【4/26日本市場の確認ポイント】
日経平均 26700.11(+0.41%)[26,592~26,808]
TOPIX   1878.51(+0.11%)[1,872~1,885]
マザーズ 711.44(+2.46%)[698~712]

値上がりセクターTOP5
1.陸運(+1.68%)
2.ゴム(+1.67%)
3.情報・通信(+1.30%)
4.サービス(+1.12%)
5.金属製品(+0.86%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲3.35%)
2.非鉄金属(▲3.11%)
3.海運(▲1.75%)
4.その他製品(▲1.05%)
5.保険(▲0.92%)

 26日の日本市場は前週末の水準から下放れした動きをうけて、米株先物を横目に神経質な展開が続きました。米長期金利の低下からグロース株には一部買い戻される動きもみられていますが、肝心の先導役を担うセクターが冴えず全体には戻りの鈍さが目立ちました。

 日経平均は前週の戻り高値27,580円から▲1,000円超の下落した水準にあり、指数を押し上げていたファーストリテイリング(9983)が反落したほか、東京エレクトロン(8035)なども下値調整中で、為替の円安環境で比較的底堅く推移してきた自動車などの外需株もやや円高に振れてきたことに伴って値保ちが悪くなってきていることなどが挙げられます。

 また、新興のマザーズは4月初旬からの調整局面にようやく見直し買いが入り始めたところですが、時価総額の大きいメルカリ(4385)の影響が大きく、4/28の決算発表を目前に控えているところで通過後の株価反応が注目されるところです。

【米国株概況】
複合的危機を棚上げして上昇してきた市場にリスク要因が表面化、米金融政策を主因としつつ注目は米国と対立する中ロの動向がSell Allのトリガーに

NYダウ 33240.18(▲2.38%)[33,230~33,909]
S&P500  4175.20(▲2.81%)[4,175~4,278]
NASDAQ 12490.74(▲3.95%)[12,490~12,918]
ダウ輸送株 14748.0(▲3.18%)[14,748~15,211]
半導体SOX 2909.1(▲4.38%)[2,909~3,006]
日経平均先物(CME) 26,065(▲2.20%)[25,970~276,885]
ドル/円 127.02~128.23
米10年債利回り 2.728%(高値2.981%:4/20、安値1.668%:3/7)
WTI原油 101.83(高値130.50:3/7、安値92.93:4/11)
金先物 1905.85(高値2,078:3/8)
銅先物 4.4265(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX) 33.52(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 27
High Yield Bond (HYG)79.46(安値79.18:4/22)

 26日の米国市場は前日の切り返しを帳消しにして直近安値を更新、主要株式指数は軒並み大幅反落となり、とくにハイテク株のナスダックは▲4%近い急落、半導体SOX指数も▲4.4%の急落で投資家のセンチメントは一段と冷え込みました。

 背景には米国のインフレ亢進に伴う金融引き締め観測およびそれに伴う世界の景気減速懸念に加えて、足元で中国の新型コロナウイルス感染拡大やロシアが核戦争に及ぶ可能性などが取り沙汰されるようになり、いずれも既出の材料ではありながら現実味は無いだろうと思われてきたものが、どうやら甘く見過ぎていたかもしれないと見方を軌道修正する流れから生じているとみられます。

 現在の市場原理はコロナパンデミックと同様で緊張と緩和からボラティリティが生み出されており、世界的なインフレ懸念や新たな局面入りしたウクライナ危機に対する懸念がピークアウトするまで続くと仮定した場合、株式市場および債券市場といった資本市場からのマネー逃避はまだ道半ばであると考えられます。

 米国株は巨大IT企業のGAFAMやテスラ、指数寄与度の大きい銘柄群が値崩れし始めたことから分かりやすく大幅反落となっていますが、今まではこれらが持ち直せば米国株への資金を引き付けることが出来てきました。ところが、米金利上昇、とりわけ実質金利の上昇も確定的となってきたことから米国景気全体への波及と過大なバリュエーションの水準訂正の動きが表面化し、調整が本格化の時を迎えようとしています。

 おそらく目先の米FOMCに向けては当局による言動不一致が続けられている関係から引き続きインフレ容認しつつ、株価の揺り戻しなどが発生する可能性を残しつつも、6月QT(金融引き締め)開始に向かっては資本市場からのマネー一斉逃避でSell Allの可能性が高まっているとみた方がよいでしょう。

 足元ではリスク指標のVIX指数が2月下旬以来の再び30ポイント超えとなってきているほか、ハイ・イールド債市場でも安値更新でリスクマネーが収縮してきていることを示唆しています。債券が売られ、株式が売られ、残すは米ドルの為替ですが、Sell Allの予兆としてはこの米ドルも売られてトリプル安となるか、またリスクマネーの拠り所となっている原油市場が5月中旬あたりから値崩れするかを注視していく必要があるでしょう。

【日本株投資戦略】
期待外れの経済対策に市場はリスクマネー逃避の動き、不気味なボラティリティ上昇は米金融政策のゆくえか新たな地政学リスクか

 足元における日本株および米国株の動きは先週ここで解説したように、米長期金利がリーマン・ショック後の限界ラインであった3.0%水準に近づいてきたことに伴い、株式市場の値崩れを警戒したヘッジ売りが主因となって調整圧力を余儀なくされているとみられます。

 こと日本株にいたっては年度替わりの買い需要が一巡し、全体的には薄商いとなっていた中で株価の下落に備えるプット・オプションが積み上がり、ボラティリティが高まっているとみられます。

 そうした中で足元では戦争懸念で買われてきた金鉱株の住友金属鉱山(5713)など非鉄金属や石油関連株のINPEX(1605)なども大幅反落の動きとなっており、市場全体における調整圧力が強まって資金の逃げ場が無くなりつつあると言えます。

 すでに【先読みの近未来】をご購読の方におかれましては、相場の潮目が変わりやすい時期としてあらかじめお伝えしてはおりますが、足元では3月中旬以降の上昇分を吐き出す形になってきております。

 これは以前解説したとおり、日本政府による経済対策への期待から吊り上げられた政策的な動きが鳴りを潜めて、その間に年金やファンドなどが外債や株式の利益確定を進めている資金フローが背景にあるものとみられます。

 上記の【先読みの近未来】でお伝えしていたシナリオがあらかじめ決まっている金融占星術の日柄どおりに進んでいくようであれば、調整局面はこれから本格化へ向かって加速するものと推察され、日本がGW期間中に決定的なものとなって下げの材料が市場に提供されることと思われます。

 教科書に素直な形であれば米金融政策を理由とした材料と誰しも察しがつくでしょうが、市場にショック安をもたらすのであればおそらくは別の形で地政学材料の方を理由にすると思われます。鍵を握るのはロシアの戦略核オプションのトリガーが引かれるか否かだと言えるでしょう。

 足元の下落は出来高をさほど伴っていないためショック安という程には到底及びませんが、むしろ前兆として捉えておくべき重要なシグナルであり、逆にここからGW期間中で不自然な出来高ができるようであればより警戒をしていく必要があるものと思われます。

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