【2/10日本市場の確認ポイント】
日経平均 27696.08(+0.42%)[27,575~27,880]
TOPIX   1962.61(+0.53%)[1,949~1,969]
東証2部  7308.52(+0.35%)[7,280~7,324]
JASDAQ   3675.20(+0.20%)[3,667~3,686]
マザーズ  775.29(+2.46%)[765~783]

値上がりセクターTOP5
1.建設(+1.31%)
2.電気機器(+1.27%)
3.不動産(+1.18%)
4.化学(+1.18%)
5.繊維(+1.13%)

値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲0.86%)
2.ゴム(▲0.67%)
3.精密機器(▲0.52%)
4.紙・パルプ(▲0.52%)
5.証券・商品先物(▲0.36%)

 10日の日本市場は3連休前ながらマイナーSQ清算もあって売買代金は3兆円超えで商いは活況、日経平均は28,000円を窺う動きをみせました。2月SQ清算値は27835.60円と1月の水準には届きませんでしたが、1月後半に26,000円付近まで突っ込んだ後を考えますと限られた時間でそれなりに戻したと言えるでしょう。

 この日は朝方のSQ値清算と絡めて買い先行でしたが前場段階で頭打ちとなり、一転して売られる展開となりました。グロース株中心の買戻しが優勢で日経平均も28,000円レベルの戻りを試しにいきましたが、3連休前の手仕舞い売りや戻り売り圧力もそれなりに強まった動きでした。

 セクター別には為替が円安方向を手がかりにエレクトロニクス株が強含みましたが、自動車株はカナダのコロナ規制反対デモの激化が悪材料視されたトヨタ(7203)軟調をうけながら相対的に弱含みでした。グロース系の揺り戻しから半導体株は堅調、決算材料にSUMCO(3436)が一時2ケタの大幅高したほか、ルネサスエレクトロニクス(6723)も+7%超、ほかにはホンダ(7267)や資生堂(4911)なども決算を好感した買いが優勢となりました。

【米国株概況】
米経済指標の強い結果をうけて長期金利2%到達、地政学材料も株売りを助長

NYダウ 34738.06(▲1.42%)[34,620~35,431]
S&P500  4418.64(▲1.89%)[4,401~4,526]
NASDAQ 13791.15(▲2.78%)[13,733~14,246]
ダウ輸送株 15000.2(▲2.54%)[14,905~15,420]
半導体SOX 3365.2(▲4.83%)[3,341~3,568]
日経平均先物(CME) 26,930(▲2.78%)[26,845~27,445]
ドル/円 115.00~116.17
米10年債利回り 1.946%(一時2.062%)
WTI原油 93.90(一時94.66)
金先物 1858.70(一時1864.80)
銅先物 4.4385
恐怖指数(VIX)27.36(一時30.99)
Fear&Greed指数 34
High Yield Bond (HYG)82.66(安値更新:2020年7月来)

 日本が3連休中10日・11日の米国市場はインフレ高進やウクライナ情勢緊迫化の地政学リスクを嫌気した形で2営業日立て続けに大幅安、NYダウは9日の35,600ドル付近から1,000ドル近く下げたほか、ハイテク株のナスダックも1月後半からの戻り分を半分近く値を消しました。

 10日は注目度が高まった米1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る強い結果となったことで米国金利が急伸、米10年債利回りはとうとう2%に達し、金融当局の利上げペース加速を正当化する見方が広がりました。金利の先高観を示すに十分な要人発言からも幅広い年限で米国債が売られ、とくに2年債利回りは1.36%台から1.60%台まで跳ね上がり長短金利差が縮小したことも市場警戒感が高まる要因となりました。

 そんな中11日にはロシア-ウクライナの緊迫した情勢への懸念が深まり、欧米の高官級、トップ電話会談の協議を伝えるニュースが相次ぎましたが、事態をいっこうに進展させる気配もなく、ロシアが今週にもウクライナ侵攻するとの報道も過熱して思惑が交錯しました。株式市場ではリスク回避姿勢が強まった一方で、原油市場では投機的な買いが入り原油価格は一時94ドル台半ばまで急伸しました。

 これと合わせて金価格も上昇、資本市場全体へリスク回避姿勢が波及して米国債も売られ米10年債利回りは1.9%台まで低下しました。リスク指標はVIX指数が先週20ポイント割れのところから一時30ポイント台まで急伸、足元の株式市場における戻りを試す場面でも売り基調が続いていたハイイールド債にいたってはさらに底割れし、2020年7月以来の水準まで低下しました。

 米経済指標の強い結果をうけて金利が高騰し、米10年債利回りはついに2%の節目を突破したところ株式市場ではやはり売り反応となりました。地政学リスクがからんで週末は一旦金利動向も落ち着いたように見えますが、今週のFOMC議事録公表で改めて金融当局の動きに警戒が高まるのか、あるいは金利先高観を今回のCPI結果をうけて先に織り込んだのか、しばらくの間は金利動向が焦点になりそうです。

【日本株投資戦略】
3連休明けは地合い難スタート、地政学材料は買い、米金利上昇は売りで対応するスタンスで

 3連休明けの日本市場は海外情勢のめまぐるしい変化を織り込む必要から波乱含みの展開が予想される中、米国市場では長期金利上昇が株売りにつながったとみられることからグロース株の動向に注視する必要があります。リスクマネーは強弱感の対立から買い方、売り方双方にとって仕掛ける材料に事欠かないため、上下動が激しくなる高ボラティリティ環境を想定しておかなくてはなりません。

 前週末の日本市場では買いが先行した後に失速した動きを見せた時点で、ある程度は週末リスクを警戒していたところもあるかと思われますが、海外市場での日経先物は27,000円割れのところまで急落していますので本日は売り先行の地合いは免れません。

 一方で、ロシア-ウクライナをめぐる地政学材料で思惑的に下げたものであれば“戦争は買い”が相場の世界での常識ですから、下値で出来高が膨らめばその分の買戻し圧力のマグマが溜まることになります。地政学懸念が和らいだ時には一気に反転してくる恐れがあるため、仮に下方向への動きが強まるように見えても売りには傾けづらいタイミングと言えます。むしろ米国の金利動向を確かめながら、地政学リスクが和らいで買い戻されたところが売りポジションを作るチャンスとなるでしょう。

 買い方においては上記のように地政学リスクにからめた一過性の株価急落は買い場となりますが、米国の長期金利が2%に達した以上は当面の上値が限定的となることを前提に取り組まなくてはなりません。あくまでも深追いはせずに地政学リスク分の戻りを狙うに留めておくのが無難でしょう。今週半ばのFOMC議事録公表後において金利が2%手前に留まれるようであればショートスクイーズで今一度株高となる場面は訪れるかと思われますので、しっかりと利益確定するようにしましょう。

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