【5/12日本市場の確認ポイント】
日経平均 25748.72(▲1.77%)[25,688~26,028]
TOPIX 1829.18(▲1.19%)[1,826~1,848]
マザーズ 620.63(▲6.07%)[620~649]
値上がりセクターTOP5
1.ゴム(+1.57%)
2.保険(+1.50%)
3.石油・石炭(+1.35%)
4.電気・ガス(+1.00%)
5.不動産(+0.52%)
値下がりセクターTOP5
1.情報・通信(▲4.06%)
2.サービス(▲3.26%)
3.農林・水産(▲2.28%)
4.医薬品(▲2.11%)
5.小売(▲2.10%)
12日の日本市場は前日の米4月消費者物価指数(CPI)結果をうけて米国主要3指数がそろって年初来安値更新したことから寄付直後から一気に下げ幅を拡大、売り一巡後は鋭角に切り返して日経平均は26,000円を奪取したものの、後場からは再び売り込まれて結局、大幅反落で取引を終えました。
日米株安の主因は米CPIの上振れによる景気減速懸念と同時に金融当局の引き締めに対する警戒感が増したことで、とくにグロース株売りが顕著でした。米国ではナスダックが年初来安値のところからさらに▲3%超の下落となったほか、半導体SOX指数も同様。日本でも情報・通信、サービスといったグロース株が徹底的に売り込まれ、マザーズ指数はなんと▲6%超の暴落となり年初来安値を大きく更新しました。
ただし、全体総崩れだったかというとそうではなく、ディフェンシブ系はしっかりだった他、前日のトヨタ自動車(7203)が決算で急落し敬遠されるかに見えた自動車株が売り一巡後に切り返すなど、見どころの多い日でもありました。また、原油市場の動向に連動した石油関連株や資源商社株なども買い戻されています。しかし、ファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)を筆頭に、エムスリー(2413)、アドバンテスト(6857)などグロース株は総じて売られ、下値模索の状態が続いています。
【米国株概況】
マージンコール(追証)の大量発生で主要株価指数はそろって年初来安値を更新、一方でリスク指標は下限近くにまで低下し需給的なショートスクイーズがいつ生じてもおかしくない状況に
NYダウ 31730.30(▲0.33%)[31,228~31,914]【安値更新】
S&P500 3930.08(▲0.13%)[3,858~3,964]【安値更新】
NASDAQ 11370.96(+0.06%)[11,108~11,547]【安値更新】
ダウ輸送株 14320.3(+0.20%)[13,969~14,367]【安値更新】
半導体SOX 2827.2(+0.54%)[2,754~2,851]【安値更新】
日経平均先物(CME) 25,800(+0.12%)[25,535~26,025]
ドル/円 127.52~130.05
米10年債利回り 2.855%(高値3.203%:5/9、安値1.668%:3/7)
WTI原油 106.63(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1820.70(高値2,078:3/8)
銅先物 4.0857(高値5.0395:3/7、安値4.0370:5/12)【安値更新】
恐怖指数(VIX)31.77(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 6(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)76.72(安値76.41:5/12)【安値更新】
件数の増加や卸売物価指数(PPI)の市場予想比上振れなどから、インフレ懸念及び当局の金融引き締めへの警戒感から売り圧力が一段と強まる展開となりました。
主要株価指数は軒並み下落してそれぞれ年初来安値を更新した後、引けにかけてはショートカバーによる買い戻しで下げ幅を急速に縮小して取引を終えました。為替市場ではドル円が上昇一服から1ドル=129円、128円の節目を割り込みましたが、他の主要通貨に対してはドル買いが継続しており、ドルインデックスでは2002年以来の高値が示現しました。よって、他の国から見れば安全資産としてのドル需要は根強い状況が続いていると言えます、あくまでも今のところはという前置きをつけてではありますが。
米FRBの金融政策に神経を尖らせながら債券市場ではリスク回避の債券買いにより長期金利は低下、景気減速とインフレが同居するスタグフレーションを懸念する見方を残しつつも、経済指標の悪化が景気後退につながっていくとの懸念も台頭し始めた動きとみられます。
株式市場では荒い値動きが続いており、過剰流動性の環境を追い風にしてきたグロース株の代表的存在であるアップルやマイクロソフトなどが続落の動きを見せている以上、値ごろ感だけで底入れ判断はできませんが、リスク指標ではFear&Greed指数が1桁台にまで突入しており、偏った投機売りポジションが突発的なショートスクイーズ(売り方の買い戻し)を誘発する可能性を秘めていると言えます。
【日本株投資戦略】
値がさグロース株の下げ止まり待ちながら、バリュー株はすでに切り返す銘柄多数
日本株は今日でようやく決算シーズンが一巡するところで、決算材料消化による物色でも上値・下値がおよそ定まってくる頃合いになってきます。決算発表後に買われたものが上昇一服して利益確定売りに押され始めたり、売られたものが3〜7日経過して自律反発を見せたりするなど、決算後の二次反応を見極める時間帯に入ってきます。
また、荒い値動きが続いてきた日経平均やTOPIXなどの指数もひとまずマイナーSQでオプション清算が行われることで、朝方の清算値を算出した後は素直な株価の動きに戻ってくるかが注目されるところです。足元での日経平均の弱含みは米国のGAFA値崩れにみられるように指数寄与度の高い値がさグロース株が急落していることが大きく影響しています。直近で多少崩れはしましたがバリュー株の一角は早々に切り返す動きを見せていることに着目しなくてはならないでしょう。
ただし、金融占星術では5/10〜水星逆行期間に入っており、今後の方向感が見えやすくなるかというとそうではありません。(スタンダード会員の方は前回の有料版【先読みの近未来】を参照。)ここから重要なのは5月後半の日柄で市場の変化日と実際の転換点がリンクしてチャート上でのダマシを作ってくるかが見どころになります。
さらに、来週以降は決算一巡後で個別株は材料難となりやすく、外部環境により大きく影響を受けるようになります。市場のボラティリティが高止まりしている中で、世界の要人たちによる会合やバイデン米大統領の訪日などが予定されており、徐々に関心が薄れつつあるウクライナ問題を横目に別のプレーヤーが市場を引っ掻き回す可能性を考慮しておく必要があるでしょう。
前回も指摘したとおり、目先の反発ラリーがバリュー系中心に始まっており、ここからローテーションする可能性がありますが、全体での大きな動きにつながるのは来週後半から再来週にかけての一瞬と言えるものになるかと思います。
決算が出揃ってきたところで押し目買いの余力がある方は日経平均の安値3/9を基準としながら50日移動平均線を上回っていて、需給面が良好なものだけを選別して物色していくのが良いかと思います。それ以外の需給悪化している銘柄や新興株のリバウンドを期待しても、狙いが外れた時に深傷を負ってしまいかねませんので割り切った売買を心がけてください。
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