【3/15日本市場の確認ポイント】
日経平均 25346.48(+0.15%)[25,219~25,441]
TOPIX 1826.63(+0.79%)[1,810~1,834]
東証2部 7019.98(+0.24%)[6,996~7,026]
JASDAQ 3506.87(+0.22%)[3,499~3,511]
マザーズ 667.47(▲0.39%)[653~670]
値上がりセクターTOP5
1.保険(+2.80%)
2.空運(+2.37%)
3.電気・ガス(+2.17%)
4.食料品(+1.99%)
5.輸送用機器(+1.98%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲6.58%)
2.非鉄金属(▲4.74%)
3.石油・石炭(▲2.95%)
4.海運(▲2.18%)
5.鉄鋼(▲2.04%)
15日の日本市場は東証1部の騰落銘柄数が値上がり1761/値下がり373と買い優勢、米国市場が債券の金利上昇を背景にグロース株中心に軟調さが目立っていましたが、これに引っ張られる様子はありませんでした。為替が米国金利上昇で大きくドル高に振れており、足元のウクライナ危機で売り込まれていた自動車株などにとっては反発材料となっています。
長期金利上昇を手がかりに金融株が買われたほか、政府のコロナ規制解除に向けた動きを受けて経済活動正常化への期待が高まり空運株が上昇しました。一方で、ウクライナ侵攻でより一層のインフレ懸念が強まっていた原油価格および金属価格の高騰を背景に買われ続けてきた石油関連株や市況関連株が大幅安となりました。また、中国の新型コロナウイルス感染拡大で主要都市がロックダウン(都市封鎖)されたことをうけて中国市場が大崩れしている状況を横目にファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)などの大幅下落が日経平均の上値を抑える要因となりました。
米国市場での金利上昇や中国市場における香港株・深セン株の大幅安など本来ならば嫌気されて本国以上に売られがちな日本市場がしっかりとした動きをみせた意味合いは大きいと言えそうです。マザーズ市場も米国市場のグロース株売りに引っ張られることなく、小幅安にとどまったことは売り枯れの状況を反映しているものとみてよいかと思われます。
【米国株概況】
米金利高止まりの中でハイテク株中心に買戻しの動き、原油価格は100ドル割れからさらに急落で一時93ドル台、リスク指標はわずかに改善の兆し
NYダウ 33544.34(+1.81%)[32,989~33,620]
S&P500 4262.45(+2.14%)[4,187~4,271]
NASDAQ 12948.62(+2.92%)[12,616~12,973]
ダウ輸送株 15519.1(+2.56%)[15,257~15,528]
半導体SOX 3180.2(+4.36%)[3,057~3,186]
日経平均先物(CME) 25,375(+0.98%)[24,840~25,475]
ドル/円 117.73~118.44
米10年債利回り 2.149%(高値2.163%:3/15、安値1.668%:3/7)
WTI原油 95.13(高値130.50:3/7、安値93.56:3/15)
金先物 1919.35(高値2078:3/8)
銅先物 4.5030(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)29.83(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 19
High Yield Bond (HYG)80.57(2020年5月来安値更新)
15日の米国市場は原油価格の大幅安でインフレ懸念が緩和したことに加え、今晩の米FOMC結果公表前に売り込んできたハイテク株などを買い戻す動きが強まり、NYダウは600ドル近く上昇、S&P500は+2%超、ナスダックは+3%弱の大幅反発となりました。
債券市場では足元での金利上昇がやや一服、為替市場ではドル円が118円台に乗せており、特段の株高につながる材料や基調に変化は見られないものの、米FOMCや今週末のクアドラプルウィッチングといったイベント前で売りポジションを手仕舞いして買い戻すといったフローが生じているのかもしれません。もっと穿った見方をすれば、ウクライナ危機の収束が近いとの情報を嗅ぎ取った消息筋から戦争相場からの巻き戻しを急いだのかもしれません。
前回の米国株概況でもすでに解説済みのとおり、米国市場の命運は債券市場における逆イールド発生の如何によって、つまり景気後退に陥るシグナルが発せられるかどうかにかかっているとみられます。
バイデン米政権が元から支援する気のない他国干渉を続けるよりも自国経済の高転びをいかに回避できるかに腐心すべき状況である中、来週24日にNATOで緊急首脳会談が予定されることとなりました。ここでウクライナ危機を一旦収束へと向かわせつつ、米議会を説得して米国経済の内需振興策に予算を振り向けるといった政策を採用できれば市場期待を再び高めることができることでしょう。リスク指標もVIX、F&G、ジャンク債いずれも警戒領域ですが、若干の改善傾向がみられており、24日以降で明確に底入れを確認済みとなるかが焦点です。
今年は年初から一貫して下落基調が続いていますので、米国民にとっても足元のインフレで家計が圧迫されている中、このまま株価も浮上させることができないとなれば、米国民の不満はバイデン政権の支持率低下に直結していきます。ウクライナ危機で外に向けられている視線が米中間選挙で内向きに変わった時に、バイデン政権がインフレも景気悪化も全てプーチン露大統領のせいだと言っても米国民は到底納得できないばかりか、それこそウクライナ内戦のように再び大きな分断を招くことになるかもしれません。
【日本株投資戦略】
今週の米FOMCおよび米メジャーSQを通過し、ウクライナ危機が棚上げされれば目先はリスクフリーの年度末ラリーに
足元で日本株はウクライナ有事で売られた銘柄の多くが底入れから反発に転じてきており、上記の3/15日本市場の確認ポイントで示したとおり、為替のドル高円安をうけて自動車株なども反発をしました。それとは反対にウクライナ有事で買われてきた資源株や海運株などに売りが目立つようになってきており、残すは軍需関連株などが値を保っている状況とみられます。
一般のメディアではまさに今がウクライナ危機さらには核戦争突入の懸念も!?と煽り立てられていますが、マーケット的にはニュースバリューが落ちるとともに市場感応度も下がり、材料物色にも賞味期限切れの様子が窺えます。
なぜか戦時下にあるウクライナのゼレンスキー大統領がイギリスやカナダ、米国などの議会でオンライン演説をして支援を訴え、議会では拍手が鳴りやまなかったそうで、日本の国会ででも演説を打診しているとのことです。週刊誌などではロシアのプーチン大統領をかつてのヒトラーと揶揄していますが、元芸能人で愛国心を煽る演説がうまいゼレンスキー大統領の方が資質としては近いものがありそうです。
ウクライナ危機に関しては市場における材料出尽くし感が出始めてきたところですが、その前に待ち受けているのが今晩の米FOMC後のパウエルFRB議長会見と週末のクアドラプルウィッチングすなわち米国版メジャーSQです。おそらく昨晩の米国市場で底入れしたとの見方でよいかと思われますが、ウクライナ情勢の停戦あるいは一気に首都キエフ陥落までいって決着をみるまでは本格リバーサルの形には発展していきづらいと思われます。
各種イベントを通過して来週の彼岸底アノマリーを乗り越えることができれば、前回申し上げたように年度末の配当取りの動きや商品市場でたんまり儲けたヘッジファンド、政府系ファンド、あるいは先日の日経新聞にも取り上げられたような10兆円大学ファンドなども動き出してくるかもしれません。年度末ラリーはウクライナ危機の重しが取れれば案外大きく反発する可能性もありそうです。
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