【3/11日本市場の確認ポイント】
日経平均 25162.78(▲2.05%)[24,966~25,503]
TOPIX  1799.54(▲1.67%)[1,788~1,814]
東証2部  6973.86(+0.19%)[6931~6,974]
JASDAQ  3487.81(▲0.31%)[3,475~3,495]
マザーズ  670.08(▲3.79%)[661~688]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+3.31%)
2.石油・石炭(+1.26%)
3.鉄鋼(+1.01%)
4.海運(+0.72%)
5.農林・水産(+0.67%)

値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲3.54%)
2.精密機器(▲3.45%)
3.電気機器(▲2.93%)
4.化学(▲2.40%)
5.サービス(▲2.36%)

 11日の日本市場は前日の大幅高から朝方のメジャーSQ算出で25457.94で清算された後、ズルズルと下げ幅を拡大させる動きとなりました。日経平均は再び25,000円を割り込むなど一貫して売りに押される展開でしたが、引けにかけては若干買い戻されて5日移動平均線を辛うじて上回りました。

 日経平均の25,000円、TOPIXの1,800ポイントは節目として意識されている模様で、これらを基準に足元における下値波乱が展開されていますが、セクター別には明暗がくっきりと分かれており、この日上昇した海運を筆頭に、鉱業、石油・石炭、商社などのエネルギー関連、倉庫・運輸など物流関連、やや足元で軟化が目立った鉄鋼や非鉄金属など金属資源関連あたりの上位セクターが比較的堅調で、他はバリュー系の景気敏感株含め総じて弱い動きと二極化が鮮明になっています。

 2月末のロシアによるウクライナ侵攻時につけた安値トライで二番底を探る動きの中、3月メジャーSQ算出後にザラ場中はこれを上回ることが無かった「幻のSQ」となったことで、先行きへの警戒感が強まっています。底割れの懸念が残るマザーズはじめ、グロース系は半導体や情報・通信などのハイテク株、医薬品などのディフェンシブ株問わず下値模索の展開が続いており、全体の底打ち期待が出てくるのはこれらがどの水準で下げ止まるかにかかっていると言えます。

【米国株概況】
もはやウクライナ危機どころではない米国景気後退への懸念、注目度が高い3月FOMCで一時的な株価押し上げは可能だが米国経済崩壊は避けられない状況に

NYダウ 32944.19(▲0.69%)[32,911~33,515]
S&P500  4204.31(▲1.30%)[4,200~4,291]
NASDAQ 12843.81(▲2.18%)[12,830~13,239]
ダウ輸送株 15233.0(▲0.58%)[15,221~15,523]
半導体SOX 3144.1(▲2.08%)[3,139~3,266]
日経平均先物(CME) 24,905(▲0.74%)[24,720~25,510]
ドル/円 116.12~117.35
米10年債利回り 1.997%(高値2.065%:2/16、安値1.668%:3/7)
WTI原油 109.20(高値130.50:3/7、安値103.63:3/9)
金先物 1992.25(高値2078:3/8)
銅先物 4.6100(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)30.75(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 14
High Yield Bond (HYG)80.93(2020年5月来安値更新)

 11日の米国市場はロシア-ウクライナ間での停戦合意への期待で上値を試す動きがみられつつも、ロシアによる特別軍事作戦は継続中であるほか、バイデン米政権が対ロシア制裁を強化し貿易面に踏み込んだ最恵国待遇の除外などを発表したことなどが重しとなり続落しました。
 また、直近で米雇用統計やCPIなど強い経済指標が続いていた一方で、3月ミシガン大消費者信頼感指数速報値が2011年9月以来の水準に悪化したことをうけて消費者心理は急速に冷え込んでいる実態が浮き彫りとなったことなども米国経済の先行きに暗い影を落とすこととなりました。ロシア依存が欧米諸国と比べて低いとはいえ、エネルギー価格や住宅価格の高騰による米国経済への打撃は大きく、初めのうちは駆け込み需要などでカバーできるとしてもいずれその反動が出てくることとなります。

 さらに、米国経済の先行きをめぐっては足元における金利上昇が短期債だけでなく中期債にまで及ぶこととなっており、5年債-10年債のスプレッドは急速に縮小して「逆イールド」発生の懸念が強まっています。この「逆イールド」現象は将来の景気後退のシグナルともされており、足元では金利上昇によるドル高で輸入物価の上昇が幾分和らぐとしても、今後インフレ高進の継続が見込まれる環境下において、対ロ制裁強化は米国経済を犠牲にする諸刃の剣となることは明らかです。

 バイデン米政権および西側諸国が対ロシア制裁を強めれば強めるほど世界の経済システムが瓦解していくことは避けられない状況の中、株式市場ではファンダメンタルが下支えすることになる一方で、そのファンダメンタルの根本部分が毀損してしまう可能性が出ている今後は底割れした場合の下値目安を探るには2020年のコロナショック時まで遡らなくてはいけなくなります。今週は3月FOMCがありますが中央銀行がここで緩和策を打ち出すことなど到底考えられず政策手段は限られたものである以上、少なくとも利上げ幅を極小化して時間稼ぎしてショック安を先送りする程度のものにしかなり得ないでしょう。

【日本株投資戦略】
いよいよ今週ヤマ場を迎える世界情勢、対外依存度の高い日本経済の先行きにも警戒感強まる中で株式市場は目先の底入れ時期が近づく

 日本市場のこれからは自壊し始めたグローバリズムの是正が進んでいく中、足元における為替の円安ドル高の環境下で対外依存をいかに減らして内需主導型経済にうまく切り替えられるかどうかにかかっています。とくに食糧やエネルギー自給率が低い日本の経済構造は脆く、産業構造も外需依存で為替円安が足元の業績を潤すとしても経済全体での落ち込みはそれ以上となります。

 未だハッキリとした経済成長戦略を打ち出せていない岸田政権がこのまま有効な政策(消費税減税、エレルギー自給率引き上げなど)を取らずに今までのような欧米追従路線を続ければ日本経済も深刻な打撃に見舞われかねないでしょう。金融政策、財政政策での景気浮揚効果がいよいよ切れて次なる一手が見込めないとなれば、欧米経済の崩壊に巻き込まれて日本市場も2020年コロナショック以来の正念場を迎えることとなるでしょう。

 中期トレンドは元より来週の彼岸底アノマリーを目安とした下落トレンドの真っ最中ではありますが、2月末のウクライナ危機によってある程度の下値メドは見えている現状です。仮に二番底形成の過程で一時的な底割れを演出されるにしても、期末の企業業績ドレッシング、市場内では配当取りの動きが強まり、来週の底入れ観測は見事当てはまりそうです。

 となれば、あとは銘柄選びだけが難しいところで、基本的には上記で解説したように外需系の徹底的に売り込まれた戻りを取りに行くか、あるいは内需型経済への転換を見越して景気敏感株を避けるのか投資戦略が分かれるところです。あくまで短期的な立ち回りを手堅く行いたいのであれば3/11市場のポイントで示した需給面で良好なバリュー系セクターを押し目買いするかといった選択肢になります。

 今週末の市場変化日と前後して再び急騰局面が訪れるかもしれませんが、そこで利益確定をしっかりと行って来週の急落に備えることも大事ですし、その後の中期トレンドの転換を見越して買い気を保つことも重要な局面です。おそらくウクライナ問題が収束しそうだとの観測記事が流れてくる頃には株式市場はすでに直近の高値圏まで舞い戻ってしまっているはずですから、仕込み場は今週前半もしくは来週の底入れ確認後のみと言えるかと思います。株式市場の凸凹で上げやすい時期、下げやすい時期に関しては有料メルマガ配信の【先読みの近未来】であらかじめ公開していますので、ぜひ参考になさってみてください。

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