進一退のもみ合いに終始しました。200日移動平均線や節目の28,000円を目前に増勢となる一方、TOPIXは一時マイナスに落ち込むなど日経はファーストリテイリング(9983)の大幅高による寄与分が大きく影響しました。

 米国株のグロース株が大幅反発をうけてグロース株が強含みましたが、半導体SOX指数の上昇幅の割には半導体関連株の上値は意外と伸びず、ほとんどが寄付の直後につけた高値が上値いっぱいとなった格好。他方で、エネルギー株が原油高を好感して買われたほか、防衛関連銘柄も材料物色で上値を試す動きが目立っています。

 材料物色ではインバウンド期待の旅行・レジャー関連や防衛関連、インフレに伴う石油資源や金属資源、食糧危機に直結する農業関連銘柄など時勢に合わせたテーマで局所的に資金が集中しやすい状況となっており、個別株の一本釣りが中心とみられます。

【米国株概況】
強い経済指標で再び金融引き締めへの警戒広がる、金利上昇と原油高が株価の重し

NYダウ 32899.70(▲1.05%)[32,839~33,135]
S&P500 4108.54(▲1.63%)[4,098~4,142]
NASDAQ 12012.73(▲2.47%)[11,966~12,167]
ダウ輸送株 14444.8(▲0.32%)[14,347~14,495]
半導体SOX 3062.6(▲3.02%)[3,047~3,103]
日経平均先物(CME) 27,575(▲0.77%)[27,525~27,815]
ドル/円 129.66~130.97
米10年債利回り 2.941%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 118.87(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1850.20(高値2,078:3/8)
銅先物 4.4720(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)24.79(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 27(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)78.64(安値75.93:5/18)

 3日の米国市場はインフレ動向見極めのためにより注目度が増している経済指標発表において、5月米雇用統計が市場予想を上回った結果をうけて、金融引き締めの積極姿勢に対する警戒感が強まりました。

 米国株の主要3指数はそろって反落、米10年債利回りは一時3.0%目前まで再び迫り、金利上昇が嫌気されたグロース株が前日の急騰から一転、急落の動きとなりました。とりわけ大きく下落が目立ったのは、テスラで▲9.2%の急落、アップルも▲3.9%の大幅安で指数を押し下げました。セクター別には唯一エネルギーだけが上昇、ほか10セクターは軒並み下落となりました。

 足元の経済指標やインフレ環境の悪化などをふまえて、金融当局者の発言には再び強硬な姿勢が目立ってきており、5月後半以降の株価上昇局面ではFRBが6月と7月に連続して0.50%の利上げを実施した後に、利上げを一時中断するとの観測も広がりましたが、直近では9月会合でも0.50%の利上げが必要との声が大きくなり始めてきました。

 株式市場にとってはこれに冷や水を浴びせられる格好となっており、同時に6月のQT開始で市場の流動性が一段と低下する状況に身構える必要が出てきていると言えます。とくに今週から来週にかけては中央銀行ウィークに突入するとも言え、木曜日には異例の利上げ宣言を行っている欧州ECBも予定され、重要な経済指標も5月CPIなどが控えています。

 足元では再び長期金利の上昇および為替ドル高に注目が集まっており、株式市場においてもインフレと株高がリンクするための地ならしが続いています。同時に景気動向はリセッション懸念を孕みながらも経済指標は依然として強い内容が続いており、金融引き締めを先送りする理由は正当性が失われつつあります。

【日本株投資戦略】
リスク選好地合いも物色資金は一部に集中、政策総動員の正常化期待による市場反応はなお限定的

 米国株リバーサルの動きと連動してリスク選好地合いにある日本株は週末になかなか越えられなかった日経27,500円の壁をようやく突破しました。日経寄与度が大きいファーストリテイリング(9983)に押し上げられた面は否めませんが、次点の東京エレクトロン(8035)も節目の60,000円台に迫っており、景気敏感株が相場のけん引役として復活するかどうかが試されるところです。

 世界全体がインフレの脅威に晒される中、日本ではこの30年間異常なデフレ環境が続いてきたことで、これを機に物価・賃金の上昇を後押しして正常化へと向かう期待も囁かれるようになりました。これと合わせながら政府の水際対策がコロナパンデミックからの正常化を促すきっかけになるものとして、テーマ物色が活発化してきたのが現在の日本市場です。

 日銀は景気回復軌道をより確かなものとするために金融緩和の継続方針を示し、世界との立場の違いを強調していますが、足元では円安が進行して輸入物価の上昇圧力を助長させるものとして企業もコストプッシュインフレに苦慮する状況となってきています。

 世界の景気動向をにらみつつ、リスクマネーは流動性が薄くなっている市場の中で、極めて限られた投資先に資金が局所的に集中することで価格上昇が起きているのが現状で、上昇局面・下落局面ともにオーバーシュート(行き過ぎ)の現象を引き起こしやすくなっています。

 今やその需給面における価格決定メカニズムを大きく揺り動かしているのは現物市場ではない先物・オプション市場の動向による部分が大きく、日本市場では今週末のメジャーSQがこれらの清算が行われる点で波乱の種になりやすくなります。

 SQが近づくと相場が荒れやすくなるのは今回に限ったことではありませんが、今週は理由なく乱高下する事態に警戒心をもって臨む必要があると言えるでしょう。とくに週前半の取り組みでは節目の攻防が活発化しているため、トレンドが定まらない間は急な方向転換に注意が必要です。

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