【5/26日本市場の確認ポイント】
日経平均 26604.84(▲0.27%)[26,597~26,898]
TOPIX   1877.58(+0.05%)[1,877~1,891]
マザーズ 647.25(+1.63%)[636~655]

値上がりセクターTOP5
1.空運(+2.05%)
2.陸運(+1.20%)
3.輸送用機器(+1.15%)
4.ゴム(+1.02%)
5.不動産(+0.92%)

値下がりセクターTOP5
1.非鉄金属(▲1.04%)
2.電気機器(▲0.77%)
3.精密機器(▲0.74%)
4.石油・石炭(▲0.63%)
5.農林・水産(▲0.63%)

 26日の日本市場は前日の米国市場で5月FOMC議事録公表をうけて反発した動きを確認し朝方は大きく上昇してスタート。日経平均は27,000円の節目まであと一歩のところまで急伸したものの、その後は失速して買い手控えムードが広がりました。

 断続的な売り圧力にさらされている中で、市場心理を冷やしたのが東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)など半導体株が弱い動きを示したことで、関連の素材株や中小型株などにも売りが波及しています。一方、物色の矛先が向かったのが6月から政府が水際対策緩和に踏み切ることで経済再開が期待される銘柄で、旅行やレジャー関連などが強く買われ、空運株が値上がり業種トップになっています。また、三井不動産(8801)や三菱地所(8802)が新高値を更新した不動産株もこのところ値上がり上位に食い込んできています。

 中小型株は全体の方向感が掴めないままに材料発表の銘柄に資金が集中し、KDDIと協業開始のKaizen(4170)、トヨタやデンソーと共同特許を出願したQDレーザ(6613)がストップ高まで買われるなど強気の投資資金は材料株物色に活路を見出している模様です。

【米国株概況】
当局の金融引き締め姿勢に変化で大幅高、半導体株の反発で警戒感和らぐ

NYダウ 32637.19(+1.61%)[32,248~32,774]
S&P500 4057.84(+1.99%)[3,984~4,075]
NASDAQ 11740.65(+2.68%)[11,406~11,796]
ダウ輸送株 14141.7(+2.89%)[13,790~14,207]
半導体SOX 2994.6(+3.87%)[2,848~3,006]
日経平均先物(CME) 26,960(+1.32%)[26,590~27,025]
ドル/円 126.54~127.57
米10年債利回り 2.742%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 114.22(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1849.01(高値2,078:3/8)
銅先物 4.2692(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)27.50(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 17(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)79.48(安値75.93:5/18)

 26日の米国市場はFOMC議事録公表をうけて米FRBが今秋にも引き締めペースを緩める可能性があるのではとの期待感も出る中、直近の株価が短期間で売られ過ぎたとの見方が優勢となり大幅反発。前日に弱めのガイダンスを発表し時間外で急落していた半導体株のエヌビディアも、市場が始まると値戻しから終わってみれば5%超買われるなど、過度な警戒感の後退につながりました。

 NYダウは一時600ドルを超える上昇幅となったほか、直近売り込まれたハイテク株が主体のナスダックも2.68%高と大幅続伸し、テスラの7.4%高やアマゾンの4.0%高が上げを主導しました。また、上記エヌビディアの決算後反応に買い安心感が広がった半導体関連株もAMD6.5%高、アプライド・マテリアルズの6.0%高など急伸が目立ち、半導体SOX指数も4%近く上昇しました。

 足元で米FRBの引き締めペースをめぐっては当局者発言と市場の見方には乖離がみられており、次回6月、7月はこれまでどおり0.5%(あるいは0.75%も)利上げを行うとの見方は継続しつつも9月は一旦引き締めをストップせざるを得ないのではとの思惑が浮上しています。とくに債券市場では入札も含めて資金流入がみられ金利低下が鮮明になっており、また、為替市場でも大きくドルが売られてドル円が一時126円台半ばまで弱含む場面がありました。

 市場心理を示すリスク指標は上記の過度な警戒感後退からVIX指数が27ポイント台まで低下、F&G指数もやや改善して17ポイント、ハイ・イールド債は79.48まで戻ってきています。ただし、総じて警戒レベルにあることは変わっておらず、S&P500もようやく4000ポイント台回復といったところです。足腰の弱い相場のままであることは否めません。来週30日月曜日が米国休場ですので、今晩の米国市場が続伸するのか、あるいは戻り一服となるかは非常に注目ポイントになります。

【日本株投資戦略】
政策期待で日本株ラリーにつながるか注目、足元の為替市場の急変は継続監視

 昨日の日本株はFOMC議事録のイベント通過で買い安心感が広がりやすいタイミングでしたが、朝方の上昇が一服した後は失速感が否めませんでした。今回は株式市場よりも他の債券市場や為替市場への影響がやはり大きく出てきた格好となりましたので、押し目の下値は買えてもなかなか上値は買っていけないという投資家の本音が明らかになっています。

 昨晩の米国株が大幅反発してリスク選好地合いが戻ってきたように思いますが、日経平均が再三にわたって打ち返されている27,000円の節目を気持ち良くブレイクできるかが焦点になります。本日も前場のうちにトライできるかが見どころとなりますが、後場は前回も解説したように週明けの米国休場もあって手仕舞い売りに注意が必要となります。

 もっとも気にしておくべきはやはり昨日引け後の為替市場が急激にドル安円高に振れてきた点で、朝方にはドル円127円台に戻っておりますが、岩盤サポートだった127円付近を下方ブレイクしたことは意味合いがとても大きいものです。次にリスクオフの地合いが再燃した時にはこれまでのように日本株の相対的な底堅さは期待しづらくなる可能性がありますので、為替水準には引き続き目を向けておくようにした方がよいでしょう。

 また、前回の【先読みの近未来】では解説しましたとおり、諸外国と比べても政策余地を残している日本は、岸田政権の政策対応に期待が寄せられるところです。政府としては6月にようやく水際対策緩和やGoToキャンペーン再開などリベンジ消費を喚起する施策を打ち出していますが、これでは全く不十分であり、おそらくは夏の参院選前に選挙対策としてのバラマキ、インフレ対応と銘打った財政政策を講じるかが焦点になります。

 今月末に差し掛かったところでようやく今年度補正予算の審議入りを各メディアも報じ始めたところですが、3月後半からみられた政策期待ラリーにつながるかは不透明ですが、市場サプライズとなるような大型予算が組まれるかどうかは株式市場にとって非常に重要なポイントとなります。いずれにしても6月第一周までのところで上値を試せなければ、反発期待も萎んでしまうことになりかねません(詳しくは【先読みの近未来・相場の強弱スケジュール目安】を参照)ので、引き続き戻り売りスタンスを継続しておいた方がよいでしょう。

▼補正予算案 きょうから実質審議 参院選控え与野党の対決色も(2022/5/26)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220525/k10013641791000.html

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