【5/31日本市場の確認ポイント】
日経平均 27279.80(▲0.33%)[27,250~27,463]
TOPIX 1912.67(▲0.51%)[1,911~1,926]
マザーズ 671.25(▲0.89%)[664~676]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+5.93%)
2.保険(+1.45%)
3.石油・石炭(+0.77%)
4.鉄鋼(+0.50%)
5.ゴム(+0.18%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.64%)
2.不動産(▲2.38%)
3.空運(▲2.05%)
4.電気・ガス(▲1.45%)
5.その他製品(▲1.26%)
31日の日本市場は米国休場に伴う手がかり難の中、中国の上海ロックダウン解除などを追い風に大幅高した前日の良い流れから買い優勢でスタート。米国株の下げ止まり感と相まって売り手も積極的には仕掛けづらい中で、日経平均は次の節目27,500円を試す展開。ただ、月末のMSCI指数除外や年金・ファンドのリバランスなどの特殊需給も発生する思惑の中で、徐々に値を消す動きとなり、最終的にはマイナスに転じたところから下げ幅を拡大して取引を終えました。
大引けの出来高は大きく膨らみ、プライム市場の売買代金は前日の4.3兆円を上回り5.5兆円にのぼり、市場区分変更後の最高を記録しました。前日は出来高を伴った大陽線が示現しましたが、この日は上値を抑えられたことから実は売り需要も相応に発生したものとみられます。ただし、空売り比率はむしろ前日よりも低下しており、それだけ戻り売りが嵩んだものと考えられます。
特筆すべきはEUによる対ロシア制裁の一環でロシア産原油禁輸の「原則」合意報道で、足元では原油価格高騰が顕著となりました。インフレに苦慮する各国の政策が動き出して今後の相場動向に注目が集められる中、石油関連株が大きく買われ鉱業セクターが上昇率トップに躍り出ました。
【米国株概況】
休場明けの米国株は反落、連騰は6でストップ、不安定な原油相場とインフレ加速懸念
NYダウ 32990.12(▲0.67%)[32,752~33,240]
S&P500 4132.15(▲0.63%)[4,104~4,168]
NASDAQ 12081.39(▲0.41%)[11,942~12,190]
ダウ輸送株 14301.5(▲0.99%)[14,154~14,429]
半導体SOX 3098.7(▲0.53%)[3,052~3,126]
日経平均先物(CME) 27,180(+1.23%)[27,055~27,470]
ドル/円 127.52~128.88
米10年債利回り 2.849%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 115.26(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1840.0(高値2,078:3/8)
銅先物 4.2835(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)26.19(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 22(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)79.50(安値75.93:5/18)
31日の米国市場はNYダウの6日連騰がストップして小幅反落、取引時間中の高値は5/5以来の水準にあと一歩まで迫りました。その他主要指数も上昇が一服してリスク選好の動きは後退、安全資産としてのドル買いからドル円相場は128円台半ばまで上昇しました。
債券市場では利回りが大幅上昇、3月ケース・シラー住宅価格指数が前年比21.2%上昇と、前月から伸びが加速して過去最高を記録したことをうけてインフレリスクが再び懸念材料に浮上。足元で原油価格高騰の影響からガソリン価格が最高値付近で高止まりしており、バイデン米大統領はパウエル米FRB議長と異例の会談を行い、インフレの責任はFRBにあると述べつつ利上げ姿勢に同意する姿勢を示しました。
◆バイデン大統領がパウエル議長と会談、インフレはFRBの責任と示唆(2022/6/1)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-31/RCRF6KT1UM0X01
再び長期金利の上昇が足元で反発を強めていたハイテク株の売り要因として意識されながらもアマゾンが+4.4%高と大幅高でナスダックを下支えし、一方でEUのロシア産禁輸合意が伝わり一時119ドル台まで急伸したWTI原油先物はOPECが生産協定からのロシア除外を検討との報道から急落、上昇幅を打ち消して乱高下しました。
経済指標や商品市況の動向次第でインフレをめぐる見方によって株式・債券市場は大きく揺れ動かされており、とくに債券市場でのボラティリティが急上昇する展開となっています。今週は経済指標の発表が相次ぐほか、明日にはOPEC+会合が開かれる予定となっており、週末の米雇用統計まで目が離せない状況と言えるでしょう。今のところリスク指標には先週末と比べて大きな動きはみられませんが、定点観測は今後も重要となりそうです。
【日本株投資戦略】
反騰局面で米株に劣後する日本株、再び下落局面到来で市場耐性の強いバリュー株選別に専念
米国株底入れ観測からの連騰がストップして日本株も戻り相場で正念場を迎えます。日米株価ともに取引時間中に直近高値を更新して上値を試す動きを続けていると言える一方、出発点が景気悪化懸念の後退や米FRBの金融引き締め懸念後退といったネガティブ要因が和らぎそうだとの思惑に過ぎないものである以上、市場の見方がいつ急変しても不思議ではない状況です。
経済指標や要人発言一つで市場心理は動揺させられますし、実際のところは違うのですが米企業のハイテクグロース株や小売り株の決算が悪かっただけで急落し、半導体エヌビディアの決算後の反応が悪くなかったというだけで安心材料につながったりと、足元の5月相場は薄氷の上を渡り歩く相場であったことは誰もが認識しているところだと思います。
ただ、日米株での比較で日本株は5月の月間高値を更新して終わりましたが、米国株は5月初旬の水準にまだ到達できないままでいます。直近で日米株のスプレッドは再び拡大してきていますが、6月は米国の金融政策はもちろん国内の日本固有の要因に目を向けておかなければなりません。
為替相場は再びドル円が128円台を回復して円安回帰の動きを見せていますが、米国株高との相関性が薄れてきている日本株にとって、現在はドル建ての日経平均がより重要度を増しています。海外勢が割安と評価しての日本株買いを期待しつつも、足元の反発局面ではやはり米国株のリターンリバーサルの方がパフォーマンスで勝っています。
日本政府の動きがあらゆる局面で後手に回るというか総じてスローなので、政策期待がマーケットとうまく連動しないのが難点ですが、インフレ対応で優位に立てば世界に勝るとも劣らない日本株優位の展開が訪れても不思議ではありません。
市場の下落局面では消極的ながら日本株買いの優位性が発揮されたとみてよいかと思いますので、5月決算シーズンを終えて多くの企業が自社株買いを発表しておりますし、市場需給面からみても徐々に改善が期待できるようになってくるでしょう。したがって、目先は中間反騰の転換点を見極めることと、再び下落に転じた際の割安株でインフレ対応力のある銘柄を絞り込むことに専念するのが得策でしょう。
名実ともに6月相場入りで焦点は来週のメジャーSQになってきます。とくに来週の火曜日以降は市場が荒れやすく要警戒となってまいりますので、事後処理に追われるより前に先手を打ちながら立ち回ることを心がけていくことが大事です。
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