【5/24日本市場の確認ポイント】
日経平均 26748.14(▲0.94%)[26,736~27,005]
TOPIX   1878.26(▲0.86%)[1,878~1,896]
マザーズ 653.47(▲3.16%)[653~669]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.07%)
2.空運(+0.59%)
3.非鉄金属(+0.32%)
4.不動産(+0.05%)
5.卸売(+0.04%)

値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲2.85%)
2.陸運(▲1.92%)
3.紙・パルプ(▲1.92%)
4.繊維(▲1.36%)
5.ガラス・土石(▲1.32%)

 24日の日本市場は前日の米国株上昇をうけて高く寄り付いたものの、断続的に売られながらジリジリと下げ幅を拡大してほぼ安値引けで取引を終えました。欧州のバルチック海運指数が昨年12月以来の高値圏に近づく中、海運株が逆行高し川崎汽船(9107)は新高値を更新。訪日中のバイデン米大統領と岸田首相の会談で防衛費増額の材料を手がかりに軍需関連銘柄にも資金が向かい、三菱重工(7011)も新高値を更新しています。

 セクター別騰落では引き続きバリュー株優勢、グロース株売りの構図が際立ち、足元の決算材料で個別物色される展開。三井松島(1518)は直近の急騰からさすがに上昇一服で利益確定売りも出始めたようですが、野村不動産(3231)や三菱自動車(7211)などはしっかり逆行高。プラント系の中外炉工業(1964)も引き続き買われています。

 グロース株売りでとくに下げがきつかったのがリクルートHD(6098)で▲6.5%の大幅安、証券会社の投資判断引き下げが響いたとみられます。それ以上に気がかりなのが半導体関連の三井ハイテック(6966)の▲6.5%安、ルネサス(6723)の▲5.0%安、レーザーテック(6920)の▲4.0%安といった点で、景気敏感株の代表と言える半導体が弱いことは先安懸念を増幅させます。また、新興株のマザーズ指数も前日の上昇分を吐き出して安値引けとなりました。

【米国株概況】
米株急落から再びV字反騰でNYダウはプラス引け、むしろ債券・為替市場の大きな動きに要警戒

NYダウ 31928.62(+0.15%)[31,365~32,014]
S&P500 3941.48(▲0.81%)[3,875~3,955]
NASDAQ 11264.45(▲2.35%)[11,092~11,351]
ダウ輸送株 13578.6(▲1.30%)[13,334~13,687]
半導体SOX 2827.0(▲2.46%)[2,798~2,862]
日経平均先物(CME) 26,675(▲0.24%)[26,515~27,055]
ドル/円 126.36~128.07
米10年債利回り 2.754%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 110.31(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1864.28(高値2,078:3/8)
銅先物 4.3150(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)29.45(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 12(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)77.22(安値75.93:5/18)

 24日の米国市場は時間外先物で軟調に推移していたところ、寄付の直後から急落して始まりました。NYダウは一時500ドル超の下げ幅となったほか、ナスダックも▲4%近く急落する場面がみられました。引き続き米FRBの金融引き締め姿勢でグロース株が嫌気されやすい地合いの中、景気後退懸念による投資家のリスク回避姿勢が映し出されています。

 ただ、主要株式指数は取引中盤から持ち直してNYダウはプラス圏まで回復、S&P・ナスダックも下げ幅を縮小してなんとか直近安値を底割れする事態は回避することができました。米住宅関連指標の低調な内容をうけて債券市場は利回りが総じて急低下し、とくに短期債利回りが大きく低下して長短金利差は拡大しました。

 債券市場の動きと同じく大きく動いたのが為替市場で、ドルインデックスは直近の高値で104ポイント付近にあったところから101ポイント台まで急落。欧州時間でECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁が、中銀預金金利を9月末までに少なくとも0.5%引き上げる可能性を示唆したことでユーロが買われており、さらに米経済指標の悪化をうけてドル売りが加速したことが背景にあります。

 この為替市場の動向は前回の相場展望でも指摘しましたが、ロシアによるウクライナ侵攻をうけた安全資産として「有事のドル買い」需要は一巡したとみられ、日本円との関係ではリスクオフ時の円高が復活する可能性が高いとみています。米国の景気後退懸念はまず株安・ドル安で顕著になるとみられますが、次回6月の米FOMC会合を通過した後はインフレ抑制のための利上げ強行をうけてこの株安・ドル安の構図がさらに加速するとともに、米国債売りによる金利上昇も伴う可能性があると言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
今晩の5月FOMC議事録公表を控えて様子見ムード強まりやすい、為替の円高による株式市場影響を引き続き注視

 足元の日本株は米国株に比べてだいぶ底堅いと多くの投資家が肌感としても認識しているように思いますが、米国株から日本株、グロース株からバリュー株への資金シフトはまだまだ道半ばとみられます。

 前回も指摘しましたが、足元ではまだ為替の円安恩恵がプラスに作用している側面があり、今後も為替水準と日経平均の水準が同期して動くのであれば昨晩のドル安は警戒が必要となってくるものです。米国株との連動が薄まってもリスクオフ時の円高が再燃するようだと株安・円高がセットになって日本人投資家の海外資産は大きな打撃を受けることになります。

 それは投資家のリスク回避姿勢を一段と強める結果となり、株安時の投げ売りを加速させる要因ともなります。ただそれだけでは終わらず、これも前回の解説と繰り返しにはなりますが、輸出企業の想定為替レートが足元の水準を参照して高めに設定されている場合、見直しを迫られて業績予想の下方修正を招きかねない事態を引き起こす可能性があるということです。ファンダメンタルが悪化すれば企業のバリュエーション前提も変わってきますので、バリュー投資家にとっても判断の修正を迫られる可能性があると言えるでしょう。

 また、今晩は5月のFOMC議事録が公表され金融当局の姿勢がより注目されやすくなります。足元の金融引き締め懸念が後退するきっかけになるようであれば売り方の買戻しを誘発すると考えられますが、ここで日経27,000円の節目ブレイクを一気に達成できなければ直近の値固めもかえって市場期待の剥落につながり下押し圧力を強める結果になりかねません。

 とくに今週末から来週にかけては米国市場が30日戦没者追悼記念日で連休となります。売り方も買い方どちらにとっても、ポジション調整の動きが強まりやすいことにも留意しておきましょう。

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