【5/6日本市場の確認ポイント】
日経平均 27003.56(+0.69%)[26,543~27,072]
TOPIX   1915.91(+0.93%)[1,890~1,919]
マザーズ 674.18(▲2.55%)[672~688]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+4.56%)
2.電気・ガス(+4.12%)
3.石油・石炭(+2.97%)
4.空運(+2.79%)
5.銀行(+2.52%)

値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲1.42%)
2.情報・通信(▲0.54%)
3.その他製品(▲0.40%)
4.証券・商品先物(▲0.08%)
5.なし

 6日の日本市場はゴールデンウィーク期間中ながらプライム市場の売買代金は3兆円超えと膨らみ、米FOMC材料を消化しながら安寄りスタートした後は徐々に値を戻す展開となりました。日本が連休中に米国株が大きく値崩れする中、日本株は為替円安を背景に底堅い動きを見せたと言えます。

 ただし、米金利上昇および米FRBの利上げ姿勢に対する警戒が燻っており、グロース株売りが強まる流れは継続しています。欧州のロシア産原油禁輸措置をうけた原油高を手がかりに石油関連株が上昇したほか、欧州での岸田首相講演から原発再稼働への期待が高まり電力株も軒並み上昇した。さらに同講演における日本の水際対策を緩和する見通しも示されたことで旅行・レジャー関連、インバウンド関連銘柄にも物色が広がりました。

 米FOMCでの利上げ決定をうけて金利上昇に一段と弾みがつく中、リスクマネー全体でみれば縮小傾向にあることは否めず、現状は一部の決算や材料を手がかりとした選別物色が中心と言えます。マザーズ指数の安値更新からもリスク性の高い銘柄やバリュエーションが高いグロース株は敬遠されやすく、バリュー株が優位の状況を生み出しています。

【米国株概況】
米金利が一段の上昇、次に市場が注目するマクロ材料、リスク指標は更なる警戒を促す

NYダウ 32899.37(▲0.30%)[32,474~33,055]
S&P500 4123.34(▲0.57%)[4,067~4,157]
NASDAQ 12144.66(▲1.40%)[11,990~12,358]
ダウ輸送株 14900.8(▲1.21%)[14,600~15,057]
半導体SOX 2982.1(▲0.78%)[2,926~3,044]
日経平均先物(CME) 26,885(▲0.83%)[26,540~27,120]
ドル/円 130.08~130.79
米10年債利回り 3.142%(高値3.144%:5/6、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 110.61(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1882.80(高値2,078:3/8)
銅先物 4.2460(高値5.0395:3/7、安値4.2315:5/6)【安値更新】
恐怖指数(VIX)30.19(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 31
High Yield Bond (HYG)77.59(安値77.41:5/5)【安値更新】

 6日の米国市場は引き続き金利動向をにらみながら4月米雇用統計の結果に関心が集まりました。NYダウは軟調に始まった後、一時は▲500ドル超の下げを演じながらも引けにかけては下落幅を縮小しました。年初来の安値をテストする動きは継続中で、S&P500やナスダックにいたっては年初来更新の動きとなっています。

 株式市場の重しとして懸念されている米金利は米雇用統計結果をうけて一段と上昇し、4月の非農業部門雇用者数が42.8万人増と市場予想の39.1万人増を上回ったことで、景気後退懸念は和らぐ一方で金融当局の引き締めを正当化するものとして好悪織り交ぜた見方でその都度解釈が分かれたりするのが今の市場と言えます。今後も上昇が続くと見込まれる金利環境には馴れが必要で、米国株のけん引役であったグロース株には大きな壁となって立ちはだかることになりますので、NYダウと比べてもナスダックやS&P500のパフォーマンスが劣後することは常態化していく可能性があるかもしれません。

 企業の決算シーズンも一巡した米国市場ではマクロ材料に目を向けることとなり、ロシアや中国をめぐる動向や実体経済にまで影響を及ぼし始めた資源・食糧インフレ、さらにウクライナ危機から飛び火したユダヤ人問題における人権やイスラエルを中心とした中東の地政学リスクなどによって、市場では余計なノイズに惑わされやすくなってきます。特にここ最近でのボラティリティ高止まりは投資家のリスク許容度を低下させる要因となりますので、しばらくは戻り売りを徹底することが肝要です。

 また、他市場では先行指標でもある仮想通貨市場が米FOMC後での下落基調が鮮明ですので、こちらも普段は気にせずともリスク指標として機能するケースが多々ありましたので注視しておくとよいかと思います。その他のリスク指標ではVIX指数が30ポイント台を依然としてキープ、Fear&Greed指数はやや弱気の状態で横ばい、ハイ・イールド債市場は下値模索の状況、これに加えて景気先行指標である銅相場が年初来安値更新の動きを見せています。

【日本株投資戦略】
相対的に底堅い日本株に反騰ラリーの妙味、今週は決算材料も豊富で短期勝負向きだが深追いは禁物

 直近の日本株は米国株や中国株と比べて相対的な底堅さがみられるようになっており、日経平均とTOPIXのどちらが優位かを図るNT倍率の低下が示すようにバリュー株の躍進が背景となっています。為替の円安環境によって国際優良株が下値で踏ん張りやすい状況になっているため、大型株は底堅く中小型株の内需グロース系は順当に売られやすいといった構図が浮き彫りになっています。

 足元ではとくに岸田総理はじめ政策に絡みやすい国策系の材料・思惑を内包した大型株や歴史も古く重厚長大な産業の業態チェンジが期待される銘柄群、石油資源・食料系の商社や鉄鋼・非鉄など金属資源に関連した銘柄などが数十年ぶりに見直されて断続的な買いが入っているとみられます。岸田総理による海外での演説以降、経産省と繋がりの深い昔ながらの企業が同業種内で比べてみても明らかに強含んでいるように見受けられます。

 岸田演説効果で海外勢を動かしたとは考えづらいのですが、元より海外勢の手口は4月買い越してきておりますので、この他にやはり政策的な資金投入、年金・ファンド勢のリバランスが足元のマーケットに影響を及ぼしていると考える方が納得できます。これがいつまでも続くわけはないので、新興のマザーズ市場が下値模索の動きになっていることを考えれば、投資家は上記の国策系大型株をやるか、あるいは決算材料がある期間中は一か八かで決算プレイをやるかなど限られた選択になるでしょう。

 幸いにも市場の流動性があって売買代金が膨らんでいる間は、仮に予想を外しても逃げ場に困る状況ではないと言えますので今週末のSQまでが短期勝負できる時期としての目安になるでしょう。それを過ぎてくると決算シーズンも一巡で材料手がかり難、マクロ情勢悪化などによる流動性急減といったように市場の景色が一変してしまう可能性が出てまいりますので、即現金化することを念頭に置いておくべきでしょう。

前回までも指摘しているように市場にネガティブインパクトがもたらされるのは時間の問題になっており、昨秋以降の中長期下落トレンドが全体の地盤沈下をより深刻化させてしまう恐れがあることを常に意識しておくようにしてください。

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