【2/22日本市場の確認ポイント】
日経平均 26449.61(▲1.71%)[26,243~26,550]
TOPIX 1881.08(▲1.55%)[1,869~1,891]
東証2部 7064.37(▲0.87%)[7,056~7,098]
JASDAQ 3544.58(▲0.78%)[3,541~3,565]
マザーズ 681.08(▲1.15%)[674~701]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+1.64%)
2.医薬品(+0.69%)
3.電気・ガス(+0.38%)
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲4.53%)
2.ゴム(▲3.40%)
3.ガラス・土石(▲2.64%)
4.保険(▲2.62%)
5.輸送用機器(▲2.59%)
22日の日本市場は再び急伸した原油市場の動きをうけた鉱業株、ディフェンシブ系の医薬品株、電力株など一部を除いてはほぼ全面安の展開となりました。かねてよりのウクライナ情勢をめぐるリスク回避姿勢に加えて、23日天皇誕生日による祝日前ということもありポジション調整の動きが強まりました。
海外市場では米国とロシアの二大国による対立構造がより鮮明となる中で、欧米株の時間外先物が弱含む動きとともに投資家のリスク回避姿勢が強まりました。とくにグロース系代表の半導体関連株が一斉に売られており、指数寄与度の大きい東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)のほか、バリュー系代表の海運株も川崎汽船(9107)が▲7%近く急落、自動車株も日産(7201)や三菱自動車(7211)などが▲6%近く下落しました。
ロシアと地政学的に影響が避けられない欧州経済の影響が大きい分野はとくに足元では嫌気されやすいといったこともあるかもしれません。相場の先導役となる半導体関連の弱さが目立ったことには何か理由がありそうですが、逆に理由なしに下げたのであればその影響は景気敏感株全体に波及してくる可能性があるためかえって危険度が増すことになります。単にウクライナ情勢に起因したものか、欧米側の対ロシア政策の動向を監視しておかなくてはならないでしょう。
【米国株概況】
1月末以来の二番底探る展開、先行指標のダウ輸送株は年初来安値更新、半導体SOX指数は1/28以来安値
NYダウ 33131.76(▲1.38%)[33,084~33,832]
S&P500 4225.51(▲1.84%)[4,221~4,341]
NASDAQ 13037.49(▲2.57%)[13,032~14,035]
ダウ輸送株 14523.5(▲1.44%)[14,505~14,858]
半導体SOX 3277.8(▲2.33%)[3,274~3,430]
日経平均先物(CME) 26,320(▲0.49%)[26,280~26,890]
ドル/円 114.92~115.19
米10年債利回り 1.998%(高値2.062%:2/11)
WTI原油 92.30(高値95.82:2/14)
金先物 1909.00
銅先物 4.4603
恐怖指数(VIX)31.02(31.96:1/26以来)
Fear&Greed指数 26
High Yield Bond (HYG)82.55(安値82.52:2/14)
22日~23日の米国市場は緊迫するウクライナ情勢懸念から大幅続落となる中、事態打開を目指した米ロ外相会談や米ロ首脳会談で緊張が緩和する期待から急速に値戻しする場面がみられたものの、バイデン米大統領が開いた会見では解決の糸口を見出すことができなかったほか、欧米の対ロ制裁が決定し会談も中止となりました。
これらに先立ちロシアのプーチン大統領は親ロ派が占めるウクライナ東部の独立を承認し、この地域に平和維持軍を派遣することを指示、欧米側はこれをウクライナ侵攻の決定打とみなして金融面・輸出面での経済制裁に踏み切りました。ただし、制裁対象は一部のロシア政権幹部や金融機関、一部地域に限られたことや本丸のエネルギー分野には踏み込まないことなどから影響は限定的とみられ、22日は欧州株やロシア株が一斉に反発しました。
一方で、米国株はトップ外交の中止や対ロ制裁が半導体分野に及ぶ懸念からハイテク株中心に値崩れが目立っており、景気敏感株も一緒に売られていることから下値模索の展開が続き、主要株式指数はそろって1月末以来の安値を試しています。これと合わせて景気の先行指標であるダウ輸送株は23日にとうとう年初来安値を更新、半導体SOX指数も1/28以来の安値に迫る動きとなっています。
ウクライナ情勢をめぐっては22日の欧州時間で一旦底入れとなる動きがみられましたが、23日の米国時間では再びこれを否定する動きとなったことで市場でのリスク回避姿勢はより一層強まる形となりました。リスク指標はVIX指数が1月末以来の30ポイント超えとなったほか、Fear&Greed指数は26ポイントに低下、ハイイールド債市場でも再び年初来安値に近接する水準に下落しています。
【日本株投資戦略】
日経27,000円回復を阻んだ地政学リスク、新たに市場の重しとなる悪材料も次々と用意される展開
23日祝日で休場だった日本市場は海外市場から出遅れて材料を織り込む形となりますが、23日の時間外先物市場ではむしろ反発基調にあったため、日経27,000円手前までの上値を試した動きが打ち消されて、往って来いからのスタートを切ることになります。足元の日経先物の水準は22日につけた安値付近を推移しており、本日のザラ場では22日安値26,243円あるいは1/27安値26,044円の下値をテストして二番底を確認することを余儀なくされそうです。
足元の株式市場では売り方主導でマーケットメイクされていますので、悪材料が出れば簡単に売り崩されてしまいますが、米国株と比べて日本株は底堅さがみられるようになってきており、日米株価のスプレッドは以前よりもやや縮小しています。
昨年よりグロース株からバリュー株へのローテーションが進んでいる中でバリュエーション面での再評価期待の表れとみなすことができる一方、金利上昇の恩恵をうける銀行・保険株や原油高の恩恵をうける石油関連株などが底堅く推移していることによるもので、裏を返せばこれらバリュー株が下値を支えきれなくなった場合には資金の退避先が無くなることも念頭に置きながら注視していく必要があるでしょう。
休日の間にもウクライナ情勢のめまぐるしい変化を伝えるニュースが続々と出される中で、対ロシア制裁で半導体の輸出禁止などが盛り込まれたことなどがハイテク株により重しとなってしまいます。ただし、市場の先行きに関してむしろ気にしておくべきは欧州金融当局が着々と金融引き締めの議論を進めていることです。また、サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)が昨年末の通信株売却に続いて国営石油会社のサウジアラムコの保有株売却に関し検討段階に入ったことなども非常に気になる動きと言えるでしょう。これらは今後の市場動向で大きな材料となってくる話ですので、有料メルマガにて配信の【先読みの近未来】で詳しく解説していきたいと思います。
目下、地政学リスクが最も注目度が高まっていることは明らかですが、金融市場で最も警戒しておくべきはリスクマネーの流動性が縮小することです。目先はウクライナ情勢の緊張度合いによって上下に振らされる相場ですので、短期トレードと割り切れば値幅取りがしやすい一方、まもなく3月の年度末相場にさしかかってくるところですので徐々にリスクウェイトは落としていく必要があります。昨晩の米国株下落に関しては休日前にある程度織り込み済みとみられますので狼狽売りする必要などありません。ただし、今週末および来週にかけては、仮に株式市場がダブルボトム形成からのテクニカルリバウンドが発生した場合や材料面から地政学リスクの後退で売り方が買い戻す場面ではしっかりと手仕舞いするようにしていきましょう。
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