【2/14日本市場の確認ポイント】
日経平均 27079.59(▲2.23%)[26,947~27,325]
TOPIX   1930.65(▲1.63%)[1,914~1,940]
東証2部  7229.29(▲1.08%)[7,202~7,251]
JASDAQ   3639.43(▲0.97%)[3,630~3,654]
マザーズ  740.13(▲4.54%)[735~761]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+6.24%)
2.石油・石炭(+3.45%)
3.不動産(+0.88%)
4.建設(0.74%)
5.電気・ガス(+0.29%)

値下がりセクターTOP5
1.ゴム(▲7.75%)
2.精密機器(▲3.45%)
3.電気機器(▲3.20%)
4.機械(▲2.77%)
5.輸送用機器(▲2.49%)

 14日の日本市場は3連休中の海外市場荒れ模様の流れを織り込む必要から売り先行のスタートとなり、一時は日経平均▲700円超の下落場面がありました。日経平均は外需株中心に弱さが目立ったことから▲2%超の水準で沈滞した一方、TOPIXは日銀によるETF買い発動などもあり▲1.6%の朝方の水準まで下げ幅を縮小して引けました。

 セクター別には地政学材料にからむ原油価格の上昇が資源関連セクターの買いを誘発し、鉱業が+6%超の大幅上昇、石油・石炭も+3%超と堅調さが際立ちました。一方で軟調だったのは原油高によるコスト増で収益悪化懸念が広がったゴムが▲7.8%の大幅下落、米国市場におけるナスダック急落からハイテク株売りが波及した精密機器、電気機器などは▲3%超の下落となりました。

 また、カナダにおけるコロナ規制抗議デモの激化で売られていたトヨタ(7203)はカナダ政府による抗議デモ鎮圧で国境開通が伝えられた後も続落の動き、悪材料出尽くしとはなっておらず自動車関連にも強い売り圧力が生じています。

 個別は選別色がより強まり、地政学関連で三菱重工(7011)続伸や石油関連のINPEX(1605)や三井物産(8031)の高値更新が目を引くほか、金鉱株の住友金属鉱山(7013)やバリュー代表株の日本郵船(9101)や日本製鉄(5401)なども朝売り後からの反発が目立ちました。意外なところではセメント株の住友大阪セメント(5232)、太平洋セメント(5233)なども足元で売られていた下値水準から反発して市場逆行高を演じました。

【米国株概況】
ウクライナ情勢をめぐるヘッドラインで乱高下、ボラティリティ上昇で下値波乱の展開

NYダウ 34566.17(▲0.49%)[34,304~34,744]
S&P500  4401.67(▲0.38%)[4,364~4,426]
NASDAQ 13790.92(▲0.00%)[13,664~13,921]
ダウ輸送株 15120.1(+0.80%)[15,001~15,188]
半導体SOX 3370.2(+0.15%)[3,324~3,433]
日経平均先物(CME) 27,055(▲0.17%)[26,830~27,165]
ドル/円 115.01~115.76
米10年債利回り 1.993%(一時2.062%:2/11)
WTI原油 94.79(一時95.82)
金先物 1871.20
銅先物 4.4910
恐怖指数(VIX)28.33(一時30.99:2/11)
Fear&Greed指数 32
High Yield Bond (HYG)82.52(安値更新:2020年7月来)

 14日の米国市場はウクライナ情勢の緊迫化と緩和をめぐる好悪材料が飛び交う形で乱高下の展開となっています。また、引き続き米FRBによる金融引き締めへの警戒感も重なって、債券市場では長期金利が再び2%台をつけるなど、資本市場全体で荒い値動きとなっています。

 ウクライナをめぐって欧米各国の首脳・外相が協議を重ねる中、ウクライナのNATO加盟方針で取り止めるかどうかのヘッドラインが交錯し、市場は疑心暗鬼となりながらアルゴリズム売買が乱高下を演出しています。また、欧米側、ロシア側双方で協議継続の方針が伝えられる一方、ウクライナでは16日にもロシアによる侵攻があるとの観測も広がり、三極の思惑が交錯しています。最も冷静なのはロシアで、下院では東部ウクライナの独立可能性を審議しこれを支援・受け容れるかどうかが話し合われています。

 市場全体を通しては地政学材料の複雑さが混乱の中心となってはいるものの、大枠では金利動向をふまえながら今後の株式市場の落ち着きどころを探っているとみられます。足元では債券市場に売り圧力が強まりやすい環境から将来的なSell Allを見越した資産処分が始まっているとみられる一方、原油市場ではリスクマネーを呼び込んでおり、両極端の動きが特徴的です。リスクマネーが資本市場全体から逃避する動きが本格化する前には、まず原油価格の上昇基調が変調をきたす可能性が高いことから、今週から来週にかけて注視しておく必要ありそうです。

【日本株投資戦略】
企業決算一巡で次はマクロが焦点に、地政学リスク織り込み後の自律反発に期待も米国金利上昇が重し

 日本市場も海外情勢の悪化をうけてリスク回避姿勢が強まりやすいところですが、地政学リスクもある程度のところまで織り込んできたとみられます。短期的には自律反発に転じやすい局面である一方、依然として金利上昇から高止まりしている現状から上値は限定的となりやすい環境です。

 上記14日の市場確認のポイントで解説したような戦争=買いとなる古典的なインフラ関連および国の礎となる基幹産業といった面々には資金が向かいやすい(※まねまねコラム2/13号参照)一方で、投資家のリスク許容度低下に伴う高リスクの新興株やバリュエーションが高いグロース株からは資金流出が顕著になる傾向にあります。

 とくに売買高が薄くなっているところで自律反発をみせたとしても、その持続性は物足りないものに留まるため、上昇した分以上に下落していくパターンを考慮に入れておかなくてはなりません。16日はどうやらマーケットメイクしている投資主体にとってFOMC議事録公表とロシアによるウクライナ侵攻の日柄を合わせてきているようですので、この前後はとくに市場のボラティリティが大きくなると想定されます。

 地政学リスクにいたっては、まず足元のロシア-ウクライナ問題は各国のリーダークラスで条件交渉に入ってきたとみられますので出口がある程度近いと思われる一方、中国での北京五輪開催が来週に終幕しますので、その後がどうやら本番となってくるかと思います。ウクライナに関しては今後地政学というよりも、石油・ガス資源のほかに直近のニュースで伝えられた半導体材料や農産物の供給国として重要な位置づけとなっていますので、供給制約およびインフレに与える影響をより注視していく必要があるでしょう。

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