【3/31日本市場の確認ポイント】
日経平均 287821.43(▲0.73%)[27,763~28,101]
TOPIX   1946.40(▲1.08%)[1,946~1,970]
東証2部  7239.06(+0.14%)[7,202~7,250]
JASDAQ  3659.30(+0.03%)[3,650~3,661]
マザーズ 790.30(+0.01%)[774~791]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+5.40%)
2.紙・パルプ(+0.99%)
3.鉄鋼(+0.07)
4.ゴム(+0.06)
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.証券・商品取引(▲2.42%)
2.保険(▲2.35%)
3.銀行(▲2.35%)
4.電気・ガス(▲2.17%)
5.その他製品(▲2.13%)

 31日の日本市場は後場から弱含みで引けにかけて下げ幅を拡大し続落となりました。年度末にかかるリバランス取引の影響もあったとみられますが、その中で異彩を放ったのが海運大手3社の大幅高。配当落ち含めて調整幅が大きくなっていたところからV字型で切り返す動きを見せています。また、前日の米SOX指数下落から半導体関連株は下落して始まったものの、東京エレクトロン(8035)はじめ主力どころは寄付後すぐさま切り返すと、そのまま市場に逆行高して買い進まれました。

 これまでの先導役とされてきた海運株・半導体株は強い動きを見せましたが全体に波及効果は薄く、グロース株のリクルート(6098)や医薬品株などが下落、指数への影響は小さいものの電力や電鉄株などディフェンシブ系の下落も目立ちました。ほかには足元の米長期金利の上昇一服をうけた銀行・保険など金融株、米国の石油備蓄放出観測から急落した原油市場をうけて石油関連株なども売りに押された模様です。

 直近でリバウンドの強かったグロース系銘柄に売り圧力が強まる中、新興市場や中小型株は案外底堅い動きをみせていると言えそうです。物色に極端な偏りがみられはするものの、中小型株3指数は前日比プラスを確保しました。市場全体では短期的な上昇基調が踊り場を迎えている中、何らかの理由をつけてテーマ株を物色する動きは継続しているとみてよいでしょう。

【米国株概況】
米株全面安もリスクオフの兆候みられず調整の範囲内、バイデン政権の外交姿勢は結果的に米経済にとってのリスク要因に

NYダウ 34678.35(▲1.56%)[34,677~35,201]
S&P500 4530.41(▲1.57%)[4,530~4,603]
NASDAQ 14220.52(▲1.54%)[14,217~14,456]
ダウ輸送株 16283.0(▲1.59%)[16,283~16,634]
半導体SOX 3429.0(▲2.27%)[3,427~3,523]
日経平均先物(CME) 27,535(▲0.86%)[27,525~28,095]
ドル/円 121.28~122.45
米10年債利回り 2.345%(高値2.557%:3/28、安値1.668%:3/7)
WTI原油 101.22(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1936.50(高値2,078:3/8)
銅先物 4.7302(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)20.56(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 51
High Yield Bond (HYG)82.29(安値79.97:3/14)

31日の米国市場は懸案のウクライナ停戦交渉の行方を見守りつつ、バイデン政権が戦略石油備蓄の大規模放出を発表したことで原油市場が急落、さらにバイデン政権は対ロシア制裁でハイテク部門を対象に含めた追加措置を行うと発表しました。株式市場ではロシアとウクライナの和平交渉をめぐり楽観的な見方で上昇してきた経緯があるため、交渉進展を待つ前にロシア追加制裁を発表したバイデン政権の対応を嫌気して期待が後退したと言ってもよいでしょう。

 主要11セクター全てが下落して全面安商状、中でもダウ主要銘柄ではJPモルガン▲3%安、インテル▲3.6%安で金融株、半導体関連株の下落を象徴しました。ナスダック主要銘柄でもアドバンスト・マイクロ・デバイセズ▲8.3%安と半導体株の軟調が目立ちました。また、アリババやバイドゥといった中国株の急落も目を引きますが、ウクライナ情勢の緊張緩和の兆しから今度は何か米中関係の緊張が高まることを示唆しているかのようです。

 日米市場ともに四半期末のポジション調整にからんだリバランス取引の影響も大きいとみられますが、それは債券市場でも同様で米金利は2年-10年債の利回りが逆転する逆イールドが発生していましたが、10年債の需要が高まったことで解消に向かいました。金融機関のアナリストの中では今回の逆イールド現象を懸念する必要は無いとする見方を示すものもあるようですが、継続監視が必要な部分かと思います。

 米国ではバイデン政権がガソリン価格抑制で戦略石油備蓄の放出を決定しましたが、経済指標からも深刻化が懸念されるインフレがより進行しているとみられ、もう少し早く決断できたのではないかとも思います。その一方で、対ロシア制裁をさらに強化する動きをみせていることから、ロシア敵視の外交重視で内政が後手に回る姿勢が続くようですと、今回の半導体製品を制裁対象に含めた措置がむしろ米国の半導体産業にとっては逆風のブーメランとなって返ってきてしまう恐れも出てきそうです。

【日本株投資戦略】
日米株価は上昇基調の中で小休止、主力株が踊り場を迎える中で中小型株の躍進が続きそう

 31日の株式市場は日米ともに直近の力強い上昇の動きが一転して利益確定売りに押される動きとなりました。短期的な上昇トレンドが崩れるほどでは無いため、すぐさまリスクオフになりそうな気配はありませんので、押し目形成から年度替わりの買いでもう一回くらいは上値を試す動きがみられることと思います。

 ただ、足元ではロシアによるウクライナ侵攻前の株価水準まですでに舞い戻ってきており、今回のウクライナ危機が収束したからと言って世界経済がさらに成長するわけではなく、むしろ事態は危機前よりも悪化していることは明白です。よって、もう一段の上値を試す動きが出てきたとしても積極的に上値を買い進むことはオススメできませんので、今回押し目買いに動くにしても取り組みは短期に的を絞って深追いしないように注意した方がよいでしょう。

 本日は日銀短観の発表や米国では3月雇用統計の発表などが予定されていますので、株式市場よりも為替の動向がむしろ気になるところです。米ドルの上昇基調は米FRBの利上げ姿勢が鮮明である以上は変わることはないとみられる一方で、ウクライナ危機で有事のドル買いで嵩上げされた分は一旦剥落してくるとみられるほか、別角度からのリスクオフ要因が発生した場合にはドル円はやはりリスクオフ時の円高が復活するとみておくべきです。日米の経済ファンダメンタルを確認してドル高進行が一服しているようであれば、やはり次の局面としてのリスク発生を想定しておく必要があるかもしれません。

 日本株においても為替円安を手掛かりに買い進まれてきた自動車株の上昇に一服感が出れば、銀行株などと一緒で時価総額が大きいですから当然TOPIXなどの上値も重くなりやすくなります。市場の上値が重くなり始めると資金をそこまで使わなくとも小さいエネルギーで上がりやすい中小型株が選考されやすくなることも今のマーケットですでにその兆候を感じ取ることができます。

いずれにしても短期的な立ち回りでパフォーマンスを追い求めるかどうかで投資スタンスは変わってくるかと思います。中小型株が好きな方は今が稼ぎどころかもしれませんが、長くは続かない相場と割り切って短期勝負に徹した取り組みを心がけるのがよいでしょう。

スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。