【4/5日本市場の確認ポイント】
日経平均 27787.98(+0.19%)[27,662~27,965]
TOPIX 1949.12(▲0.23%)[1,942~1,967]
マザーズ 842.01(+2.66%)[824~843]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+1.84%)
2.陸運(+0.85%)
3.小売(+0.79%)
4.サービス(+0.74%)
5.精密機器(0.54%)
値下がりセクターTOP5
1.保険(▲3.45%)
2.海運(▲3.25%)
3.銀行(▲1.73%)
4.電気・ガス(▲1.35%)
5.鉄鋼(▲1.24%)
5日の日本市場は朝方こそ高く始まったものの断続的な売り物に押されて売り買いは拮抗。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり952/値下がり808で値上がりがわずかに優勢でしたが、物色の中身はソフトバンク(9984)やファーストリテイリング(9983)などの指数押し上げ分を除くと、上昇はエムスリー(2413)やリクルート(6098)などのグロース株の一部がしっかりだったという印象です。
総じてバリュー株は先月末の配当落ち後から利益確定売りに押される銘柄が目立ち、原油価格の反発をうけたINPEX(1605)など石油関連株が物色されただけで、製造業はグロース系も今ひとつ物足りません。対して、堅調な動きを続けているのはマザーズなど新興株で連日2ケタ上昇を記録するものなどが散見されています。全体の上値は重くなってきている中で値動きの軽さを求めて中小型株が物色される相場になっています。
3月中旬以降のリターンリバーサル相場も大詰めといった様相で、上昇銘柄の的を絞りにくくなってきたため物色の質は徐々に低下してきていることが分かります。あとはマーケットが利益確定売りのきっかけを欲しがって好材料に反応する割合が薄れて、悪材料に反応しやすくなってくると地合いの転換がみられるかもしれません。75日移動平均線を突破して上昇加速のマザーズがどこでストップするか見極めどころです。
【米国株概況】
FOMC議事録公表前にブレイナード理事タカ派発言で米10年債利回りが3月末の高値を更新、QE→QT政策転換の警戒感で株売り・債券売り
NYダウ 34641.18(▲0.80%)[34,566~35,112]
S&P500 4525.12(▲1.26%)[4,514~4,593]
NASDAQ 14204.17(▲2.26%)[14,169~14,500]
ダウ輸送株 15065.5(▲2.81%)[15,029~15,510]
半導体SOX 3269.8(▲4.53%)[3,264~3,400]
日経平均先物(CME) 27,520(▲1.01%)[27,435~27,980]
ドル/円 122.38~123.66
米10年債利回り 2.554%(高値2.564%:4/5、安値1.668%:3/7)
WTI原油 101.08(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1924.80(高値2,078:3/8)
銅先物 4.7580(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)21.03(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 51
High Yield Bond (HYG)81.50(安値79.97:3/14)
5日の米国市場は米FRBのブレイナード理事が足元の利上げを着々と進めることに加えて、早ければ来月にも約9兆ドルのバランスシートの縮小に着手し、前回の縮小時よりも「かなり」早いペースで縮小を進めるべきとの見解を述べたことで金融引き締めへの警戒感が再燃しました。
資本市場ではまず株式市場で半導体などのハイテク株や鉄道や空運などの輸送株などが幅広く下落し、景気先行指標のダウ輸送株指数や相場の先行指標である半導体SOX指数が大幅安となっています。米金利上昇からナスダックや小型株で構成されるラッセル2000は▲2%超安の売りに対し、NYダウやS&Pといった主要指数は相対的に下げ幅が小さく済みました。公益セクターなどディフェンシブ株がしっかりだったため、リスク性の資金は株式市場内で一旦ディフェンシブ株に逃したという側面があるかもしれません。
次に債券市場ではこれまでのQE(量的緩和政策)からQT(量的引き締め)への政策転換が注目され、米金利は全般に上昇したものの長期債の金利がより大きく上昇したことで逆イールド(長短金利の逆転)現象が一部で解消するなどしています。元々は6日の3月FOMC議事録公表待ちであったため、QT開始時期などをめぐっては多少早く意識せざるを得なくなったとみられる動きです。もし議事録の内容で具体的な言及がなされていなければ一旦落ち着きを取り戻すことになるかと思います。
そして為替市場では上記のブレイナード理事のタカ派発言をうけて米ドルが上昇、ドルインデックスが99.5ポイント台に達する場面がありました。ブレイナード理事以外の当局者発言も相次いでいますが、他の連銀総裁などは元々タカ派寄りの姿勢であったため発言の影響は限定的と言えます。しかし、筋金入りのハト派だったブレイナード理事がQT政策に言及したことの意味合いは大きく、資本市場全体でいよいよ感が増してきたと言えそうです。
米経済はなおも堅調ではありますが、インフレ亢進への懸念が一段と高まってきている中、米FRBもただ手をこまねいて見ているわけにもいかないのが現状です。ただし、3月の時もそうでしたが当局者発言とは裏腹に米FRBは金融引き締めを匂わせながら実はバランスシートをさらに拡大させて隠れQE政策を採っていました。
今回の発言内容が実際の行動と一致してくるのかよくよく確かめる必要があるでしょう。単に株式市場に利食いの口実を与えただけでQE政策を今後も継続しているのであれば一過性の調整で済みますし、もしQTへの転換が現実のものとなるとすれば株式市場にとっては大きな試練で軟着陸は難しい、すなわち暴落的な下げを誘発することになるでしょう。
【日本株投資戦略】
日経28000円もみ合いで膠着感強まる、個別は選別色が強まる中で徐々に決算を意識、決算またぎは慎重さが求められる
足元の日本市場は新年度入りで売り買い交錯する中、大きく反発してきた主要銘柄群は機関投資家による期初の利益確定売りに押されており、他方で配当影響が少なくファンド売りもほぼ一巡して値動きが軽くなっている新興株を物色する動きが盛んになっています。新興市場の物色は短期間で一気に買い上げられて水準訂正し、個人投資家が高値づかみした後はダラダラと売られる傾向にあるためボーナスステージはまもなく一服となるものと思われます。
どちらかといえば全体の方向感が大事なわけですが、日経平均も28000円を意識したもみ合いを続けているだけで相場のけん引役となる存在がなかなか出てきていないのが現状です。これまでの上昇局面で主導的役割を担ってきたバリュー系代表の海運株もグロース系代表の半導体株もすでに天井形成を意識せざるを得ない動きとなっており、ウクライナ危機で台頭してきた資源関連株にいたっても高止まりしてはいるものの上昇はほぼ頭打ち感が出ています。
まもなく企業の決算発表シーズンに入ってくるため、全体でまとまった動きというのはより薄弱なものとなり、個別のゲリラ線が展開されるようになっていきます。ただその中で、個別の企業決算の中から景気全体の動向を探っていく必要があり、経済指標などはまだコロナパンデミック以降の景気回復の延長線上にありますが、個別企業では徐々にインフレ亢進の影響やウクライナ危機の影響などが実際の企業活動に現れてくるかどうかを嗅ぎ取っていく材料になります。
いち早く決算シーズン入りする米国企業ではビッグテックのGAFAなどが欧州や米国内でも規制や事業活動の縮小を促されており、今回のウクライナ危機においても対ロ制裁に積極的に加わっていることから影響が全くないとは言い切れないはずです。もし業績成長がピークアウトを示すようであれば、今後の国際法人課税の議論なども加わって利益成長の期待が剥げ落ちることは避けられず、一気に売られるといった事態も想定しておかなくてはならないかもしれません。
多少遅れて決算シーズン入りしてくる日本企業においてそうした影響が決算発表時の市場地合いを左右することになるとみられ、場合によっては業績が過去最高を叩き出したとしても株価反応は売られるといったことを想定して決算またぎを検討しなければなりません。
また、前2022.3期の実績によほど自信があっても今期の業績見通しで保守的なものが出てきてしまうと気が短い投資家の失望売りを誘発してしまうことになりますので、足元のマーケットが高止まりしている間に個別企業の業績をざっと見直して、決算またぎを避けるべきものは今のうちに処分売りを進めていくようにした方が良いでしょう。
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