【3/22日本市場の確認ポイント】
日経平均 27224.11(+1.48%)[27,076~27,284]
TOPIX 1933.74(+1.28%)[1,922~1,936]
東証2部 7202.55(+0.28%)[7,191~7,223]
JASDAQ 3600.21(+0.03%)[3,598~3,613]
マザーズ 725.96(▲1.92%)[722~743]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+8.21%)
2.保険(+4.73%)
3.卸売(+3.86%)
4.銀行(+3.33%)
5.石油・石炭(+3.22%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲0.99%)
2.食料品(▲0.59%)
3.空運(▲0.59%)
4.金属製品(▲0.57%)
5.小売(▲0.38%)
22日の日本市場は前週のインフレ適応トレードがより活発となり、原油高・金利上昇といった環境下で上値を伸ばした銘柄が一段高しました。東証1部の騰落銘柄数は値上がり1144/値下がり954と値上がりが優勢で、為替円安を手がかりに自動車や機械といった外需株も見直されました。
とくに上昇が目立ったのは石油関連株や商社株、さらにパウエル米FRB議長の発言から米国金利上昇をうけた金融株も騰勢を強めて新高値銘柄に名を連ねました。一方で、先導役の半導体株や海運株は上昇一服し、マザーズの新興株も寄付天井で利益確定売りに押される銘柄が目立ちました。
前週の急反発で25日移動平均線を勢いよく突破した日経平均は、一気に75日移動平均線を窺う動きが強まり、TOPIXはいち早くこれをクリアしています。昨年から下落トレンドを形成しているレジスタンスラインが迫っており、リスクフリー相場がこのまま継続するか、あるいは梯子外しで急落場面が訪れるかの分岐点に差し掛かっています。
【米国株概況】
◎米金利上昇で債券市場は景気後退シグナルの逆イールド発生、一方でリスク指標は改善傾向で金利高と株高が同居するインフレ環境が鮮明に
NYダウ 34807.46(+0.74%)[34,583~34,882]
S&P500 4511.61(+1.13%)[4,469~4,522]
NASDAQ 14108.82(+1.95%)[13,857~14,141]
ダウ輸送株 16513.6(+0.87%)[16,391~16,602]
半導体SOX 3445.9(+0.66%)[3,417~3,485]
日経平均先物(CME) 27,420(+0.72%)[26,885~27,495]
ドル/円 119.43~121.03
米10年債利回り 2.381%(高値2.388%:3/22、安値1.668%:3/7)
WTI原油 108.75(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1921.35(高値2,078:3/8)
銅先物 4.7105(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)22.94(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 43
High Yield Bond (HYG)82.00(安値79.97:3/14)
22日の米国市場はパウエル米FRB議長のタカ派発言を受けたドル高に一服感も出始めた中で主要株価指数はそろって反発、金利上昇を受けた金融株が買われたほかハイテクグロース株にも見直し買いが強まりました。
足元で急反発を見せていた原油高もロシア産原油禁輸に向けた観測が後退して石油関連株の上昇は一服した一方、GAFAやテスラといった時価総額の大きいハイテク株が軒並み強く反発しています。米国の金利高と株高が同居するインフレトレードがより鮮明になったかたちです。
リスク指標は改善傾向を示しVIX指数は22ポイント台まで低下、F&G指数も43ポイントまで改善してきています。ハイイールド債にはJPモルガンのマイケルCIOが強気の見方を示すなどリスクテイクする動きがみられ始め、投資家のセンチメント改善が顕著になってきました。
◆今こそリスクテークとJPモルガンCIO-バリュエーションは魅力的(2022/3/22)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-22/R94B8AT0G1KW01?srnd=cojp-v2
ただし、足元の株価上昇によって国民の経済事情は幾分かの改善が見込める一方で、その恩恵は民主党議員のようなエスタブリッシュメント層に注がれ、それ以上にインフレが深刻化してきている米国では低所得層の生活が打撃を受けている現状、ローン延滞率の上昇などにも警戒が必要になってくるでしょう。
ウクライナ侵攻をめぐり対ロシア制裁の強化に邁進するバイデン政権ですが、支持率は就任後最低を更新し、米国経済の舵取りに対する国民の不満が表面化するなど戦争経済にのめり込む姿勢がかえって命取りになってしまっています。外の敵に目を向けさせるのは米民主党やエスタブリッシュメントにとっては常套手段ですが、このまま失政が続くようだとバイデン政権の高転びがバイデン・ショックという形で市場も牙を向いてくる可能性が高まります。
◆バイデン米大統領、支持率40%と最低更新=ロイター/イプソス調査(2022/3/23)
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-approval-idJPKCN2LJ2F8
【日本株投資戦略】
◎大きな決断が下される3日間の正念場、ジェットコースター相場を果敢に乗りこなす覚悟で
日本は3連休明けでしたが海外市場の一段高で好感し、日経平均は6日続伸となりました。連休中にパウエル米FRB議長のタカ派発言をうけた米国金利上昇やロシアによるウクライナへの降伏勧告をゼレンスキー宇大統領が拒否するなど、以前なら嫌気されたであろう悪材料も意に介さず上値を試す動きが継続しました。
対ロシア制裁で欧米と歩調を合わせる岸田政権の動きに対し、ロシアが反発して平和条約交渉が打ち切られるなど今後のエネルギー、安全保障政策に不安がよぎる中、足元で再び上昇加速の原油高と為替市場における円売りで、日本も輸入物価上昇が避けられず欧州勢と同様にインフレ圧力にさらされることとなりました。金融市場では株高の支援材料と受け止められながらも国民の消費には大きな打撃となり、生活防衛の意識が強まる要因となりそうです。
さらに原油・LNG価格上昇が示すエネルギー需給逼迫と先の震災による後遺症から電力需給も逼迫を余儀なくされました。東京電力・東北電力管内では節電要請が出されるなどコロナ対策に続く行動制限に加え、インフラコストの上昇は企業活動および日常生活を圧迫することから景気下押しの材料が追加提供されたことになります。今後じわじわと影響が広がることが予想される中で、原発再稼働への世論形成も本格化してくるものと考えられます。
◆原発再稼働「真剣に考えるべき」 十倉経団連会長(2022/3/22)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA227350S2A320C2000000/
緊迫化が伝えられているウクライナ情勢を巡っては、欧米勢による対ロ制裁強化の動きに反してロシア-ウクライナ間の交渉では仲介役として国連や国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)など国際機関だけでなくローマ法王、さらにロシア正教会のキリル総主教までも表舞台で動きを見せ始めたことにより、足元では一旦棚上げされる方向に動くとともに今後の泥沼化していく未来さえも明白となってきました。バイデン米大統領の訪欧日程が控える本日から3日間がウクライナ情勢においてもマーケットにおいても重要な局面になると言えるでしょう。
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