【5/30日本市場の確認ポイント】
日経平均 26781.68(+0.66%)[26,731~26,996]
TOPIX 1877.30(+0.52%)[1,884~1,898]
マザーズ 645.11(▲0.33%)[644~658]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+4.88%)
2.保険(+3.17%)
3.鉱業(+2.69%)
4.鉄鋼(+2.21%)
5.空運(+2.17%)
値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.52%)
2.ゴム(▲0.82%)
3.食料品(▲0.77%)
4.医薬品(▲0.58%)
5.その他製品(▲0.36%)
27日の日本市場は米株市場の半導体株高を好感して関連株が一斉高し、これまで弱気に傾いてきた売り方の買戻しを誘発しながら日経平均は再び27,000円をトライする動きを見せました。朝方の寄付が天井になる動きはこれまでと同様で、その後は買戻し一巡後はまたしても戻り売りに押される展開で上昇幅を縮小しました。
ただし、物色の中身は株式分割を発表して強く買われた日本郵船(9101)を筆頭に海運株が大きく上昇したほか、原油高をうけた資源関連株も強含む動き、さらに日経平均の寄与度が大きい東京エレクトロン(8035)をはじめ半導体関連株が上昇を主導したことで、先高期待観にもつながりやすい物色内容だったと言えます。
一方で、半導体関連を除くグロース株は新興市場中心に上値が抑えられる動きが継続、マザーズ指数は前日の安値を割り込んで逆行安で取引を終えました。米国のダウ先物を意識しながらショートカバーが入りやすい大型株とは対照的に投資家のリスク回避姿勢は継続、なかなか底打ち期待からの反発につなげられない厳しい展開となっています。
【米国株概況】
経済指標のインフレ懸念後退で大幅高、プット売りとショートカバーの急反発が本物かはまだ懐疑的
NYダウ 33212.96(+1.76%)[32,682~33,213]
S&P500 4158.24(+2.47%)[4,077~4,158]
NASDAQ 12131.13(+3.33%)[11,856~12,131]
ダウ輸送株 14444.7(+2.14%)[14,180~14,447]
半導体SOX 3115.4(+4.03%)[3,046~3,120]
日経平均先物(CME) 27,140(+1.23%)[26,730~27,170]
ドル/円 126.66~127.24
米10年債利回り 2.743%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 115.07(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1851.64(高値2,078:3/8)
銅先物 4.3225(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)25.72(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 21(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)80.19(安値75.93:5/18)
27日の米国市場はNYダウが6日続伸で大幅高、S&P500は2.5%高、ナスダックも3%超の大幅上昇となるなど、週間での上昇幅が2020年の金融緩和相場の記憶を呼び起こされるような大幅上昇を記録しました。
半導体のエヌビディアが決算後の大幅高した前日に続いて続伸する動きを見せたことから投資家心理は改善し、半導体SOX指数は4%超の上昇でショートカバーが入りやすかったとみられます。米株の底打ち期待がプットオプションの需要減退につながり、その結果、売り方の買戻しも誘発して大幅高を演じたと言えます。
市場が注目したのはインフレ指標としてのPCEデフレーターで、4月のコア個人消費支出 (PCE)価格指数が前月よりも若干の低下がみられたことにより、米FRBの引き締めペースが鈍化するとの見方を強めるきっかけになりました。その前日にFOMC議事録公表をうけて米FRBが今秋にも引き締めペースを緩める可能性を期待していた分、経済指標がインフレ鈍化を裏付けるものだとして強気に転じる手がかりになったとも言えます。
ただし、これは同時に経済指標によって市場の見方がコロコロと変わりやすい状況を映したものであると言え、次は今週末に5月米雇用統計を控えるなど週間を通して経済指標が相次ぐことになるため、その結果次第でインフレへの警戒感が強まったり弱まったりして市場が荒れやすくなることを示唆しています。米FRBのスタンスはひとまず6月FOMCで0.5%利上げとQT(金融引き締め)開始を前提としていることから、あくまでも弱気相場の中での一時的な反発に過ぎないものとする市場関係者は依然多数を占めているとみられます。
リスク指標は前回からさらに改善を示しており、VIX指数は25ポイント台まで低下、5月上旬以来の水準まで警戒感が緩んだことを示したほか、F&G指数も恐怖レベルが21ポイントまで後退、25ポイントを上回れば過度な悲観は修正されるというところまできています。ハイ・イールド債市場は5/18底値以来、最も改善が顕著で反発を強めています。
いずれにしても株式市場はインフレの動向を意識せざるを得ない状況がしばらく続くと考えられる中、同時に金融当局の動向には神経質になりやすくなっています。今週は経済指標のほかに、FOMC前で当局者発言が控えられるようになるブラックアウト期間に入ってきているため、連銀参加メンバー以外の要人発言から流れ弾が飛んでこないかどうかを注目しておくことになります。
【日本株投資戦略】
米株の底入れ思惑から日経も27,000円の上値を試せるか、注目は政策期待と為替水準
米国株の底入れ期待感からの反発が強まりつつも、今晩は米国市場が戦没者追悼記念日で休場となるため、前週の相場同様に朝方の上昇が一服した後は物色の手がかりが掴みづらくなるとみられ、10時~11時を過ぎてまたしても売りに押される展開になるかどうかが注目ポイントになります。
先物市場で日経平均27,000円から直近の高値をブレイクして上値を伸ばす動きも見られたことから、朝方の発射台は高くなるとみられます。これまで上値を抑えられながらも27,000円付近で足場固めをしてきたとみる強気筋が、これを機会に買い上がって後場も堅調な動きを示すかどうかは重要です。
他方で、最も気にしておくべきはこれまで同様に為替市場の動向であり、現在は127円台を再び回復してこれが株高を支援しています。為替の上値が重くなれば、米株底打ちの思惑から反発期待を強めても日本株は米国の株高に追従していくのが難しくなってしまいます。また同時に、一転して反動安への警戒が強まりやすくなることでもあり、米長期金利が2.7%台にあることもまた株高・株安どちらにとっても材料となり得ることを気に留めておく必要があると言えます。
前回解説した政策期待は原油・物価高騰対策として補正予算案を月内の国会提出、6/15までの成立を目指すとしました。さらにこの週末にはウクライナ避難民支援で補正予算案も議題にあげられる自治体も出てきており、経済対策への期待感が醸成されるのであれば前回指摘した3月後半からみられた政策期待ラリーのような反発につながるかもしれません。
上記の【米国株概況】でも書きましたとおり、弱気相場の中での一時的な反発に過ぎない「ベアマーケット・ラリー」の可能性をみておくべき状況には変わりありませんので、米国のインフレ動向に関心を寄せながら、今週末に予定されている市場転換日を意識しておくようにしましょう。
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