【5/19日本市場の確認ポイント】
日経平均 26402.84(▲1.89%)[26,150~26,458]
TOPIX 1860.08(▲1.31%)[1,840~1,862]
マザーズ 640.67(▲2.39%)[635~646]
値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+0.17%)
2.鉄鋼(+0.07%)
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲4.15%)
2.保険(▲2.40%)
3.サービス(▲1.89%)
4.精密機器(▲1.88%)
5.小売(▲1.82%)
19日の日本市場は前日の米国株崩落をうけて急落スタート、日経平均の下落幅は一時▲750円安に達しましたが、後場には日銀のETF買い発動もあり、徐々に下げ幅を▲500円安まで縮小する展開でした。日銀のETF買入は4/7以来、今年6回目。TOPIXの前場下落率は▲2.03%で、大引けは▲1.3%まで縮小。
朝方の急落時は為替ドル円が128円を割り込みリスク回避の円買いとなりましたが、最終的には128円台後半まで底堅く推移、輸出関連株の一角も大きく値を戻しました。セクター別に値上がりは電力・ガスと鉄鋼のみ、大半が値下がりしたものの総じて下げ幅を縮小しており、全体としては米国株の急落を冷静に消化したと言えます。
景気減速懸念という割に景気敏感セクターに属するバリュー系銘柄は相対的に底堅く、グロース系が大きく売られたのは日米共通といったところです。最近の中小型株の動向では材料物色で逆行高するものも目立っていますが、総じて軟調と言えますし、売られ過ぎた反動から急反発を見せるリバーサルの動きも限定的と言えます。
【米国株概況】
前日の米国株崩落から続落で下値模索の展開続く、今後は米国トリプル安の流れにつながるか要警戒
NYダウ 31253.13(▲0.75%)[31,016~31,569]【安値更新】
S&P500 3900.79(▲0.58%)[3,876~3,945]【安値更新】
NASDAQ 11388.50(▲0.26%)[11,313~11,562]
ダウ輸送株 13439.2(▲1.84%)[13,230~13,682]【安値更新】
半導体SOX 2890.3(▲0.61%)[2,867~2,960]
日経平均先物(CME) 26,370(+0.00%)[26,080~26,555]
ドル/円 127.04~128.93
米10年債利回り 2.837%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 109.18(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)【7月限に更新:108.30】
金先物 1840.12(高値2,078:3/8)
銅先物 4.2323(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)29.35(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 12(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)76.51(安値75.93:5/18)【安値更新】
19日の米国市場は前日のNYダウが▲1200ドル近くの急落を見せたことから自律反発への期待もありましたが続落の動き、今年最大の下げ幅を記録した上で景気後退懸念が引き続き米国株の重しとなっています。
続落は他の主要指数も同様で、S&P500も年初来安値更新ですが、それ以上にダウ輸送株指数の下げがきつい状況が続きます。輸送株指数は景気、株式の先行指標とも言われるだけに株価の先高期待は大きく後退していることを示唆しています。この日もNYダウは▲500ドル近く下落した後、値戻しで前日比プラスに浮上する場面もありましたが、終日乱高下を続けながら引けにかけては▲200ドル強の下落幅で取引を終えました。
米国株が急落した要因は小売大手の決算を嫌気した景気後退懸念と伝わるものの、依然ハッキリとはしていない中、ETF運用などのパッシブファンドのVWAPに沿ったポジション縮小が粛々と行われると同時に流動性の低下も観測されています。
主要銘柄ではアップルが続落で▲2.5%安、決算が嫌気されて急落したシスコシステムズ▲13.7%安などが重しとなっています。前日に大きく値を崩したハイテクグロース株、ナスダックの銘柄には反発を見せるものも多く含まれていますが、週末にマイナーSQ(オプション清算)を控える中で主力株の戻りは鈍く、下げ幅縮小がやっとでした。
リスク指標も前日の株安でVIX指数は再び30ポイントまで急騰しましたが、19日にはこれを下回って29ポイント台に低下しました。Fear&Greed指数は依然として下限近くの12ポイント、前日の9ポイントからは若干の改善。ハイ・イールド債はリスク回避が続いて安値更新の動きを続けています。
前回指摘しましたように米国市場の底入れと認識することはできない状態で、今後も下落基調は継続とみられます。株式市場のほかに為替市場の動向も気にすべきところで、安全退避のドル買い観測が度々伝えられる中、ドル円相場は128円割れで安値は127円ギリギリを記録しました。米国の株安・債券安・ドル安の流れが今後強まるようであれば、18日の米株崩落はまだ序章に過ぎなかったものであるとみられ、パニック売りが断続的に発生する可能性を残しています。
【日本株投資戦略】
米国株の急落で上値ブレイクを阻まれた日本株、弱気相場の日銀ETF買い発動で下げ渋る
足元で日本株は18日に日経平均の27,000円台回復をみた後、米国株の急落に連れ安して再び26,000円の下値をテストする動きとなりました。19日は前場のTOPIX▲2%安ルールに則って後場からは日銀によるETF買入観測の動きも相まって下げ渋る展開となっています。
米国の主要株価指数が次々と年初来安値を更新する動きを横目に、日本株は相対的に底堅い動きを続けていると言っても良いですが、これには為替円安も輸出企業の下支えに寄与しているとみられ、今後の動きは為替相場を確認しながら神経質な展開を余儀なくされるでしょう。
前回では日経平均の27,000円を意識して、上値ブレイクか打ち返しに遭うかの見極めどころと解説しておりましたが、残念ながらそこで上値を遮られてしまいましたので、今度は下値警戒を強めておかねばなりません。昨日はバリュー株を中心に下値を拾う動きもみられましたが、外部環境の悪化などで直近下値を割り込んだ場合には押し目買いした投資家の投げ売りを誘発し、米国株同様に年初来安値を更新する可能性があります。
昨日発表された東証の投資部門別売買状況における最新の5月第2週(5/9~5/13)によると、海外勢が3月末以来の売り越しに転じたほか、現物・先物合わせると7000億円超えとそれなりの規模感になっています。一方で、個人投資家は逆張りで押し目買いに動いており、今後は海外勢の売りが本国の株安をうけて継続する可能性を考えますと、やはり上記同様に押し目買いした個人投資家が投げ売りさせられるかどうかが焦点となりそうです。
以前の【日本株投資戦略(5/16号)】や【先読みの近未来(スタンダード会員向け)】では繰り返し述べてきたことですが、来週はバイデン米大統領が来日する重要日程を控え、加えて5月FOMC議事録の公表があり、最大限の警戒をもって臨まなければならない重要な週となります。これらを通過した後に足元の動きが加速するかどうかがさらに重要で、とりわけこの5月後半から来月の米FOMCにかけては株式市場以上に為替市場の動向に目を向けておかなくてはならないでしょう。
大局的には歴史の転換点になるかもしれないこの期間中、外部環境をよくよく注視して市場暴落がいつ生じるか身構えておくと同時に、日本株に対する絶対の自信をもって買い向かっていくことができるか投資家の姿勢が試される時かもしれません。とくに目先の1か月間とその後の波乱の展開を想定しつつ、向こう3か月間における取り組みが非常に重要になるものと思われます。中期的な今後の展望をあらかじめ把握しておきたいという方は【先読みの近未来】でより詳しい内容が配信されていますので、この機会に『スタンダード会員プラン』へのランクアップもぜひご検討下さい。
※スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。