【3/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 26844.72(+1.20%)[26,821~27,013]
TOPIX 1897.17(+0.54%)[1,896~1,911]
東証2部 7212.90(+1.13%)[7,158~7,224]
JASDAQ 3610.98(+1.07%)[3,583~3,614]
マザーズ 776.18(+6.95%)[734~778]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+3.32%)
2.鉱業(+2.30%)
3.サービス(+1.93%)
4.情報・通信(+1.73%)
5.電気・ガス(+1.68%)
値下がりセクターTOP5
1.空運(▲1.49%)
2.紙・パルプ(▲1.32%)
3.銀行(▲1.19%)
4.農林・水産(▲0.93%)
5.保険(▲0.91%)
1日の日本市場は前日の米国市場で対ロシア制裁の強化からリスク回避姿勢が強まり米国債が買われたことで長期金利が低下、ハイテク株優勢の地合いをうけてグロース系中心に強含む展開となりました。直近の市場反転で大きく反発した値がさグロース株を見直す動きが続き、東京エレクトロン(8035)やファーストリテイリング(9983)といったお馴染みの銘柄が指数の上昇をけん引しました。
東証1部の騰落銘柄数は値上がり1170、値下がり937でしたが、内容的には景気敏感株が好調、ディフェンシブ株が軟調といった物色で、セクター別には海運株が前日に続き+3%超の大幅続伸、ウクライナ情勢から原油価格が高騰した石油関連株も上値を試す動きのほか、非鉄金属なども選別物色されました。グロース株の多い情報・通信、サービスなども見直される中、テーマ株としてサイバーセキュリティ関連が一斉高しています。ほかに、エネルギー価格高騰から政府の原発政策見直しの思惑が絡んだ電力株なども材料物色で上昇しました。
足元でグロース株を見直す動きでとくに上昇が目立つのは新興市場のマザーズで3日続伸、2/24の648ポイントから778ポイントに急伸しており、直近の上昇率は+20%を超えてきました。ウクライナ情勢にらみの神経質な市場環境の下でリスク性の高い小型株が上昇するのは、売り枯れからのショートカバー中心であることは否めないものの、単に値ごろ感だけでなくマザーズ市場の売買代金が2,000億円に達したことからも、値軽さを意識した短期トレーダーの動きが活発化していることも示しています。
【米国株概況】
先月末からの反騰相場が急ストップ、資本市場全体の乱高下で金融当局の対応に注目集まる
NYダウ 33294.95(▲1.76%)[33,107~33,870]
S&P500 4306.26(▲1.55%)[4,279~4,378]
NASDAQ 13532.46(▲1.59%)[13,441~13,777]
ダウ輸送株 15018.4(▲1.64%)[14,924~15,324]
半導体SOX 3304.8(▲3.64%)[3,274~3,435]
日経平均先物(CME) 26,415(▲1.60%)[26,325~27,015]
ドル/円 114.70~115.29
米10年債利回り 1.731%(高値2.062%:2/11、安値1.683%:3/1)
WTI原油 106.35(高値更新)
金先物 1945.35(高値1976.20:2/24)
銅先物 4.5745
恐怖指数(VIX)33.32(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 19
High Yield Bond (HYG)83.13(安値82.52:2/14)
1日の米国市場はウクライナ情勢および対ロシア制裁をめぐり資本市場の混乱が激化する中で、株式市場は大幅安、債券市場は長期金利が急低下、為替市場は有事のドル買いでしっかりの一方でユーロ売りが際立つ展開となりました。さらに原油市場がWTIおよび北海ブレントともに+10%近い暴騰に加えて、商品市場全体も強含み金、銀など金属類、穀物も大幅上昇、仮想通貨のビットコインも急伸する動きでグローバルマネーはまさに暴走状態です。
ロシアと西側諸国の情報戦も攻防が激化の一途を辿る中、バイデン米大統領の一般教書演説が控えており、事前観測では足元のウクライナ危機およびロシア非難と気候関連法案を議会に呼び掛けるほか、インフレ対策の具体案などが注目されています。世界秩序の危機対応というのは自分達が仕掛けておいていかにもマッチポンプですが、2000年代のイラク戦争突入時の有事で当時のブッシュ大統領が求心力を集めたように事が運ぶのか注目に値します。
株式市場よりも原油市場の動向が極めて大きな問題点と言えますが、これに対しては各国の備蓄石油6000万バレルを協調して放出する対策がとられ始めました。さらに金利の急低下で金融株が大幅安となっており、とくに欧州市場でも金利下落が深刻なシステマティックリスクにつながりかねない状況が垣間見え、金利の下落スパイラルに発展するようだといずれ金融危機(信用収縮)への警戒感が高まりかねません。対ロシア制裁にのめり込む中で中央銀行が政府と一線を画して早期対策に乗り出さないと米ドルの流動性危機からリーマン・ショックと同様のインパクトが金融市場全体にもたらされる恐れが出てきたと言えます。
ロシアがSWIFTから排除されることにより世界経済の混乱を引き起こす一方で、漁夫の利を得る可能性がある国もありますが、米欧ロは共倒れに近い状態まで深刻化するでしょう。ただし、致命傷までには至らないと考えられ、これが株式市場の動向においては一旦持ち直したかに見えてやっぱりダメかも!?と再び急落し、そこから第三極の中国はじめ当事国以外が支援する形でウクライナ危機の終息を図る流れになるものと思われます。とくに3月中はウクライナ情勢で乱高下に終始し、金融危機につながっていく問題が顕在化してくるのはその後ということになるでしょうから、以前にここでも解説しましたように相場の節分天井、彼岸底を意識したアノマリーどおりの展開になりそうです。
【日本株投資戦略】
日経平均は一時27,000円台回復、TOPIXも1,900ポイント回復で選別物色が進んだ一方、時間外先物は海外市場の悪化をうけて急落
ウクライナ情勢をめぐり西側諸国が対ロシア制裁を強化する一方でロシアによる軍事侵攻は続いており、双方の駆け引きも活発化する中で株式市場はヘッドライン次第で乱高下する展開を余儀なくされています。とくに対ロシア制裁ではSWIFT排除からIMF(国際通貨基金)やBIS(国際決済銀行)など国際機関を巻き込んで世界の金融システム全体に問題が波及しかねない事態にまで発展してきました。
海外市場では米国がロシアによる米ドル取引禁止をしかける一方で、ロシアもロシア株の売買停止や外国人によるロシア関連資産の売却停止措置などで対応し、国際決済システムに支障をきたす事態を引き起こすとともに、エネルギー価格が高騰しロシア依存の高い大陸系欧州のドイツ株やフランス株などが大幅安となりました。
国際金融市場の混乱が広がる中、日本市場も影響を色濃く受けることになりそうですが、現状ではまだ金融危機に陥る事態とはなっていません。ロシア金融危機とでも言うべき混乱を仕掛けたのは欧米側ですが、その煽りを最も受けているのが大陸系欧州で、主導的な役割を果たしている英米は比較的その影響を回避しています。原油や天然ガスといったエネルギー市場の混乱が大きくなっている中で、欧州経済は先行きへの懸念が広がっておりスタグフレーションに陥るとの見方も出てきています。
一方、金融市場ではウクライナ情勢を鑑みた中央銀行が金融引き締めを渋るのではないかとの期待が下支えし、株式、債券ともに買われる要因として強く意識される中で米FRBや欧州ECBなど中央銀行の動向に関心が集まっています。来週から再来週にかけて中央銀行の3月金融政策決定会合が控えますので、今週末にかけて当局者発言、ブラックアウト期間入りした後は金融関係者の要人発言が市場を揺り動かすことになりそうです。
目先の日本株を売買する上では乱高下想定ですが、来週の大きく下げる場面では再び買い場が訪れるとみています。足元は先月末の地政学リスクで急落した際に買った分の利益をしっかりと確定させておくことが重要です。あくまでも目先の3月前半は短期目線での売買スタンスでなければ市場参加する意味はありません。次に先月末のような買い場を探るのであれば、少なくとも彼岸底まで待つ気持ちで傍観を決め込む方が無難と言えるでしょう。
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