【2/25日本市場の確認ポイント】
日経平均 26476.50(+1.95%)[26,160~26,481]
TOPIX   1876.24(+1.00%)[1,862~1,878]
東証2部  7048.63(+0.91%)[7,000~7,052]
JASDAQ   3542.16(+1.28%)[3,510~3,544]
マザーズ  701.36(+7.50%)[648~677]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+4.52%)
2.電気機器(+3.18%)
3.空運(+2.54%)
4.機械(+2.40%)
5.卸売(+2.13%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲5.82%)
2.保険(▲3.43%)
3.銀行(▲2.29%)
4.電気・ガス(▲2.15%)
5.石油・石炭(▲1.66%)

 25日の日本市場はロシアによるウクライナ有事により「思惑で買い、事実で売り」の逆パターンで思惑的に下げてきた株価が事実で買いに転じた海外市場の動きをうけて反発、ウクライナ紛争の早期決着への期待も加わる形で底打ち反転の動きを強める展開となりました。日経平均は前日比500円高となり、先物ベースでは直近安値25,590円からは900円近く戻しました。

 前日に大きく売られた東京エレクトロン(8035)やソフトバンクG(9984)、アドバンテスト(6857)、ファナック(6954)など値がさグロース株が一斉に大幅反発し、また海運株や空運株、商社株なども反動高をみせました。一方で逆行安となったのは前日に強く買われたINPEX(1605)や住友金属鉱山(5713)、さらに長期金利低下で銀行や保険といった金融株が売られました。とくに損保系の下落が目立っており、海外市場でロシア株などの急落が話題となっていることからロシア関連資産の保有がどれくらいあるのか、不透明感を嫌ってのポジション調整売りといった側面もあるかもしれません。

 他方で、とりわけ大きく急伸したのが新興株の多いマザーズで指数は+7.5%の急騰、上昇率が2ケタを超えたのは76銘柄を数えました。前日比+5%超となった銘柄数は300超にのぼり、短期的にはリターンリバーサルの様相となっています。新興市場は足が速いことから戻り余地の大きさだけを見て投資するのは危険ですが、投資家のリスク選好地合いを示すには十分と言える内容でしょう。

【米国株概況】
NYダウは2020年以来の記録的上昇、ウクライナ危機の総悲観から反動高

NYダウ 34058.75(+2.51%)[33,277~34,095]
S&P500  4384.65(+2.24%)[4,286~4,385]
NASDAQ 13694.62(+1.64%)[13,358~13,696]
ダウ輸送株 15207.2(+2.56%)[14,833~15,274]
半導体SOX 3452.7(+1.57%)[3,352~3,454]
日経平均先物(CME) 26,960(+1.83%)[26,105~26,990]
ドル/円 115.15~115.76
米10年債利回り 1.963%(高値2.062%:2/11)
WTI原油 91.93(高値100.50:2/24)
金先物 1890.55(高値1976.20:2/24)
銅先物 4.4775
恐怖指数(VIX)27.59(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 31
High Yield Bond (HYG)83.61(安値82.52:2/14)

 25日の米国市場は西側諸国がウクライナ情勢をめぐり対ロシア制裁を一段と強める姿勢を次々と明らかにする中、ロシアとウクライナ間でそれぞれ停戦に向けた交渉の用意があることを表明していることをうけて株式市場は大幅続伸し内容もほぼ全面高商状。S&P主要セクター全てが上昇したほか、NYダウの上昇率は2020年11月以来最大を記録しました。ナスダックや半導体SOX指数も前日の大幅高からさらに続伸、これに加えてハイテク株よりも景気敏感株の上昇が目立ったことをダウ輸送株の大幅高が物語っています。

 また、足元での安全逃避の債券買いは一巡したものとみられ、同じく安全資産としての買いが集まった金や地政学リスクの高まりをうけて買われてきた原油も利益確定売りに押されて反落。債券市場においては米2年債利回りが上昇した一方、米10年債利回りは若干低下しており、米FRBの急速な利上げは不可能との見方から中長期債利回りは安定しほぼフラット化しています。

 1月の個人消費支出(PCE)も市場予想以上の高い伸びでしたが、長期金利上昇にはつながっておらず、ウクライナ情勢が金融当局の過度な利上げ姿勢を抑制させるとの見方が強まっているとみられます。さらには原油価格の下落もエネルギーコスト上昇の懸念などを一部緩和させることにつながることから、当局のインフレ退治を急がずともよい姿勢に変化させる材料とみてよいでしょう。

 ただし、ロシアの動向は株式市場への影響にとどまらない世界経済にとって重要なものであり、これまでの枠組みを大きく変化させることにつながるものです。詳しくは有料メルマガの【先読みの近未来】で解説したいと思いますが、これによって今後の金融市場は大きく揺り動かされることとなり、将来的には金融システムそのものへの影響が及ぶこととなっていきます。また、国際的に非難が集中して制裁を受けるロシアよりも実際には欧米勢への打撃が大きくなるとみられますので、3月の相場はこれまで以上に難易度が増していきそうです。
 
 最後に海外の政治要因として付け加えておくことは、バイデン米大統領が3/1に一般教書演説を行う予定となっており、まずこれを無難に通過できるのかが非常に気になるところです。単にバイデン政権の支持率が低下しているだけでなく、米国という(かつての)覇権国のトップが今この瞬間に何を語るのか。ビルド・バック・ベター法案について言及でもあれば希望を見出すことができますが、ここで失敗すれば当然、世界のリーダーシップ不在からもたらされる国際社会の混乱は今回のウクライナ騒動の比ではありません。新型コロナよりも地政学よりもリスクとして最も計算しづらいのがバイデンリスクです。

【日本株投資戦略】
時間外で日経先物27,000円回復目前に、戻り足の速さは戦争相場ならではだが油断は禁物、乱高下想定し利益確定をしっかりと

 28日の日本市場はロシア株を含む欧米株が軒並み大幅続伸となったことをうけて続伸期待が高まります。26日の米国市場ではほぼ全面高商状となった中でも前日とは異なりハイテク株以上にバリュー系セクターの景気敏感株やディフェンシブ株などの上昇が目立ちました。日本株においても本日は値がさグロース株に頼らずとも全体底上げの形で見直し買いが強まる期待感があります。

 ウクライナ情勢をめぐってはこの週末にロシア軍によるウクライナ首都キエフの包囲および停戦交渉まで一気に進んでおり、条件がすんなりまとまればようやく一息つけるところとなります。ただし、こと相場においてはそれまでの間に戻り幅としては十分と言える水準に達するとみられ、今度は利益確定売りが出て上値が抑えられるようになるでしょう。ウクライナ問題は戦後処理が残っているだけでなく、ロシアへの制裁を一段と強める動きがあるほか、ゼレンスキー政権の交代といったところが成し遂げられるまでは終わらないことも念頭に入れておくべきでしょう。

 また、マーケットのさらに一段高を見込む上では各国中央銀行のウクライナ情勢をふまえた対応に変化がみられるかどうかが重要です。米FRBのウォラー理事はウクライナ問題によって3月利上げの見送りもあるのではないかといった観測を否定しましたが、利上げの幅が25bpか50bpかは影響が大きく違うだけでなく、今後の利上げペースにおいてもQTの詳細についても不透明な状況下で、当局は地政学リスクをどの程度考慮するものなのかの温度感を推し量る材料となります。また、欧州のECBもパリでの非公式会合でウクライナ情勢を話し合っており、3/10の理事会でも改めて協議される見通しとなっています。

 株式市場の上値を抑える要因として意識されやすい米長期金利が再び2.0%付近のところを推移している以上、各国の金融政策決定会合スケジュールを無事に通過することが重要です。それまではトレンドが出づらく、ある一定の水準まで戻りを試した後は積極的に上値を買い進む動きは当然控えられるものと考えられます。利益確定売りと押し目買いで売り買いが交錯しやすい中、地政学リスクやインフレへの懸念はそう簡単に払拭されることはないわけですから、今週の戻り一服となる場面ではしっかり手仕舞いするように心掛けておきましょう。

 これらに加えて日本国内の政治要因としては前回の相場展望で書きましたとおり、政府による政策支援材料が出てくるかも重要です。欧州ではロシアによる有事でインフレ対応やウクライナ難民への対応など、対ロ制裁どころではなくなっているのは明らかです。国内では3/2に参院予算委員会でウクライナ情勢をテーマに集中審議がなされる見込みですが、日本が今回のウクライナ危機を対岸の火事で済ませずに直接的・間接的に直面する地政学リスク全般に対応する準備を行えるのか注目しておかなくてはなりません。

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