【5/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 26659.75(+0.42%)[26,440~26,709]
TOPIX 1866.71(+0.19%)[1,859~1,871]
マザーズ 645.46(▲1.88%)[641~652]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+5.62%)
2.海運(+3.28%)
3.石油・石炭(+2.00%)
4.その他製品(+1.49%)
5.ゴム(+1.45%)
値下がりセクターTOP5
1.食料品(▲1.92%)
2.銀行(▲1.59%)
3.小売(▲0.53%)
4.電気・ガス(▲0.52%)
5.保険(▲0.46%)
17日の日本市場は外部環境の影響による選別色が強く、市況関連株が軒並み大きく上昇。原油高を手がかりに上昇したINPEX(1605)など石油関連株をはじめ、決算を手がかりにした石炭関連株の三井松島HD(1518)は2日連続でのストップ高まで買われたほか、川崎汽船(9107)など海運株も上昇が目立ちました。他にも決算材料で近鉄エクスプレス(9375)やフェローテック(6890)なども買いが集まりストップ高になりました。
一方で軟調さが目立ったのは銀行や保険などの金融株、さらに米国市場で値崩れした自動車株などで、その中では唯一マツダ(7261)のみが決算後の独歩高状態になっています。また、全体として朝安後からプラス圏に浮上した後はしっかりの展開の中で新興株の多いマザーズは逆行安となっており、早くもリターンリバーサルが一服したような動きを見せています。
売りも買いも非常に局所的で極端な値動きになりやすい地合いと言え、目先の反発ラリーがいつまで続くかが焦点になります。米国市場でとくにグロース株の乱高下が激しさを増す中、長期金利の動向が注目されるとみられますが、依然として弱気相場は継続で慎重な取り組みが求められる場面と言えるでしょう。
【米国株概況】
パウエル発言で米金利高騰、株式市場はハイテク株中心にリバーサルの動き、リスク指標はまちまち
NYダウ 32654.59(+1.33%)[32,308~32,689]
S&P500 4088.85(+2.01%)[4,033~4,090]
NASDAQ 11984.52(+2.75%)[11,754~11,988]
ダウ輸送株 14787.9(+3.16%)[14,518~14,809]
半導体SOX 3066.5(+5.02%)[2,990~3,071]
日経平均先物(CME) 26,825(+0.73%)[26,435~26,870]
ドル/円 128.81~129.76
米10年債利回り 2.995%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 110.77(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)【7月限に更新:108.30】
金先物 1813.60(高値2,078:3/8)
銅先物 4.2323(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)
恐怖指数(VIX)26.10(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 15(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)76.63(安値76.41:5/12)
17日の米国市場は主要株式指数がそろって反発し、NYダウは3日続伸、ダウ輸送株が3%を超える上昇となりました。パウエルFRB議長がThe Wall Street Journal紙が主催するイベントで金融引き締め策をインフレが沈静化するまで続ける意思があることを言及し、米国金利がこれに大きく反応を見せました。米10年債利回りは再び3%に接近し、短中期債とのスプレッドは縮小しています。
ただ、そのような金利の動向をうけても株式市場は堅調に推移し、このところの下げがきつかったハイテク株も反騰ラリーは継続。アップルやマイクロソフトのほかテスラやアマゾンといった主力株、半導体関連株の多数が軒並み大幅高となったことで指数も押し上げられました。
金利上昇をうけて金融株も軒並み大幅高となり、中でも先日の石油関連株の話題に続いてウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが大量取得したことが伝わった米銀のシティGは8%近い急騰を見せました。
投資家のリスク選好度が急改善して株高・債券安のリスクオンの様相ですが、実際のリスク指標はまちまちといった具合で、VIX指数は低下しているもののF&G指数は引き続きEXTREME FEARの領域にとどまっています。ハイ・イールド債市場も依然として安値圏にあります。
パウエル発言による米金利の急上昇をうけながらも安値買いに動いた投資家の姿勢は歓迎すべきものですが、株式市場がすでに底入れしたとは言い難い状況です。バリュー投資家が積極的にリスクを取り始めたという段階において、資金力があって買い下がることを前提に動いているとすれば個人投資家がそれに追従すると途中で資金が枯渇してしまうことになりかねないでしょう。
また、金利の動向および金融当局の今後の対応を含め、少なくとも来週25日の5月FOMC議事録公表を市場が織り込むまでは株式市場の底入れ観測を期待するのは時期尚早と言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
米国株の反発が日経平均の節目ブレイクにつながるか、弱気相場は継続で利食い・戻り売りの好機に
本日は前回ここで指摘した重要な日柄を迎えることになりますが、足元の反発ラリーが一巡して再び下落に転じるのか、抵抗ラインをブレイクして一段高の期待を高めるのか見極めどころとなります。
前回の繰り返しになりますが、日経平均は26,750円付近が中長期の移動平均線が集まっており、節目として意識されやすい水準にあります。直近の日中ザラ場の動きで日米ともに乱高下が目立っているのは買い方の投げと売り方の踏み上げが交錯している状態で生じている現象です。
昨晩の米国株の上昇は主力株の反発を中心に市場底入れを期待させるかのような動きとみられましたが、これが前回・前々回と指摘した“ダマシ”のテクニカルリバウンドによるものかどうかは現時点では分かりかねますが、もしこれに準じて日本株も節目ブレイクできるようだと4月高値の27,580円を試しにいく期待も持てます。
一方で、27,000円を前に打ち返されてしまうようだと、今度は直近の安値を割り込み3月安値の24,680円を更新して急落する恐れがあるといった両極端な見方をしておくことが必要になってきます。
昨晩の米国市場で半導体株にリターンリバーサルの動きがみられましたので、本日の日本市場でも東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)などがこれに素直に反応して市場全体を引っ張れるかどうかに掛かっていると言っても過言ではないでしょう。とくに東京エレクトロン(8035)はSCREEN(7735)などと並んで4月高値を上回っているので、ここで上値を伸ばすことができないようだと市場のけん引役は不在のままになってしまいます。
今年に入り月足で陽線を形成したのは3月の政策的な吊り上げが見られた一回のみで、昨秋からの中長期下落トレンドを否定することができないままジワジワと投資家が追い込まれている状態です。当塾の戦略としてはこれまでと変えておらず、戻り売りに徹するのみですので先週の押し目買いは今週中に利食い・整理するように取り組みましょう。
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