【5/20日本市場の確認ポイント】
日経平均 26739.03(+1.27%)[26,426~26,769]
TOPIX 1877.37(+0.93%)[1,859~1,878]
マザーズ 657.29(+2.59%)[640~657]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+3.93%)
2.精密機器(+2.84%)
3.非鉄金属(+2.78%)
4.サービス(+2.59%)
5.鉄鋼(+2.43%)
値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.59%)
2.紙・パルプ(▲0.78%)
3.食料品(▲0.38%)
4.農林・水産(▲0.30%)
5.鉱業(▲0.29%)
20日の日本市場は前日の急落分の戻りを試すしっかりの展開で、主要株価指数はそろって反発。ファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)のほか、グロース株中心に買い戻されて指数上昇に寄与。また、海運大手や資源株もしっかりで、金属資源のチタン関連も人気が再燃して大幅反発しています。
一方、ディフェンシブ銘柄は米国の消費関連株が急落して資金の退避場所という立ち位置を失ったこともありやや軟調な展開、東京電力(9501)が反落、東京ガス(9531)、大阪ガス(9532)なども上昇一服感が漂い始めてきました。
市場物色はマザーズ指数の反発などからも総じてリスク選好時に好まれやすいセクターや銘柄が強い動きを示しましたが、まだ全体の底入れ感や上昇の持続性については懐疑的。自律反発の域を出ておらず、売り方の利益確定による買戻しや前日の日銀ETF買い出動を手がかりに多少の買い安心感が広がったとみられ、足場はゆるい状態のままと言えます。
【米国株概況】
オプションSQで結局変わらずまで戻した米国株、SQ特殊要因が剥落した後でボラティリティが再び高まるか要注視
NYダウ 31261.90(+0.03%)[30,635~31,515]【安値更新】
S&P500 3901.36(+0.01%)[3,810~3,943]【安値更新】
NASDAQ 11354.62(▲0.30%)[11,035~11,552]【安値更新】
ダウ輸送株 13491.0(+0.39%)[13,163~13,612]【安値更新】
半導体SOX 2882.7(▲0.27%)[2,758~2,939]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,715(▲0.21%)[26,360~26,935]
ドル/円 127.52~128.29
米10年債利回り 2.788%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 110.35(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)【7月限に更新:108.30】
金先物 1845.10(高値2,078:3/8)
銅先物 4.3042(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)29.43(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 11(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)76.46(安値75.93:5/18)
20日の米国市場は景気後退懸念が相場の重しとなり、下値模索の動きが継続しました。NYダウは一時▲600ドル超の大幅反落でしたが、終盤に大きく買い戻されて前日比変わらずのところまで反発。その他の主要株価指数も軒並み年初来安値更新の動きを示しながら、引けにかけては下げ幅を大きく縮小しました。
この日は米国のオプションSQによる清算日ということもあり、週間を通して荒い値動きを強いられることも想定内だったと言えるかもしれませんが、米国株の下落は8週連続と記録的な下げに見舞われていることが市場内外で話題となっています。ハイテクグロース株が集まるナスダック100の高値からの下落率は、2020年コロナショック時における▲30%を超えてきたことも市場の弱気相場を決定づけたものとして注目されています。
実際に下げ相場では悪材料が次から次へと重なるのが特徴ですが、金融緩和環境であれば足元の高値調整水準で相場の底入れ感が意識され始めるとみられる一方、米FRBはじめ世界の金融当局はインフレ退治のために金融引き締めを本格化させるのはこれからという段階において、アク抜けを期待するのが大変難しい状況です。
熟練の投資家はグロース株からバリュー株へのシフトでボラティリティを敬遠しながら資産防衛を図っているものとみられますが、今や株式市場だけでなく債券市場においてもボラティリティが大きくなっています。今後は債券市場におけるバブル環境が大きく逆向きに変わり始めた中で、金融機関が損失を懸念し始めたのがハイ・イールド債や新興国債券などリスク性の高い債券市場です。
この金融の血液が滞り始めた先に流動性低下から引き起こされるのが○○ショックの類で、リスクオフが真の正体を現すのは時間の問題となってきたかもしれません。グロース株の下落率に目がいきがちで、調整幅としてはそろそろ十分だろうとの見方が出るのも分かります。しかし、元々ハイテクグロース株はコロナショック前後から見ればそれだけ上昇していたわけで、その調整幅としてはまだ相場として往って来いにもなっておらず、下落余地を残している段階との見方もできます。
足元ではリセッション(景気後退)懸念による各社レポートが出回り始めましたが、ドイツ銀行やバンクオブアメリカでS&P500は3,000ドルまで下落する可能性を指摘しています。まだ政策支援や中央銀行のスタンス変化などで米国株市場を下支えするのも可能な段階と言えますので、早晩のうちにこれが現実のものとなることも無いかと思います。しかしながら中長期的には金融引き締めが強まっていくことで、そのような水準に到達することも視野に入れておかなければならなくなる日がやってくるでしょう。
【日本株投資戦略】
国際政治の重要日程から為替市場の動向を注視、日本株は円安・円高どちらを好感するのか転換点を探る
日本株は前週末の引け味が良かったことから、徐々に米国株との相関が薄れ、相対的な優位性が強まっていることを市場が認識し始めたように思います。米国株とは明らかにバリュエーションが異なり、割安性が際立っているために海外投資家の目には非常に魅力的に映ることと思います。
ただし、海外勢の触手が伸びてくる段階にあるのは事実としても、その後の成長期待が出始めるまでは打診買い程度のものであることは否めません。いずれ日本株買いが本格化することは明らかですが、現段階ではまだ時期尚早といったところかもしれません。
この市場の見方が変わってくるきっかけを作るのはやはり政治要因であり、現在はまだ準備段階というのが実情です。これまでも指摘してきましたように、今週はそうした意味でバイデン米大統領の来日がとても重要で、国際政治の場においてもダボス会議が開催されるとあって大きく政治が動く、極めて注目度の高い一週間になります。後から振り返れば、ここがターニングポイントだったと言われることになるでしょう。
さて、こうした状況下で市場がどのような動きを示すのか非常に興味深いわけですが、足元における日本株は海外市場と比較しても明らかに底堅く推移していると言えます。米国市場では主要株価指数が軒並み年初来安値を更新する中、日経平均やTOPIXは3月安値を維持しながら粘り強い動きを続けています。
ただし、マザーズ指数はすでに3月安値を割り込んでおり、リスクマネーから敬遠されているのが明らかですので、市場の実勢はやはりこちらがより本物に近いと言えるのかもしれません。これまでも折に触れて指摘してきましたが、為替水準から日本株をどう評価するのかによって、日経平均やTOPIXが同じように年初来安値を切れてくることになるのかが決まってくると考えています。
為替市場の動向は前週末の底堅い動きを見せた日本株とは裏腹にやや円高方向に振れてきています。リスク回避の円高となりつつ日本株がしっかりだったことは評価されるべき点です。ただし、足元で企業の決算発表が相次ぎましたが、企業の想定為替レートが保守的なトヨタ自動車(7203)がドル円で115円想定していたことなどを除くと、軒並み120円台で見通しを出しています。それで考えれば日本の輸出企業から見れば為替予約で円安をヘッジする動きが強まりやすいと言え、実勢以上に円安バイアスがかかっている可能性があります。
これが一転して、資本市場全体でリスクオフの動きが強まってきた場合が問題で、今度は為替が円高方向に大きく傾く可能性も考えられ、その際の日本株が足元の円高・株高が同居する動きを見せるのかが大事な注目ポイントとなってきます。
先週のG20および今週のダボス会議では国際資本市場における今後の方向性も、水面下では殊更に重要な議題として協議されているとみられ、これから出てくるニュースとそれに対する市場の反応といったものを注意深くみておく必要があるでしょう。
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