【4/12日本市場の確認ポイント】
日経平均 26334.98(▲1.81%)[26,304~26,674]
TOPIX 1863.63(▲1.38%)[1,861~1,883]
マザーズ 754.14(▲0.91%)[749~768]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+0.45%)
2.情報・通信(+0.13%)
3.保険(+0.11%)
4.その他金融(+0.05%)
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲5.68%)
2.機械(▲3.09%)
3.精密機器(▲3.01%)
4.電気機器(▲2.19%)
5.医薬品(▲2.03%)
12日の日本市場は寄付から終始軟調に推移し、後場には下げ幅を一段と拡大してほぼ全面安商状でした。値下がりセクターの上位には景気敏感株がズラリと並びましたが、海運や倉庫・運輸関連のセクターをはじめ、金属製品や小売セクターも調整がだいぶ深めてきました。インフレによるコスト高および物流の動きが鈍ることで景気後退の懸念が台頭していることを織り込む動きのようにみられます。
相場としては騰落レシオも短期的には売られ過ぎ水準に達してきており、元々3月からの反騰で政府が経済対策を匂わせつつ政策的に買い上げられた側面が強い上昇でしたので、その反動安としてみることができます。よって、今回はセリングクライマックスのような明確な底入れ感は期待できないかと思いますが、値幅調整としては十分な域に達してきたとみられ、このままリスクオフに突入していく可能性は低いとみてよいかもしれません。
足元で日経平均やTOPIXなどは25日移動平均線を明確に割り込みましたが、マザーズ指数は辛うじてこれをキープしています。日米のVIなどは直近の20ポイント割れから再び上昇し始めており、下落に身構えている投資家の動きを反映していますが、米金融政策への警戒をある程度織り込んだのであれば調整一巡となってきそうです。
【米国株概況】
米3月CPIが40年ぶり高い伸びもコア指数にはピークアウトの兆し、金融当局者は6月からのQT開始に言及、米金利の上昇一服で株価の調整にも一巡感
NYダウ 34220.36(▲0.26%)[34,102~34,669]
S&P500 4397.45(▲0.34%)[4,381~4,471]
NASDAQ 13371.57(▲0.30%)[13,317~13,685]
ダウ輸送株 14558.2(+0.21%)[14,479~14,813]
半導体SOX 3047.5(▲0.25%)[3,036~3,145]
日経平均先物(CME) 26,300(▲0.08%)[26,240~26,745]
ドル/円 124.92~125.73
米10年債利回り 2.727%(高値2.832%:4/12、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 101.02(高値130.50:3/7、安値92.93:4/11)【安値更新】
金先物 1967.45(高値2,078:3/8)
銅先物 4.6952(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)24.26(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 45
High Yield Bond (HYG)80.30(安値79.60:4/11)【安値更新】
12日の米国市場では労働省から米3月消費者物価指数(CPI)が発表され、米株は寄付直後から大きく買われましたが、引けにかけては戻り売りに押されて続落となりました。この日も先週の市場波乱の要因となった米FRBブレイナード理事の発言に注目が集まり、早ければ6月のバランスシート縮小に着手する可能性を匂わせました。
市場は米FRBの政策決定に影響を及ぼすとの見方から、今回のCPIの中身にとても注目していました。3月CPIは前年同月比8.5%上昇で41年ぶりの高い伸びを示した一方、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は、前月比0.3%上昇と、2月の0.5%上昇から鈍化したことから、先週の米FRBが金融引き締めを急ぎ5月にも開始するのではとの懸念は幾分和らぎました。
今週は米国における消費・物価の経済指標発表が相次ぐため、市場はこれらが波乱要因になることを警戒していましたが、最も注目度の高いCPIと米10年国債入札を通過したことでひとまず下げ止まり感も出てきたと言えます。まだ今晩の3月生産者物価指数と14日の3月小売売上高発表を残していますが、債券市場ではここ最近の力強く上昇していた米金利には一服感も出てきました。
その他、市場は米国よりも深刻なインフレに見舞われている欧州にも注目しており、14日のECBラガルド総裁の発言にも注目しています。今週末から来週にかけては欧米市場がキリスト教関連の祝日で休場となるため、マイナーSQにからむポジション調整の圧力がかかりやすいと言えます。昨晩の米国株は今後の金融政策動向を気にしつつも経済指標には好感する動きを見せていたことから、ポジション整理が完了した後はアク抜けする期待も持てるかと思います。
他方で、気になるのはコモディティ市場の動きであり、直近で一時安値を更新して92ドル台に突っ込んだWTI原油先物が再び騰勢を強めて100ドル台を回復してきました。これと合わせて金価格もひと頃の調整から上昇に転じてきており、戻り高値を更新してきています。地政学リスクと関連の高い商品市況が強含んできていることは不気味な印象を受けます。
また、足元における米株の動きは調整局面を迎えていることは明らかですが、水準としては先週から大きく変化したわけではありません。それにもかかわらず、リスク指標のVIX指数が再び20ポイント台を回復してプット・オプションの需要が増していること、ハイ・イールド債市場が3月中旬の安値を一時更新する動きを見せたことはよくよく注視しておく必要があると言えます。仮に株価が調整一巡から反発を見せたとしても、次の波乱の種が潜んでいることは肝に銘じておかなくてはならないでしょう。
【日本株投資戦略】
波乱含みの相場に突っ込み買い妙味、ただし原油・金の上昇再開には要警戒
直近で日本株は4/5より6営業日連続の陰線を引いており、3/25高値からは日経平均で▲2000円の値幅で調整したことになります。3月からの高安でみた場合に足元では半値押しよりも深めに調整しています。当塾でも先週から一貫してポジション調整を促してきましたが、昨日は25日移動平均線割れで必要以上に見切り売りが嵩んだようにも見受けられます。
個別株では米金利上昇をうけたハイテクグロース株を嫌気する売りと指数寄与度の大きい値がさ株の下げがやけに目立ちます。昨日の市場確認ポイントでも述べたように、元を辿れば3月後半からの半ば強引に吊り上げられた相場であり、その反動安としてみた場合には調整も済んできたとみてよいでしょう。
本日からは前回のマーケット解説でも指摘のとおり、市場転換日を通じて今週半ばからの反転の兆しが確認できるかが注目の見どころになってくるところです。その中で注目すべきは米国の金融当局の動向は勿論なのですが、マーケット材料としてすでに新鮮味が無くなっているウクライナ危機において、ロシアの特別軍事作戦の最終局面が原油市場に与える影響です。
先週、米国の金融当局が株式市場に冷や水を浴びせた金融引き締めを急ぐ姿勢は、元々インフレが一過性のものであるとの見方を変化させたことに加えて、積極的に金融収縮をしなければインフレはもはや抑えることができない現実に直面していることを認めたということでもあります。
また、ロシアによるウクライナ侵攻によってインフレの悪化を招いたことは事実ですが、そもそもエネルギー問題やサプライチェーン問題はそれ以前から生じていたことであり、3月FOMCでは利上げ幅を0.25%に留め置いておきながら次回5月のFOMCを待たずして市場にアナウンスメントしてきたその真意こそが重要です。直近で穀物の価格高騰などは目立っていますが、原油市場においては上記のとおり3/7に高値をつけて足元では調整基調にあったからです。
足元における株式市場は再び原油市場との相関が高まっているフシがあり、元来、リスクマネーの動きとして注視すべき原油市場が、例えばロシアによるマリウポリ大規模攻撃が開始された場合に反応して上昇する時に株式市場がともに連れ高するかどうかを見極める必要があります。
3月前半は明らかに逆相関で、原油高騰で株価には下落圧力がかかりましたが、今回も同じとは限りません。ヘッドラインで原油と株価がそれぞれどう反応するかを確認して4月後半における相場の方向性を探っていくようにしましょう。
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