【3/25日本市場の確認ポイント】
日経平均 28149.84(+0.14%)[27,946~28,338]
TOPIX 1981.47(▲0.00%)[1,972~1,994]
東証2部 7273.52(+0.25%)[7,239~7,291]
JASDAQ 3658.93(+0.29%)[3,647~3,668]
マザーズ 761.18(▲0.21%)[752~770]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.21%)
2.農林・水産(+1.08%)
3.その他製品(+1.06%)
4.医薬品(+1.06%)
5.非鉄金属(+0.93%)
値下がりセクターTOP5
1.保険(▲2.07%)
2.紙・パルプ(▲0.89%)
3.情報・通信(▲0.74%)
4.その他金融(▲0.64%)
5.銀行(▲0.56%)
25日の日本市場は前週からの力強い上昇基調が続いて9連騰、日経平均は前日の27,600円水準の下値テストやこの日も朝高後から一時28,000円を割れる場面がみられるなどしたものの、下値では押し目買いが入り28,000円台に乗せて引けました。
所々で軟化する場面がみられることは上昇一服感から利益確定売りが出やすくなっていることを示唆していますが、昨年9月時のような政策期待で短期間に棒上げした相場の再来といった展開も考えられます。
直近で売り込まれていた海運大手3社の切り返しやウクライナ危機がむしろ買い材料となっている三菱重工(7011)や三菱商事(8058)、住友鉱山(5713)、日本製鉄(5401)などが上値を試している様子などから他の景気敏感株にもプラスの影響が波及していくかが見どころになっています。
一方で、足元の相場急伸を演出したソフトバンクG(9984)やソニーG(6758)の上値がやや重くなってきた模様で、KDDI(9433)や東京海上HD(8766)など高配当銘柄も権利付き最終日を前に利益確定売りに押され始めたとみられます。あるいは権利取りの現物株に対して配当落ちをヘッジする意味で空売り活用のフローが多いのかもしれません。
【米国株概況】
米金利上昇がさらに加速、ウクライナ情勢はロシアの特別軍事作戦①が完了したところで場外戦へ、原油と米ドルの動向に注目
NYダウ 34861.24(+0.44%)[34,631~34,942]
S&P500 4543.06(+0.51%)[4,501~4,546]
NASDAQ 14169.30(▲0.16%)[14,010~14,218]
ダウ輸送株 16386.1(+0.35%)[16,150~16,391]
半導体SOX 3525.3(▲0.21%)[3,467~3,535]
日経平均先物(CME) 28,045(+0.48%)[27,705~28,115]
ドル/円 121.19~122.42
米10年債利回り 2.488%(高値2.503%:3/23、安値1.668%:3/7)
WTI原油 112.58(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1954.20(高値2,078:3/8)
銅先物 4.6985(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)20.81(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 46
High Yield Bond (HYG)81.32(安値79.97:3/14)
25日の米国市場はサウジアラビアの石油関連施設に対するミサイル攻撃が報じられ原油先物が再び上昇、米FRBがインフレ抑制に対する姿勢をより強めるとの観測から米金利が上昇してドル高基調を支援しました。
米10年債利回りは2019年5月以来、約3年ぶりとなる2.50%を上回り高値を更新、2年-10年の利回り格差は18.5bp、5年-30年の利回り格差は1.32bpのところにまで迫ったことが市場関係者の注目を集めています。
株式市場では原油高をうけた石油関連株、金利高をうけた金融株が上昇、景気敏感株が相対的に強含んだ一方で、ハイテク株は前日の大幅高の反動から売りに押されて反落するものが散見され、全体ではまちまちの動きとなっています。とはいえ主要株式指数は2週続伸で投資家のセンチメントは改善しており、リスク指標ではVIX指数がいよいよ20ポイント台まで低下、F&G指数も46ポイントまで改善してきています。
ロシア国防省はウクライナにおける「特別軍事作戦」の第一段階はほぼ完了したとして、ウクライナ東部ドンバス地域の完全「解放」に焦点を当てると表明していることから、ウクライナ情勢は当面の間膠着しやすい状況とみられます。よって、ここからしばらくは場外乱闘に移行すると考えられ、原油市場をめぐりサウジアラビアやイラン、イスラエル、シリアといった中東情勢に目が向けられるものと思われます。
とくに石油と関係が深い米ドルのゆくえが焦点になってくる中で、ロシアや中国、インドなどは米ドル建ての国際石油取引の枠組みから外れつつあり、米ドルの国際基軸通貨としての地位低下が為替市場に及ぼす影響を注視していく必要があるでしょう。この辺りの関係性について詳しく知りたい方は『まねまねコラム~お金の歴史とルール~』をいま一度読み直してみていただくとよいかと思います。
【日本株投資戦略】
政策がらみの市場棒上げは昨年9月以来、ウクライナ情勢に緊張緩和の兆しが出るところが売り場となる可能性
日本株は高値圏での陰線を引いたものの9連騰で日経平均28,000円の節目は維持して前週の取引きを終えました。今年1月以来で約2か月ぶりとなる大台乗せで達成感も出やすいところですが、注目されるのは前回の投資戦略で指摘した一連の底入れから買い上がってきた投資主体が誰なのかというところです。
前週末に3月第3週の投資部門別売買状況が公表されていますが、証券自己売買部門が前週(3/7~3/11)に続いて圧倒的に買い越しでした。もう一方の市場パフォーマンスを左右する海外投資家は売り越し、個人は2月末以来の底値圏を形成するとこから逆張りで買い向かった分を利益確定させたといったところでしょうか。
ただし、足元の市場を見ますとこれも前回指摘しましたように政府の経済対策期待で上昇に弾みがついた昨年9月の棒上げした相場を想起させるものと近しい気がしています。新内閣誕生への期待から株価は上昇し、岸田政権発足とともに天井を形成し、その後は岸田ショックなどと投資家に揶揄されながら市場低迷の時期を辿りました。
この時も証券自己部門は大幅に買い越しており、7,000億円級の買い越しが3週連続で続いた後に徐々に売り越しに転じました。その後、大きく売り抜けたのは10月第2週と12月第1週です。もし今回も政策がらみで同じようなフローがみられるとするならば、おそらく3月第4週(3/22~3/25)も大幅買い越しでこれが3週目にあたり、4月上旬に大きく売り越してくる可能性があるかもしれません。
あくまでも市場需給面からの一側面でしかないかもしれませんが、今回は海外勢が上昇の波に乗ってきていない以上、買い手が尽きた後にどうなるかが最大の関心事です。今週は配当取りおよび権利落ちに絡んで商いが膨らみやすいほか、年度末のドレッシングやファンドリバランス、そして年度替わりに伴いニューマネーの流入で投信の新規設定など需給面が市場に与える影響が濃くでやすい時期でもあります。
おそらくウクライナ情勢も上記の米国株概況で少しふれましたように、本筋からそれたところで憶測報道やフェイクニュースなどが飛び交い、市場のノイズが増えてくるところでもあるでしょう。よって、市場の地合いに違和感が出始めたら直ちにポジションを整理して、次のボラティリティが高まる局面に備えておくようにした方がよいでしょう。
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