【4/19日本市場の確認ポイント】
日経平均 26985.09(+0.69%)[26,777~27,100]
TOPIX 1895.70(+0.83%)[1,883~1,899]
マザーズ 744.39(▲0.96%)[743~760]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+3.65%)
2.海運(+3.46%)
3.非鉄金属(+2.79%)
4.鉄鋼(+2.16%)
5.石油・石炭(+2.13%)
値下がりセクターTOP5
1.小売(▲0.62%)
2.サービス(▲0.55%)
3.医薬品(▲0.41%)
4.陸運(▲0.04%)
5.なし
19日の日本市場は朝方に高寄りした後一方向的に売りに押される展開で、日経平均は一時マイナス圏に突入しましたが、後場には切り返して終わってみれば3ケタ上昇でしっかりの動きとなりました。27,000円を割れて引けはしましたが、荒い値動きの割には内容的に良い上昇日となりました。
値上がり銘柄には主力どころの景気敏感株が並び、見直し買いが強まったと言えます。足元で為替の悪い円安や景気後退懸念などから、日米株価ともに先行き不安を背景とした売り物が多く出ていた中で、この日は半導体株や海運などのほか自動車、エレクトロニクス株などもしっかりでした。為替ドル円が130円に迫る勢いで強含む中直近の外需株は冴えない動きが続いていた分、リターンリバーサルのターンに入ってきたと言えます。
それまでの内需・ディフェンシブ株を物色の中心とした相場では全体的に上値が重い印象から新興株など相対的に値が軽い小型株を選好する動きもみられていましたが、今週に入りだいぶ主力株も調整一巡から資金を呼び込む動きが強まってきています。最たるものがファーストリテイリング(9983)の決算高でしたが、この日の景気敏感株見直しは全体底上げに必要不可欠で目先の期待感につながりやすいでしょう。
【米国株概況】
米金利の一段高でも反発をみせた株式市場、債券⇒株式シフトのカギを握る企業決算がいよいよ本格化へ
NYダウ 34911.20(+1.45%)[34,394~34,983]
S&P500 4462.21(+1.60%)[4,390~4,471]
NASDAQ 13619.66(+2.15%)[13,281~13,643]
ダウ輸送株 15207.2(+2.76%)[14,851~15,227]
半導体SOX 3153.2(+2.21%)[3,057~3,157]
日経平均先物(CME) 27,260(+0.78%)[26,770~27,270]
ドル/円 126.99~128.97
米10年債利回り 2.940%(高値2.944%:4/19、安値1.668%:3/7)
WTI原油 102.40(高値130.50:3/7、安値92.93:4/11)
金先物 1951.90(高値2,078:3/8)
銅先物 4.7000(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)21.37(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 45
High Yield Bond (HYG)80.04(安値79.60:4/11)
19日の米国市場ではインフレ高進の抑制のために米FRB利上げ観測が強まり、債券市場では2018年以来となる米10年債利回り3.0%が目前に迫る動きを見せました。米金利の一段高をうけて売られていた株式は米FRBメンバーのタカ派傾斜を嫌気していましたが、この日は利上げに慎重とする意見の方を積極採用して反発、企業決算への強気な見方も上昇を後押ししました。
米FRBの当局者発言は総じてタカ派発言が目立つようになり、米セントルイス地区連銀のブラード総裁は政策金利を年内に3.5%まで引き上げるとの見方を示して米金利上昇を加速させることにつながりましたが、今週末で再び当局者はブラックアウト期間に入るため発言が控えられるようになります。言ってしまえば、この鬼の居ぬ間にどれだけ駆け上がれるかが米株市場にとって貯金を作れるかどうかの瀬戸際と言っても過言ではありません。
そのかわりと言ってはなんですが、当局者以外の金融関係者などが代弁するような形になるかと思います。老獪な元○○長官なんかが余計な発言をする場合もありますが、市場のかく乱要因としては単なるノイズと無視しても構わないでしょう。それよりも、このあたりで米金利水準や為替ドル高に一服感が出てくるかどうかが目先の焦点になります。また、債券市場が落ち着いてくれば債券⇒株式への資金シフトが起こりやすくなり、そのカギを握るのは企業決算と実質金利になります。
先行きに対しての期待や不安で思惑的に売買されてきた株式市場では、企業決算を通じて現実に引き戻されることとなり、決算内容をふまえて景気後退懸念から売られ過ぎた銘柄は買い戻される機会を得るでしょうし、インフレ懸念から過度に買われてきた銘柄は一旦利食いのきっかけとなり修正の動きが出てくることと思われます。
【日本株投資戦略】
為替の円安進行で外需株見直し買いが強まるかが焦点に、企業決算と大型連休前の出来高水準に注目
昨晩の米国株が反発したことをうけて日経平均はいよいよ27,000円付近のカベを打ち破ることができるかが目先の焦点になってきます。とりわけ為替の円安が日本株にとっての逆風とならないうちに外需割合の大きい国際優良株の値戻しがどれだけ進むかによって日経平均の上値が決まってくると言ってもよいかと思います。
日本でも日銀の黒田総裁や鈴木財務相が為替動向についてけん制発言をするようになってきましたが、つい直前まで日銀は指値オペを実行して為替円安を容認しているかのような政策を採ってきました。この発言と実際に採用する政策に矛盾というか言行不一致な点に関しては米FRBの隠れQEと大して変わらない点であり、この辺のヘッドラインを判断材料としてもあまり信用ができないかと思われます。
今後、為替ドル円が130円台、米金利が3.0%台に乗せるようなことになった際、株式市場がどういった反応を見せるのかを慎重に見極めていく必要があるでしょう。とくに金利高によって株式市場が値崩れを引き起こされるのはこれまでにも頻繁にみられてきたことで、記憶に新しいのが2018年のVIXショックです。当時も景気回復期待が高まって米長期金利は3.0%を突破しましたが、株式市場はこれに耐え切れずクラッシュしました。
今回コロナ禍からの景気回復が足腰の強いものであれば金利水準の一段高でも問題ないかもしれませんが、足元ではインフレ高進によって金利上昇ペースが加速していく見通しである中、これが少しでも市場の許容度を上回るようだとやはり株式市場にとってショック安を誘発しかねないと言えます。
その景気の足腰といった中で目先重要なのはやはり企業決算であり、全体の地合いそのものはウクライナ情勢などマクロ材料がノイズになるものの、企業の決算が好調でバリュエーションが見直されるようであれば株価の上値期待にもつながると思われます。
次回の米FOMCは日本がゴールデンウィーク中に政策決定がなされることになりますので、それまでに日本株がどこまで戻せるか、短期的な自律反発を見越しての売買活発化が焦点となります。一方で、大型連休前のポジション調整に伴う売り圧力もそれ相応に強いとみられますので、出来高がしっかり膨らんでいるかどうかもチェックすべきでしょう。出来高不足の場合には相場が腰折れするのも早いですので、無理はしないでおこうと必ず判断材料に加えておくようにすると良いかと思います。
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