【3/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 24790.95(▲1.71%)[24,767~25,291]
TOPIX   1759.86(▲1.90%)[1,756~1,792]
東証2部  6817.38(▲1.79%)[6814~6,916]
JASDAQ   3450.41(▲1.23%)[3,450~3,489]
マザーズ  681.72(▲1.48%)[679~706]

値上がりセクターTOP5
1.なし
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲6.31%)
2.鉄鋼(▲6.21%)
3.海運(▲6.15%)
4.鉱業(▲6.11%)
5.非鉄金属(▲4.55%)

 8日の日本市場は東証33業種全てのセクターが値下がりする全面安商状、前場こそ底打ち期待から戻りを試す動きがみられたものの、前日の終値付近まで近づいたところで戻り一服となり打ち返されて安値引けとなりました。ロシア-ウクライナの3回目停戦協議は不調に終わりながらもロシアが避難民保護の人道回廊を設置し、限定停戦を一時好感したものとみられますが、ショートカバーが一巡したところで後場からは再び下値模索の展開となりました。

 特筆すべきは戦時銘柄として値保ちの良かったバリュー系セクターおよび資源株に売りが殺到したことで、石油・金属類・海運・商社といった商品・市況関連銘柄が一斉に利食い売りに押されました。バリュー系が値崩れしたからといってグロース系に資金が向かったかというとそうではなく、ソフトバンクG(9984)や塩野義製薬(4507)などが大幅安となり、わずかに上昇したのは前日大幅安だった信越化学(4063)やダイキン(6367)、ファナック(6954)などごく一部に限られました。

 東証一部の騰落銘柄数は値上がり346/値下がり1788で、新安値銘柄数は485を数えて今年最高を記録。また、東証一部の売買代金は4兆円超えと膨らみセリングクライマックス級となりました。足元では底打ちから自律反発も期待されるところですが、昨年9/14の高値期日も近づく中で投げ売りを余儀なくされる投資家事情も透けて見えます。

【米国株概況】
2月末のロシアによるウクライナ侵攻開始の水準に往って来いで底入れ観測、対ロ追加制裁も影響は限定的

NYダウ 32632.64(▲0.56%)[32,578~33,402]
S&P500  4170.70(▲0.72%)[4,157~4,276]
NASDAQ 12795.55(▲0.28%)[12,670~13,159]
ダウ輸送株 14736.6(▲0.38%)[14,601~15,128]
半導体SOX 3156.9(+1.87%)[3,067~3,268]
日経平均先物(CME) 24,725(▲0.27%)[24,505~25,305]
ドル/円 115.25~115.80
米10年債利回り 1.849%(高値2.062%:2/11、安値1.683%:3/1)
WTI原油 124.70(高値130.33:3/6、安値105.18:3/2)
金先物 2050.00(高値2077:3/7)
銅先物 4.7103
恐怖指数(VIX)35.13(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 13
High Yield Bond (HYG)81.53(2020年6月来安値更新)

 8日の米国市場は刻一刻と動向が変化するウクライナ情勢を横目に激しく乱高下し、原油や金などの商品市場は再び大きく上値を伸ばしました。欧州株も連日での大幅安から下げ止まりの兆しが出ています。

 バイデン米大統領がロシア産の化石燃料(原油・天然ガス・石炭)の輸入禁止を発表したほか、ジョンソン英首相もロシアからの原油と石油製品の輸入を段階的に削減していくことを発表しました。EUもこれに追随して年内にロシア産天然ガスの依存度を約6割低下させるとともに対ロシア依存の脱却する計画を発表しました。

 これまでの対ロ制裁の中でも欧米勢、とりわけ大陸系欧州にとっては身を削るエネルギー制裁に踏み切ったわけですが、これをうけて大きく反応したのは株式市場というよりも原油や金といった商品市場でした。また、EUが大規模な共同債発行計画を発表するとの報道から米国債は各年限において大きく売られ、金利が一斉上昇するに至りました。

 ただ、これらはいずれも投資家のリスク回避姿勢を強めかねない大きなニュースですが、株式市場への影響は限定的なもので済んだとみてもよく、ロシアによるウクライナ侵攻が開始された2月末の水準に往って来いとなったところで今回の底入れ可能性が高まったと捉えることもできるかもしれません。

【日本株投資戦略】
ウクライナ危機はまもなくピークアウトか、スタグフレーション懸念に対する中央銀行スタンス、新たな地政学リスクとして浮上の北朝鮮動向を要注視

 9日の日本市場は足元における底入れ期待からの自律反発狙いの買いに対し、ショートカバーで噴き上げる瞬間を狙って裁定解消売りをぶつける戻り売りで商いが膨らんでいる現状から売り買いが交錯するものとみられます。

 10日には再びロシア-ウクライナの4回目停戦協議が控えているほか、ECB理事会でウクライナ危機をふまえた金融政策発表、さらにEU首脳会議と市場関心の高い注目イベントが目白押しであることからも、方向感を慎重に探る動きとなりやすいでしょう。

 また、足元での原油・天然ガスといったエネルギー価格高騰から景気後退懸念につながりかねない欧米では対ロシア制裁の影響度も各国で異なり、足並みが乱れ始めていることもかえって市場の変数を増加させる要因となっています。10日を皮切りに欧州勢のウクライナ支援にスタンスの変化がみられ始めるようだと、英米がいくら対ロシア非難を展開しても現実問題としてこれ以上続けるのは無理だと諦めがつくかもしれません。

 足元では日経平均・TOPIXともに昨年来安値を更新し、2020年コロナパンデミック下での期大規模な金融緩和策を講じた官製相場において、政策浮揚効果が出てきたあたりの水準まで往って来いとなることも視野に入ってきています。足元での経済指標が良好であるだけに追加での政策期待も薄い中で、投資家は投機熱が高まっているコモディティ市場のマネーゲームを脱して冷静に企業価値を見極めて投資する必要に迫られていると言えます。

 ウクライナ情勢に気を取られている間に北朝鮮なども地政学リスクの変数要因に加わる動きを見せ始めており、日本市場においては目先でウクライナ危機を乗り越えても新たな試練に直面する可能性が高まっています。今週末にかけて市場の底入れ感から自律反発の芽が大きくなっていきそうですが、高いボラティリティに惑わされずに同時に利食いするラインも想定しておくようにしましょう。

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