【2/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 27232.87(▲0.83%)[27,080~27,438]
TOPIX 1931.24(▲0.79%)[1,920~1,945]
東証2部 7201.18(▲0.25%)[7,183~7,223]
JASDAQ 3597.48(▲0.35%)[3,594~3,614]
マザーズ 710.17(▲3.34%)[706~733]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.44%)
2.卸売(+1.45%)
3.陸運(+0.89%)
4.石油・石炭(+0.16%)
5.ゴム(+0.06%)
値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲2.14%)
2.倉庫・運輸(▲1.70%)
3.情報・通信(▲1.49%)
4.輸送用機器(▲1.31%)
5.不動産(▲1.28%)
17日の日本市場は前日の大幅高に加えて米FOMC議事録公表を無難に通過したことにより、一時期の過度な金融引き締めに対する警戒感は和らいだものの、緊迫化するウクライナ情勢が依然重しとなって積極的に上値を試す動きは控えられました。後場にはウクライナでの砲撃沙汰ヘッドラインが飛び込んできたことで、先物主導での急落が地政学リスクに対する警戒感をより強める形となりました。
現物市場での下落をけん引したのは今回もグロース株が中心となり、朝方に大幅高でスタートした半導体関連株なども上げ幅を消失してしまいました。一方で、ウクライナ情勢の懸念が再燃したことで原油先物が急伸したことで強含んだのは石油関連、商社といった資源関連株のほか直近の高値を超えてきた海運株や経済再開期待の空運株、陸運株などは相対的に値保ちの良さが目立っています。
地政学リスクにより投資家心理悪化の影響を大きくうけやすいのが新興市場のマザーズで、1月末の安値水準を底割れして年初来安値を更新。小型株の新安値銘柄は3ケタを数えてきました。決算シーズン以降で選別色はさらに強まる展開となっており、とくに松井証券のマザーズ信用評価損益率は▲36.69%で再び1/27の▲38.67%に迫ってきており、個人の投げ売りが広がりやすい環境が醸成されています。
【米国株概況】
地政学リスクがヤマ場を迎え株売り加速、ウクライナ情勢緊迫よりも米ロ間対立を煽るメディア
NYダウ 34312.03(▲1.78%)[34,246~34,858]
S&P500 4380.26(▲2.12%)[4,373~4,456]
NASDAQ 13716.72(▲2.88%)[13,704~14,020]
ダウ輸送株 14999.1(▲1.93%)[14,982~15,237]
半導体SOX 3422.6(▲3.74%)[3,421~3,511]
日経平均先物(CME) 26,880(▲1.03%)[26,860~27,510]
ドル/円 114.84~115.53
米10年債利回り 1.963%(一時2.062%:2/11)
WTI原油 91.70(一時95.82:2/14)
金先物 1898.35
銅先物 4.4997
恐怖指数(VIX)28.11(一時30.99:2/11)
Fear&Greed指数 37
High Yield Bond (HYG)82.77(一時82.52:2/14)
17日の米国市場はウクライナ情勢緊迫化をうけて株売りの一方、債券や金などの安全資産が買われる展開となりました。二大国の米国とロシア双方がメディアを通じてお互いの主張を批判し合い、現地情報も交錯する中でリスク回避ムードが強まりました。米国は来週月曜日が休場とのこともあって、地政学リスクを意識したまま3連休に突入するのを警戒したポジション解消売りもかさんだとみられます。
バイデン米政権はロシアによるウクライナ侵攻が「近日中に起こる可能性がある」とし、侵攻を正当化するため「偽旗作戦」を展開していると指摘する一方、プーチン露政権はバイデン大統領の発言が緊張を煽っていると反発しています。ロシアは昨年末からの米国・NATOの欧州安全保障をめぐる協議において、NATOの東方拡大停止を望んだ要求に対しNATO側がこれを拒否した対応に改めて非難する姿勢を示し文書で回答したほか、ウクライナ侵攻の是非をめぐってはウクライナ政府に2015年のミンスク合意を守らせるよう要求しました。
一連のウクライナ情勢をめぐり市場反応は続々と流れるヘッドラインに翻弄される形となりながらも、地政学リスクに起因した原油価格の吊り上げはほぼピークアウトしつつ、足元では有事の金(ゴールド)買いが継続し危機演出がヤマ場を迎えています。ロシア側が回答した協議文書も両者の隔たりを埋めるには至らないものとみられ、おそらくドンバス地方2州の併合に踏み切るかどうか決定的瞬間を迎えるまでは不透明感は燻り続けるのでしょう。
米国株は直近の急反発した上昇分を吐き出し、グロース株を中心に軟調な展開を余儀なくされています。3連休を前にした週末にかけて警戒感が高まりやすい地合いですが、1月末の安値水準も視野に入ってきたことから再び底入れが意識されるでしょう。二番底形成を見込むには現水準ではまだ調整が甘いと言えますが、ウクライナ危機で引っ張り続けるのも無理が生じてきていることから、一旦アク抜けの時期も近づいていると思われます。
【日本株投資戦略】
米株市場の大幅安よりも原油市場の動向を注視、円安・原油高の逆流が日本株にプラス要因をもたらすか
昨日後場からの株式市場急落に加え、米国時間でさらに下値模索の展開を強いられたことによって日経平均は27,000円割れからのスタートを余儀なくされます。朝方はとくに信用評価損を大きく抱えている個人投資家の投げ売りを誘発するものとみられ、ウクライナ情勢をめぐっては事前報道されていた16日のロシアによるウクライナ侵攻は無かったものの、依然として警戒感が意識されていることからアク抜けは来週に持ち越されたようになっています。
とはいえ、目先の投資スタンスにおいては地政学材料は買いであることに変わりなく、16日のマーケット解説でも指摘したとおり、急落で仕込んで急騰で利益確定するトレードで難局を立ち回る以外に方法はありません。そうこうしている間にも市場全体では裁定買い残が増加してきていますので、いずれ訪れるショック安への備えも必要なことから中長期目線での買い場はまだ先の話になると言わざるを得ません。
他方でウクライナ情勢の緊迫を伝える報道が多いために、最重要な米-イランの核合意協議進展が掻き消されてしまいがちですが、イランの国際社会復帰により原油市場では新たな供給国の登場から需給ひっ迫の懸念が解消へ向かう動きを織り込み始めています。
こちらも前回指摘した過度なインフレ懸念が和らぐことにつながる一要因となる可能性があり、金融当局の引き締め姿勢に一石を投じる資源価格の落ち着きをもたらし、商品市場から株式市場にリスクマネーが戻ってくるきっかけとなるかもしれません。外部環境の変化にただでさえ敏感な日本市場は海外勢によるヘッジ売り解消に伴い、ショートカバー中心に再び直近レンジの上値を試す動きにつながっていくことでしょう。
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