【2/24日本市場の確認ポイント】
日経平均 25970.82(▲1.81%)[25,775~26,357]
TOPIX 1857.58(▲1.25%)[1,843~1,878]
東証2部 6985.21(▲1.12%)[6,953~7,038]
JASDAQ 3497.39(▲1.33%)[3,492~3,532]
マザーズ 652.45(▲4.20%)[648~677]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+6.77%)
2.石油・石炭(+1.59%)
3.電気・ガス(+0.52%)
4.海運(+0.27%)
5.サービス(+0.04%)
値下がりセクターTOP5
1.空運(▲5.40%)
2.ゴム(▲4.75%)
3.ガラス・土石(▲3.27%)
4.その他金融(▲2.56%)
5.卸売(▲2.35%)
24日の休場明けの日本市場は懸案のウクライナ情勢をめぐり、ロシアがウクライナ侵攻を開始したとの急報をうけて大幅安の展開、日経平均は26,000円台を一気に割り込みました。マザーズ指数も▲4.2%安で一時650ポイントを割り込む水準まで売られました。
元より前週16日にもウクライナに軍事侵攻を開始するとのバイデン米政権の見立てもありましたが、24日に予定されていた米ロ首脳・外相級会談が中止となり、北京五輪閉幕のタイミングを見計らっての有事となりました。前引け後にロシアによるウクライナ侵攻のヘッドラインが流れたことにより後場から急落した日経平均は26,000円割れの水準でもみ合い、石油関連株や海運株などがしっかりの一方で大半の銘柄が売りに押されました。
グロース系のバリュエーションが高い銘柄や新興株を嫌気する動きが加速したほか、バリュー系もそれまで値保ちがよかった商社株や不動産株なども大幅反落となりました。石油や石炭などエネルギー関連は強含んだほか、強い売り圧力を回避できたのはディフェンシブ系の電力・ガス、市況関連の海運株、非鉄金属や鉄鋼などの素材株でした。他方で大きく売られたのはモスクワ便欠航が伝えられた空運株はじめ旅行関連、ガラス・土石、商社、対ロ制裁の禁輸措置に含まれることとなった半導体関連株などでした。
すでに需給悪化が壊滅的状況にあった新興株には更なる売り圧力がかかり、2ケタ下落する銘柄が相次いだマザーズ市場は信用評価損益率が▲40%超を記録しました。材料株の一部では防衛関連や商品取引関連が急伸し、軍需系の石川製作所(6208)や細谷火工(4274)、金価格高騰をうけて第一商品(8746)や岡藤(8705)などが急伸しています。
【米国株概況】
ウクライナ危機がピークアウトで主要株価は一斉反発、ハイテク株が大幅高の一方で原油や金は急落
NYダウ 33223.83(+0.28%)[32,272~33,269]
S&P500 4288.70(+1.50%)[4,114~4,294]
NASDAQ 13473.59(+3.34%)[12,587~13,486]
ダウ輸送株 14826.9(+2.09%)[14,134~14,864]
半導体SOX 3399.2(+3.70%)[3,153~3,403]
日経平均先物(CME) 26,190(+0.84%)[25,545~26,340]
ドル/円 114.41~115.70
米10年債利回り 1.969%(高値2.062%:2/11)
WTI原油 93.00(高値100.50:2/24)
金先物 1905.40(高値1976.20:2/24)
銅先物 4.4970
恐怖指数(VIX)30.32(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 25
High Yield Bond (HYG)83.14(安値82.52:2/14)
24日の米国市場は日本時間昼ごろに始まったロシアによるウクライナ侵攻は軍事施設の無力化、制空権を握ったことで早々に決着がつく見込みとなり、主要株価指数はそろって急反発しました。一時はNYダウ先物が前週の34,000ドル台から32,200ドル台まで2,000ドル近く下げる場面もありましたが、安値からは1,000ドル近く戻してプラス引けしました。
ナスダックも前日比+3%超の大幅反発となり、直近売り込まれていた主要ハイテク株が一斉に買い戻されてマイクロソフトは+5%超の大幅高、セールスフォースも+7%超の急伸となりNYダウ構成銘柄の中でも際立つ戻りをみせました。ナスダック100を構成する上位銘柄が軒並み大幅上昇したほか、半導体SOX指数も+3.7%高と急反発しました。
その他の資本市場では安全資産として買われた金先物価格が1,976ドルまで高騰した後1,880ドルに急落、商品市場は総じて大荒れの展開で原油市場でもWTI先物がとうとう100ドルの大台に乗せた後に91ドル台まで急落しました。以下、天然ガスはじめシルバーやプラチナ、パラジウムなどの貴金属類、大豆やコーンといった穀物市場も急騰急落の動きとなっています。ただし、ウクライナが世界有数の輸出国である小麦などは高止まりし、今後の食料価格の上昇圧力懸念として燻り続ける可能性を残しています。
また、ウクライナ情勢について補足しておきますと、現時点でウクライナ首都キエフの陥落には至っていない模様ですが、チェルノブイリ原発跡や南部深くまで一気に制圧した模様です。NATO支援が見込めない以上、ゼレンスキー現ウクライナ政権の対抗手段は非常に乏しいとみられるため、事態の早期収拾も視野に入ったといえます。
ウクライナ有事で欧州主要国の株価は大きく売られた中、とくにロシアRTSは一晩にして▲50%の半値を記録するといった異常な相場が形成されており、金融市場の混乱はウクライナ情勢が沈静化した後も尾を引くものと思われます。リスク指標はVIX指数が37.79ポイントまで急騰した後に30ポイント付近まで低下、Fear&Greed指数も25ポイントの低水準を示しています。株式市場が底入れから反騰態勢に移行したとみる一方で今後も乱高下を伴う上昇である点や金利上昇などが重しとなりやすい環境であること等は念頭に入れておくようにしましょう。
【日本株投資戦略】
電撃的なウクライナ侵攻でロシアには国際的な非難が集まる一方、地政学リスクの不透明感解消で株価は反発へ
24日の日本市場は昨晩の海外市場で大きく売られた場面から急反発に転じる動きをうけて戻りを試す展開になることが予想されます。ウクライナ情勢をめぐる地政学リスクの懸念が後退し、投資家の押し目買い意欲が刺激されるほか、売り方の買戻しを誘発することでしょう。
しばらくは乱高下を伴いながら段階的にウクライナ危機が意識される以前の日経28,000円台の昨年末水準を試しにいく可能性もあるでしょう。目先はウクライナ情勢をめぐって国際秩序が大いに乱れる展開となりましたので、ロシアへの国際的な非難が続くとみられる一方、原油価格の高騰によるインフレ懸念にはやや緩和していく圧力がかかりやすい方向性から多少なりとも各国の金融政策に影響が及ぶ可能性も考えられます。
足元でのウクライナ危機をめぐり西側諸国とくに欧州勢においては自国経済への打撃が避けられないものとなる中、原油・天然ガスのエネルギー価格高騰のほか穀物価格の高騰もインフレ懸念として加わることになり、金融政策は一段と難しい舵取りを迫られることとなります。インフレ抑制のための利上げを断行すべきか、経済下振れを防ぐために金融引き締めを一時見送らざるを得なくなるのか、まもなく3月を迎えるところで市場の目線は地政学リスクから各国の金融政策に移ることとなります。
日本市場においては海外情勢の影響を色濃く反映しやすい市場特性から、株価は今後も上下に振り回されやすい状況は続くとみられる反面、エネルギーも食料も自給率の低い国内事情から実体経済への打撃は避けられないものとなります。したがって、政策的に内需振興による経済下支えが必要不可欠である状況から先日決定した22年度の予算に加えて、今後さらに追加予算の議論が浮上してくるのか、あるいは21年度の執行未了の補正予算を早期執行するといったスピード感をもった手を打つことができるのか政府の動きが注目されます。
日本株においては市場下押しで売り込まれたハイテク株が息を吹き返すとともに、戦争による連想買いを呼び込みやすい国の基幹産業、インフラ関連のオールドエコノミー株が大きく上値を伸ばす動きにつながっていくのかが注目のポイントとなるでしょう。繰り返すようですが、世間一般とは違って『戦争=買い』が相場の世界での常識です。
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