【4/1日本市場の確認ポイント】
日経平均 27665.98(▲0.56%)[27,399~27,738]
TOPIX   1944.27(▲0.11%)[1,921~1,947]
マザーズ 793.20(+0.37%)[772~797]

値上がりセクターTOP5
1.その他製品(+1.53%)
2.その他金融(+1.36%)
3.情報・通信(+1.06%)
4.農林・水産(+0.77%)
5.銀行(0.77%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲5.85%)
2.石油・石炭(▲1.91%)
3.鉄鋼(▲1.35%)
4.鉱業(▲1.28%)
5.紙・パルプ(▲0.93%)

 1日の日本市場は年度替わりでニューマネー流入の期待をはらみつつ、海外市場の軟調を受けて調整色が強まりました。日経平均が28,000円をはさんで一進一退の動きを続ける中で、ウクライナ情勢における好転期待の買いは一服しつつあり、持ち高調整売りに押されやすい地合いを表しました。引けにかけて買い戻しの動きが強まるも28,000円で上値いっぱいとの見方も台頭し始めており、上昇基調は踊り場を迎えています。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1080/値下がり1002と売り買いが拮抗する中、前日に急伸した海運大手3社が大幅反落となったほか、商社や鉄鋼、石油関連株など配当利回りが高く前月に人気化しやすかった銘柄に売りが膨らんだことが象徴的でした。また、円安環境が続く中で自動車株は底堅い動きをみせる一方で、半導体関連や電子部品株に軟調な動きを示すものが増えてきており、指数の戻りにも鈍さが目立ってくるようになりました。

 その一方、全体市場が様子見ムード強まる中でも物色意欲が強いのが新興市場や材料株の一角で、NFT関連や再生可能エネルギー関連、サイバーセキュリティ関連など人気テーマ株が買いを呼び込んでいる場面が目立ちます。外部環境の不透明感やミクロの企業業績発表の時期が近づく中で一旦手がかりが乏しくなりやすい中で、なんとか買う理由をつけて中小型株を物色しようとする市場の動きを表していると言えます。

【米国株概況】
債券→株式シフトの傾向がいつまで続くのか、FOMC議事録公表後の金利、為替動向に注目

NYダウ 34818.27(+0.40%)[34,538~34,847]
S&P500 4545.86(+0.34%)[4,507~4,548]
NASDAQ 14261.50(+0.29%)[14,131~14,306]
ダウ輸送株 15511.3(▲4.74%)[15,447~16,381]
半導体SOX 3366.6(▲1.82%)[3,317~3,455]
日経平均先物(CME) 27,795(+0.49%)[27,390~27,865]
ドル/円 121.67~123.02
米10年債利回り 2.389%(高値2.557%:3/28、安値1.668%:3/7)
WTI原油 99.38(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1923.85(高値2,078:3/8)
銅先物 4.7073(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)19.63(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 49
High Yield Bond (HYG)81.95(安値79.97:3/14)

 1日の米国市場は3月FOMC利上げ後からほぼリードタイム無く債券金利の長短金利差逆転が起こり先行き懸念が重しとして意識されやす中、米3月雇用統計が発表され足元の景気が強い状態にあることを好感して株式市場は買い戻されました。市場内では債券市場から株式市場への資金シフトが進んでいるとの声も聞かれ、金利上昇の環境下でむしろ株式市場の底堅い動きに着目する向きも強まってきています。

 今週はまず3月FOMC議事要旨が公表され金融当局の姿勢を確認するところから始まるとみられますが、株式市場では徐々に5月以降のFOMCでは0.5%利上げが数回行われるとの金融当局者発言も織り込み始めています。今年1月2月のような大きな波乱にはつながらないと思いますが、債券市場で金利上昇がさらに進むようですと債券→株式シフトの資金流入が一服したところで大きく調整する場面を強いられるようになるかもしれません。

 また、金融政策にらみのマクロ環境やウクライナ情勢など外部環境に向けられている市場目線は、来週から企業決算シーズン入りしてくることを意識しながら上昇局面の仕上げに取り掛かる場面に差し掛かってきます。今年に入ってからのウクライナ危機は企業活動に多大な影響を及ぼすことになったとみられ、ロシア敵視政策の先陣に立つ米国勢は制裁を主導したビッグテック企業だけでなく半導体関連など製造業にも一過性では済まない下押し圧力がかかることになりました。今回の決算シーズンで直ちに業績予想の下方修正が相次ぐ可能性は低いかもしれませんが、先日の半導体企業見通しにネガティブな見方を示すアナリストレポートで売り圧力が強まったことを見過ごすことはできないでしょう。

【日本株投資戦略】
為替における円安基調が変化するか見極める場面、来週以降の決算シーズン入りを見据えて無理は禁物

 本日から東証の区分変更後で新3市場体制がスタートします。これが市場の需給を大きく変化させる要因にはならないとみられますが、新しく設定されるファンドやETFなどの株式組入れ分を手当てするための実需買いが入るのか、あるいはすでに証券会社が在庫を確保している分から手当てするのか、しばらくの間は市場の出来高変化などに注目しておいた方がよさそうです。

 短期トレーダーにとっての収益機会はまだ4月中ごろまでは期待値が高い状況が続くとみられる一方で、市場全体における上値に関しては上限が見え始めています。ロシア–ウクライナの停戦協議が前進して危機が収束へ向かうと観測報道が強まる頃には市場の上昇基調はピークアウトし始めてくるため、今週は売り買い交錯しながら上値を伸ばしたとしても深追いは禁物でしょう。

 週前半は上述のとおり米国の3月FOMC議事録公表があり、金融政策にらみで市場の方向感を見極める必要がありつつ、週後半には安川電機(6506)の決算発表が予定されているほか、オプションSQ算出も控えます。したがって、日米市場ともにこの先は企業業績に焦点が移ってくるほか、需給面ではオプション清算にからんだ値動きが大きくなりやすい時期に突入していくことになります。

 足元で低下しているボラティリティが再び復活してくるため、市場低迷時に仕込んですでに利が乗っている銘柄を多少追加するくらいなら有効かもしれませんが、下手に新規ポジションを高値買いさせられてしまいますと助からない恐れが出てくるほか、無限ナンピン地獄かやむなく損切りの選択肢しか持てないようになってしまいかねませんので注意した方がよいでしょう。

 直近で鋭い動きを見せる中小型株は、市場全体が配当落ち後の調整相場の中で明らかに需給面での影響が少ないことを背景に値動きの軽さから選好されやすくなっています。ただし、この先の企業決算シーズン入りしてくると材料やテーマ、話題性といった投資家の期待、思惑といった部分のプレミアムが剥げ落ちて、業績という現実に引き戻されることになります。足元でのリターンリバーサルを主導してきた大口の投資主体は決算前にある程度のポジションを出来高が膨らんでいるうちに売り抜けてくるので、出来高が萎んできたら要注意です。以前申し上げたように“戦争は買い”が市場の常識であるわけですが、ウクライナ情勢はまだこの後も二転三転してくる可能性大ですから、次の買い場に備えていくこともまた大事な投資判断と言えるでしょう。

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