【5/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 26818.53(▲0.11%)[26,610~26,964]
TOPIX 1898.35(▲0.07%)[1,887~1,910]
マザーズ 842.01(+2.66%)[685~696]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+4.54%)
2.空運(+2.01%)
3.ガラス・土石(+1.43%)
4.金属製品(+1.24%)
5.ゴム(1.08%)
値下がりセクターTOP5
1.その他製品(▲1.29%)
2.建設(▲1.09%)
3.サービス(▲0.74%)
4.精密機器(▲0.69%)
5.情報・通信(▲0.54%)
2日の日本市場はゴールデンウィーク期間における飛び石連休の中での立会となり、市場参加者は限られたかに見えて出来高はそれなりに膨らみました。水準こそ大きく変わらなかったものの、値幅はそれなりに大きく出ており前週同様にボラタイルな状況が続いています。
決算シーズンで材料発表の銘柄は果敢に売買される傾向が顕著で、前日に大きく売られた海運株がいち早く決算通過した商船三井(9104)をきっかけに見直し買いを誘った他、日立(6501)やNEC(6701)、富士通(6702)、村田製作所(6981)など主力どころが決算とあわせて自社株買いや増配を発表したことを機に大きく買われました。
一方で米FOMCを前に金利上昇に一段と弾みがつく中、これを嫌気したハイテク株売りで軟調さが目立ったのが半導体株や主力のグロース系値がさ株であり、ファナック(6954)やダイキン(6367)なども高く寄った後は終日にわたり断続的な売りに押されました。米FOMCのイベント待ちで強弱感が定まりづらい中、個別では決算材料次第で大きく振れやすい状況が続くとみられます。仮にFOMC通過後であっても全体の方向感はしばらく見出しづらいといえ、来週の決算シーズンが一巡するまではしばらく材料物色が中心となりそうです。
【米国株概況】
誰の目にも明らかな米国株の変調、米国株投資はストップ!リスクマネーの萎縮はこれから本格化を迎える
NYダウ 32997.97(▲3.12%)[32,685~33,854]
S&P500 4146.87(▲3.56%)[4,106~4,270]
NASDAQ 14317.69(▲4.99%)[12,183~12,787]
ダウ輸送株 15084.1(▲2.89%)[14,940~15,457]
半導体SOX 3005.5(▲5.00%)[2,965~3,089]
日経平均先物(CME) 26,735(▲1.01%)[26,585~27,470]
ドル/円 128.75~130.55
米10年債利回り 3.035%(高値3.102%:5/5、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 108.96(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1877.99(高値2,078:3/8)
銅先物 4.2963(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)31.20(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 32
High Yield Bond (HYG)78.03(安値77.84:5/5)【安値更新】
5日の米国市場は前日のFOMC通過を好感して急反騰したところから一転、長期金利の上昇や景気後退への懸念が蒸し返されて今度は急反落の動き、前日に900ドル超の反発を見せたNYダウは上昇分を打ち消すどころか一時1375ドル安まで下落しました。
さらに、米長期金利が10年債でついに3%台を上回り一時は3.1%台と2018年以来となる水準に上昇、金利上昇を嫌気したハイテク株売りが加速したことで主力のGAFAM、ナスダックや半導体SOXも▲5%安と急反落となりました。FOMCでは市場予想通りに0.5%利上げとQT6月開始の決定が伝えられ、ほぼ織り込み済みの反応で株価は反発したのに対し、ここで金利上昇が材料出尽くしから一服するかと思いきや、昨日は一段と加速する動きを見せてきたために今度は警戒感が再び強まるといった不安定な相場となっています。
リスク指標も全般的にリスクオフ傾向に偏ってきているとみられ、投資家心理の不安定さを映しています。VIX指数は再び30ポイント台を上回ったほか、ハイ・イールド債は一段と下値模索の展開を余儀なくされており、売り方にとっては前日のFOMC後の急反発はデッド・キャット・バウンスと呼ばれる一過性要因と捉えている向きが少なくないようです。
米国株では企業決算も今週末をもって一巡することとなり、マクロ要因に引っ張られやすくなります。ここでの金利上昇がリスクマネー全体にとっての逆風となりやすいため、しばらく金利動向からは目が離せない展開が続くとみられます。また、前回の3月FOMC後におけるラリーは1ヶ月弱続きましたが、今回はそれほど長く期待できそうもないことを昨日の動きは如実に物語っており、米株安・米債安ときて米ドルのトレンド転換が訪れるとトリプル安にリーチがかかっている状況であることから、この先の経済指標やリスク要因が為替市場に下方インパクトをもたらすものとなるかを注視していく必要があると言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
「Invest in Kishida」は日本株にビッグウェーブをもたらすか、それを有効活用する上で最も適した投資時期とは?
米国の金利上昇を背景に資本市場ではリスクマネーの縮小傾向が一段と強まってきています。5月の米FOMC結果をふまえて対米ドルの通貨が買い戻される動きを見せていることから、足元のドル高に一服感が出てくる辺りが日本株にとっても戻り一杯になってくる頃合いとなりそうです。
今回はせっかくのGW期間中ということもあって目先の動向で一喜一憂しても致し方ないですから、少し長めの時間軸で有料版の【先読みの近未来】のテイストに近い解説で向こう3か月〜6か月の相場を占っていきたいと思います。
連休中に岸田総理が訪欧してローマ教皇と会談し、その足で英ロンドンの金融街であるシティで「新しい資本主義」をアピールした「Invest in Kishida(岸田に投資を)」が話題を呼んでいます。2013年に安倍総理が当時、自らの政策アベノミクスを海外に売り込む「バイ・マイ・アベノミクス」に倣い、海外投資家を呼び込もうとする姿勢がにわかに注目を集めました。実際のところ、岸田総理の政策は今のところ金融所得課税や自社株買い規制の議論などが先行し、株価対策どころかむしろ逆風と捉えられる政策を掲げており、その実効性には疑問が投げかけられているのが現状と言えます。
ただ、前回の【先読みの近未来】でも詳述した海外勢の動向をふまえながら今回の岸田総理が行った日本株PRを考えますと、タイミング的には夏の参院選と前後する時期をめがけて「新しい資本主義」の具体像が示される流れになるとみられ、海外勢にとってはその頃から米国におけるQT(金融引き締め)開始時期と重なってくることから、現金化した資金を新たに振り向ける先として日本株を選択する蓋然性が高くなります。
米国の利上げペースとして今回の0.5%利上げをふまえながら、年内のスケジュールでは6月・7月でさらに0.5%ずつ、9月・11月・12月でそれぞれ0.25%ずつ今年は計2.5%の政策金利を引き上げることが見込まれています。おそらくインフレ退治に本腰を入れるなら更なるペースアップも必要とみられますが、そうすると株式市場だけでなく実体経済への悪影響が一気に顕在化することになるため、上振れしても9月・11月まで0.5%アップをして計3.0%までが米国経済にとっての限界ラインでしょう。ただ、これだけでも株式市場にとっては金利上昇を織り込むまでに全治3ヶ月は必要になるとみられますが、これに加えてQE→QTの転換で流動性資金の回収まで踏み込むような事態になれば全治6ヶ月コースとなります。
よって、現在のところから下方リスクが顕在化した場合の底入れ時期の見極めが重要になってくるところで、投資初心者の方であれば上述した参院選時期の7月までは少なくとも現金化優先の取り組みをすべきと考えます。一方で投資上級者の方であれば、この間に空売りのポジションを構築しながら2回〜3回程度は大きな値幅を取りに行くことも可能になるとみられます。
上記の「Invest in Kishida(岸田に投資を)」が目玉政策として評価されるのは時間が必要ですが、これに官民合わせた積極投資が行われるのであれば今夏のボトムから年末にかけての相場は日本株が大きく飛躍する転換点になることでしょう。
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