【3/24日本市場の確認ポイント】
日経平均 28110.39(+0.25%)[27,624~28,110]
TOPIX 1981.56(+0.14%)[1,952~1,981]
東証2部 7255.24(+0.05%)[7,205~7,258]
JASDAQ 3648.18(+0.38%)[3,618~3,648]
マザーズ 762.75(+1.33%)[739~763]
値上がりセクターTOP5
1.非鉄金属(+2.07%)
2.鉱業(+1.87%)
3.輸送用機器(+1.55%)
4.ゴム(+0.92%)
5.サービス(+0.91%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲7.54%)
2.建設(▲1.19%)
3.不動産(▲1.08%)
4.証券・商品先物(▲1.00%)
5.小売(▲0.91%)
24日の日本市場は米国株安をうけた朝安後から切り返してプラス圏浮上、引け前には一段と強含む動きでほぼ高値引けとなりました。23日に政府が来週にも物価高対応として経済対策の策定に乗り出すとの観測から、前日からの腰が入った買い継続で日経平均は8連騰を達成しました。
朝方は原油高をうけた石油関連株やニッケル高をうけた非鉄金属株、自社株買い発表のトヨタ(7203)などを除いて全般に売られてスタートしましたが、東京エレクトロン(8035)など半導体関連や自動車関連など次々に切り返しを見せ、セクター別には海運・鉱業以外がほぼ高値引けとなりました。
海運株は大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)のコンテナ船事業統合会社ONEの事業説明から先行き不透明感を嫌気する向きや高い配当利回りの権利落ち後の株安を敬遠して手仕舞い売りが嵩んだとの見方がなされています。足元では3月末の配当取りに向けた動きが強まっており、高配当銘柄の中には新高値を更新して物色人気化しているものも多く、強気相場の象徴的存在だった海運株の大幅安が他の銘柄にも需給思惑が波及することがないか権利付き最終日を迎えるまで要注視と言えそうです。
◆ONE、コンテナ船に1.2兆円超投資 30年度まで(2022/3/23)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC228I10S2A320C2000000/
◆日本郵船など海運3社が続落、権利落ち後の株価下落を意識(2022/3/24)
https://shikiho.jp/news/0/541389
【米国株概況】
景気後退をめぐる先行き懸念は一旦横におかれ足元の米国景気の堅調さ確認で株高・ドル高に、原油安も支援材料
NYダウ 34707.94(+1.02%)[34,355~34,713]
S&P500 4520.16(+1.43%)[4,465~4,520]
NASDAQ 14191.84(+1.93%)[13,897~14,193]
ダウ輸送株 16329.4(+0.71%)[16,220~16,350]
半導体SOX 3532.7(+5.13%)[3,384~3,533]
日経平均先物(CME) 28,100(+0.95%)[27,410~28,135]
ドル/円 120.94~122.40
米10年債利回り 2.370%(高値2.417%:3/23、安値1.668%:3/7)
WTI原油 111.07(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1959.35(高値2,078:3/8)
銅先物 4.7252(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)21.67(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 46
High Yield Bond (HYG)81.91(安値79.97:3/14)
24日の米国市場は新規失業保険申請件数が1969年以来52年半ぶりの低水準となり、労働市場の堅調さ及び賃金インフレの上昇が続く可能性を確認したことをうけて反発、米FRBがインフレ抑制に向けタカ派的に対応するとの見方が後押しされ為替ドルも上昇しました。
多くの銘柄が前日の下げ分を取り戻す動きの中、先日の欧州への大規模な投資発表から好材料が続くインテルが+7%近く上昇したほか、これの委託に関心を示したエヌビディアも+10%近い急伸となり、半導体SOX指数は+5%超の大幅高となりました。
前日に過度なインフレやウクライナ危機を端緒に欧米経済のリセッション(景気後退)を警戒して下落したことをふまえますと、景気への影響は先々の話で足元では依然として景気が強いことをより重要視した格好と言えます。
リスク指標は引き続き改善傾向を示しており、投資家の不安心理を示すVIX指数は21.67ポイントまで低下、F&G指数も強弱感がほぼ中立の46ポイントまで改善してきました。ただし、債券市場では5年-10年、7年-10年の中期債と長期債の逆イールドは続いたままで、市場では徐々に不況時の株高シナリオも意識し始めている可能性があると言えそうです。
バイデン米大統領は今まさに訪欧中でG7・NATO・EU首脳会合といったウクライナ情勢をめぐる国際的な議論の中で米国のこれまでの立場をより強調する姿勢を示すとみられます。一方でロシア側も対ロ制裁に加わる非友好国に対して報復措置を講じるなどしており、せっかく訪欧しているのであればウクライナ訪問もスケジュールに加えながらトップ会談で話をつけてほしいものです。ウクライナ問題の根深さを考えると市場での一旦棚上げの見方とは別のところで危機自体はまだしばらく長引きそうです。
【日本株投資戦略】
政府の追加経済対策期待でさらに底上げされた株高基調、底堅さの背後にいる投資主体を確認
日本株は23日の日経平均+800円高の急伸に続いて、24日も朝方の▲400円安から切り返して500円幅での上昇となり、単なる底入れからの反発以上の底堅さを見せました。3連休明け後の急伸は売り方の買戻しを誘うためのショートスクイーズを含んだ急騰であったとみられますが、とくに23日、24日の安値27,600円付近から買い上がる様子は異様なまでに底堅い動きであると言えます。
22日の年度予算成立(過去最大107.5兆円規模)から一夜明けた翌23日に政府が早々に追加経済対策を打ち出す観測が浮上、昨日には具体的に来週29日にも閣議する方向で調整に入ったと報じられました。内容はウクライナ情勢を受けた原油高、物価高騰および新型コロナウイルス対応とし、昨年の新型コロナ対策予備費を財源として見込みつつ10兆円規模での補正予算案を検討している模様です。
昨年も巨額の経済対策を打ち出しましたが、政府試算ほどには景気浮揚効果は感じられず、岸田政権としては財政政策の効果は前面に出てくるまでに時間差が生じるため、なんとか夏の参院選前に間に合うようにするためにはこのタイミングで早急に着手する必要があったものとみられます。
ウクライナ情勢はじめ欧米経済のリセッション(景気後退)懸念も浮上し始めている中、日本においても欧米に追従して対ロシア制裁に加わるなど、自傷行為とも言える外交政策を展開している以上はロシアからの報復で、とくにエネルギー分野などは無傷では済まされない状況になることは避けられないと言えます。今回の経済対策規模が市場の期待に沿った形で景気下支え効果というよりも景気を押し上げるものとなればよいですが、もし期待外れのものとなればハシゴ外しとなりかねません。参院選を意識するのであれば気前よく大風呂敷を広げることも辞さない構えであろうかと思われますので、29日以降の発表を期待したいところでしょう。
ちょうどこの日柄のところでは配当の権利付き最終、権利落ちが市場の需給に影響を及ぼすところですので、足元で買い上がっている投資主体が誰なのか、少なくとも個人投資家ではないと思われます。海外勢かあるいは年金ファンドなど大口の投資主体が動いている可能性が濃厚ですから、本日引け後に東証から発表される『投資部門別売買状況』にも必ず目を通しておくようにした方がよいでしょう。
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