【6/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 27413.88(▲0.16%)[27,251~27,450]
TOPIX   1926.39(▲0.63%)[1,917~1,932]
マザーズ 660.54(▲2.19%)[659~668]

値上がりセクターTOP5
1.石油・石炭(+0.78%)
2.保険(+0.55%)
3.ゴム(+0.53%)
4.その他金融(+0.25%)
5.鉄鋼(+0.19%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲2.12%)
2.医薬品(▲2.11%)
3.精密機器(▲1.70%)
4.サービス(▲1.68%)
5.農林・水産(▲1.23%)

 2日の日本市場は為替相場がドル円130円台へと急伸する中、米株安をうけて軟調なスタートを切るも徐々に持ち直す動きで下落幅を縮小。日経平均はほぼ前日と変わらない水準まで戻しましたが、米長期金利上昇をうけてソニー(6758)やエムスリー(2413)などグロース株の一角が軟調で足を引っ張りました。

 またセクター別には値上がり6、変わらず1、値下がり26業種と押なべて軟調と言える中、原油価格の下落をうけた鉱業が値下がりトップ。ロシア産原油禁輸に伴い、減産分をサウジアラビアが増産用意との観測が材料視されました。以下、グロース代表の医薬品、精密機器、サービスと続いています。

 グロース株嫌気売りの影響が大きく出たのは新興市場で、マザーズ指数は▲2%超の下落となりました。前日にプライム市場移行で材料物色されたメルカリ(4385)が往って来いの動き、時価総額の上位銘柄がそろって軟調、さらに公開価格から初値が2.5倍以上でついた直近IPOのトリプルアイズ(5026)が値崩れして▲20%超の下落となるなど投資家心理を冷やしました。

【米国株概況】
当局者発言で一時300ドル安のNYダウは安値から800ドル超の急反発、大型グロース株が大幅高でナスダックも2%超の上昇でリスク選好ムード強い

NYダウ 33248.28(+1.33%)[32,509~33,248]
S&P500 4176.82(+1.84%)[4,074~4,177]
NASDAQ 12316.90(+2.69%)[11,901~12,320]
ダウ輸送株 14490.6(+2.08%)[14,221~14,496]
半導体SOX 3158.0(+3.57%)[3,037~3,158]
日経平均先物(CME) 27,775(+1.15%)[27,260~27,785]
ドル/円 129.51~130.24
米10年債利回り 2.913%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 117.50(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1873.20(高値2,078:3/8)
銅先物 4.5590(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)24.72(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 28(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)79.23(安値75.93:5/18)

 2日の米国市場はブレイナードFRB副議長の9月金融引き締め継続を示唆した発言で反落スタート、同時にマイクロソフトが4-6月業績に対して弱気材料を発表したことも重なり、NYダウは一時▲300ドル安の32,500ドル付近まで下落した後、鋭角的に切り返して+400ドル高で取引を終え、高安の値幅は800ドル超に達しました。

 市場では米国金融政策をめぐり6月、7月の0.5%利上げ実施後の9月利上げに関して一旦利上げを見送る観測の下で織り込む動きが進んできましたが、ブレイナード発言はこれに釘をさす形となりました。ただ、これが必ずしもFRBメンバーの総意ではないとの見方が過度に警戒感を高める事態にはなりませんでした。

 これに対して債券市場では年限問わず買われる動きとなり、長期金利は小幅低下しただけですが債券版VIX指数とも言えるボラティリティが急低下し、安心感が広がる形となっています。ロシア国債のデフォルト騒ぎも市場全体への影響は限定的とされ、リスク指標ではVIX指数が25ポイントを割り込んで24ポイント台に低下。F&G指数もようやくEXTREME FEARの領域を抜け出して28ポイントまで回復してきました。

 5/30号でも解説しましたように極端な警戒感はこれで一旦和らいだこととなり、市場が急落でオーバーシュートした分の修正はある程度完了してきたものとみられ、今後はショートカバー中心の急反発から実需を伴った上昇へと転化していけるかが焦点となります。

 また、昨晩の相場かく乱の要因ともなったFRBメンバーの見解は、今週末で一旦ブラックアウト期間に入って発言が控えられるようになりますので、経済指標の強弱や外部環境の変化を中心に米国の金利動向、そして昨晩の米株高を主導したグロース株の動向に注目しておくべきでしょう。

【日本株投資戦略】
日経平均27,500円突破で高まる上値への期待感、その一方で反発局面はどこまで!?

 昨晩の米国株が前日から一転して強いチャートパターンを示し、とくにグロース株が大きく上昇したことからリスク選好ムードが強まっています。日本株も日経平均の節目27,500円を今度こそ突破してくる期待が持てるほか、需給の最も重たい価格帯を抜けることで上値の軽さも意識されやすくなるところです。

 一方で、米株高の局面でも米国の金利水準はさほど動いていないことから、上記の【米国株概況】でも指摘のとおり、今後の経済指標発表や外部要因で金利が動いたとき、特に上昇した場合に主要どころのグロース株がどう反応するかが重要になります。現在2.9%付近にある長期金利が再び3%台に達したような場合にグロース株が足元のような強さを維持できるかが上値を試す上でのカギになります。

 他方で日本株においては日経27,500円の節目を突破した勢いそのままに、4月高値をクリアして今度は3月高値の28,000円台を窺う形となります。水準観ではロシアによるウクライナ侵攻が始まる直前の戻り高値が2月の27,880円でしたので、ここまで回復するのが一つ目の地政学的リスクを乗り越えたかどうかの基準、さらに5月の決算発表で企業業績改善と自社株買い発表が相次いでいますので、ファンダメンタル材料が支援します。

 あとは5/30号でもお伝えした政策期待で、3月ラリーを演出したときも政府による経済対策発表をふまえて期待買いが先行した形となり、それによってつけた高値が3/25の28,338円です。6月はコロナパンデミックからの正常化で経済再開を期待する声が大きくなっていますが、より大事なのは日本全体として成長を実現するための岸田政権による「新しい資本主義」を市場がどれだけ評価するかにかかっていると言えます。

 これも期待先行で実効性が疑われてしまいますと、膨らんだ期待が急速に萎んでしまうこととなり、企業のファンダメンタルがいかに改善していようとも需給的な面から再び株価下落の軌道に落ちていってしまう懸念が出てまいります。

 取り組みのスタンスは引き続き戻り売りスタンスを継続、理由は5/27号でも反発局面は6月第1週までのところで上値を試せるかどうかにかかっていると述べているとおりです。詳しくは【先読みの近未来・相場の強弱スケジュール目安】(スタンダード会員以上の方のみ)をご参照ください。足元のところでは前回指摘したように来週の7日火曜日までが焦点となってきますので、あわせて参考にしていただければ幸いです。

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